30、貴重な体験
あけまして、おめでとうございます
未熟な執筆ですが
本年もよろしくお願いします
30、貴重な体験
☆★☆ 花梨 ☆★☆
大地殿が歩き出したので、綾目様と櫻殿を促し、その後に、桃子殿と並んで歩みを進める。大地殿(極光殿を巻き附けている)が先頭で、中列 左側(頂側)が綾目様(頭上を飛翔している蒼穹)、右側(麓側)が櫻殿(頭に張り附く翠雨)、後列 左側(頂側)が桃子殿(首に纏わり附き、後方を視ている漆黒)、後列 右側(麓側)が自分(足元で周囲を監視してる紅蓮)
自分は、櫻殿が気附いた視線の主が気になり、気配探知に集中する事にした。其の為、並列思考を起動し、兎の目の視野拡大と熱赤外線を利用して、周囲への警戒と歩行を任せる事にした。視野拡大は、1点に集中しても視界を拡く保つ事ができ、熱赤外線(低)は、熱源が赤く発光する様に表示される。皆(綾目様を含んだ四人)を視ると、身体が赤く発光する姿を視る事になる。森の中にも赤く発光する場所を幾つも視る事が出来るので、生き物が存在している事が分かる。ただ、目視確認には至っていない
少し歩いた所で、前方。大地殿が差し掛かった繁み(斜面の麓側)の向こう側に、唐突に巨大な赤い光が灯ったと、並列思考からの緊急連絡が入った。気配探知に集中していた意識を、前方に向けると、兎の目が掛った状態の視力と、身体の制御が同時に戻って来た。巨大な熱源に意識を合わせた所で、気配探知にて僅かな気配を捉える事が出来た。けど・・・って、それ所じゃなく
「大地殿! 繁みの向こう側!」
大地殿に声を掛け乍ら、櫻殿の前に廻り込み、左の耳飾に触れて何時でも武具形状(漆黒の大太刀)に戻せるように準備する。丁度、前列(大地殿)と中列(綾目様と櫻殿)の間に割り込む形を取った。紅蓮も自分の動きに合わせて前に出て、何時でも飛び出せる様に、四肢で地面を踏みしめている。そうそう、自分・・・っいや、全員の霊獣武具の装身具は耳飾で統一。但し、耳朶でなく耳輪に張り附ける型だ。大地殿が、かなり抵抗していた
自分は行動を起こしながら、大地殿と巨大な熱源にも注意を向けていたぞ。巨大な熱源に動きはみられなかった(熱源の巨大さに比べて、気配の小ささが気になる)。っが、大地殿は、自分の声に反応して立ち止り、右手側の外套を跳ね飛ばす様に開け、右手を右腰附近に沿わせた構えを取った・・・解りやすく言うと、右手の親指の付け根を突き出す様に握り、右腰から拳1個分突き出す様な構えだ。格闘技の構えとは思えない構えだ
後方(綾目様、櫻殿、桃子殿)からも緊張が伝わって来たが、動きは判らない。視てないからな!
そんな中、大地殿が一歩 踏み出した。余りに無雑作な動きだ。だが、事態はそれで動いた。巨大な熱源が繁みの背後から路上(登山道)に飛び出した!
…ッザシュ ぐる~ん(着地 旋回)
「「「「「!」」」」」
っな!(呆然)
・・・っは!(覚醒)
いけない!(危機感) 自分は、咄嗟に左の耳飾に氣(ss)を流し、漆黒の大太刀に形状を戻して
『待て』…念話
っぐ、声が響くのと同時に抑え附けられる感じが・・・漆黒の大太刀を握った状態で、構えも取らずに動きが止まっている。今も、全身に震えが走り、身体を動かす事が出来ない・・・っいや、膝を抱えて地面に丸まっていないだけましかもしれない。
巨大な熱源(赤い光)の影から視える姿は、長尾驢を拡大した様な姿だ。違いは。手は2本指で鋭く尖り、足は3本指でどっしりと踏ん張り、第3の足の様に後方に伸びる尻尾。全身が堅そうな皮に覆われ、喉からお腹に掛けて種類の違う、白く柔らかそうな皮に覆われている。顔が、顔が大きい・・・っいや、その大半を口が占めてるから、口が巨大と言うべきか・・・高さは10㍍以上あるだろう巨大さだ。昨日、相対した半鷹半獅子・腐乱鬼でも高いと感じたのに(四肢を附いた頭の高さが3㍍程、後脚で立ち上がった場合は・・・)、されに、その上と来た
奴が覗き込むように顔を近附けて来たので、口の中に並ぶ鋭い歯が確認できる。自分達など、一口で食べれる大きさの口だ!
「っぐ・・・待て、っと、言ったな。言葉を、喋れる、のか?」
顔を近附けて来た、巨大生物に向かって大地殿が訪ねている。この重圧の中、緊張し、大量の汗を掻いているのが感じられるのに。それに引き換え自分は、恐怖から来る悲鳴を抑え、震える身体をこの場に繋ぎ込む事で手一杯だ。後ろに居る3人の様子を伺う余裕さえない
『ふむ・・・すまんな、汝等の行動を制限する為の処置だったのだが』…念話
その言葉と共に、第一声と共に放たれていた圧倒的な存在感(気配)が、隠れていた時と同じぐらいの小ささまで減少した。重圧と共に恐怖も和らぎ
…ッドサ(座り込む音)×3
後ろから音がしたので振りむけば、3人(綾目様、櫻殿、桃子殿)が座り込んでいた・・・って
「だ、大丈夫ですか、綾目様・・・それに、貴方達も」
綾目様の傍に赴きたいですが、まだ安全とは言えません。あの巨大生物殿を前に警戒を解くわけには・・・一様、構えはしていませんが、左手には漆黒の大太刀を握り、直ぐに対処ができる様にしています。実際は気休めなんですけどね…はぁ~(溜息)
「だ、大丈夫ですよ。少し気が緩んでしまっただけです」…スゥ~ハァ~スゥ~ハァ~(深呼吸)
「・・・ん、右に同じ」…スゥ~ハァ~スゥ~ハァ~(深呼吸)
「いや~。先程の恐怖感は半端なかったっす」…ハァ~ハァ~(荒息)
どうやら3人共、重圧から解放されて、気が緩んだだけのようですね。良かった。それよりも・・・
「威圧感を解いて貰い、感謝する」……ペコリ(お辞宜)
重圧が解けた後、身体を動かしていた大地殿が巨大生物殿に謝辞を述べている。自分は、警戒するだけで、とても話し掛ける事はできそうもありません。それよりも気になるのが・・・
『ふむ』…念話
「言葉を操り、此方の状態を把握し対処する。それらの行動から、貴方には高い知性があるとお見受けする」
『くっくくくく(笑) 確かに、吾は言葉を操る程度の知性は、持ち合わせているな・・・発声器官の都合上、喋る事はできんがな…くっかかかか(笑)』…念話
「やはり念話でしたか・・・それで当初の擬問に戻りますが、待て、っとは? 此方に用事がおありで?」
そうです。巨大生物殿と意思の疎通ができるのです。知性が高いと思っていましたが、喋るこ・・・っいえ、直接、頭に語り掛けてきているのですよね、会話から察すると。念話と言うらしいですが、自分達も持ってる意思疎通とは違うのでしょうか? 気になりますが、今は
『うむ、少々 訪ねたい事があっての。汝等は何者だ?』…念話
「何者、っと、言われてもな。通りすがりの旅人?」
『そこで、疑問系で返されても困るのだがな~…やれやれ(首振り) では、言い方を変えよう。汝等 5人、希少種族だろう。それに、霊獣もよんひ・・・っいや…ジィ~~~(注視) 5匹も一緒に行動している。旅人とするには無理があろう』…念話
「まさか、極光の存在まで見破られるとはな~」…はぁ~(溜息)
巨大生物殿の観察眼が凄いですね。自分なら、大地殿に張り附いている極光殿に気が附かなかったと思います。でも、自分や櫻殿、桃子殿は見た目で分かるとしても、綾目様と大地殿も人間以外と視る眼力。昨日の戦闘を盗み視していたのなら、綾目様の技能を視ている可能性がありますので人間以外と思うのは理解できますが、大地殿を怪しんだ理由はいったい?
「つかぬ事を聴くが、今、5人が希少種族と言ったな? 3人は理解できるが、何故、全員が希少種族と思うのだ?」
『うむ。そのし・・・っいや、昨日の戦闘を、少し見学させてもらったのでな』…念話
「ああ。昨日の覗き魔は、貴方だったか・・・〔俺の問いも不味ったが、それでも、俺までその範疇に入れるのは無理があると思うが…ジィ~~~(注視) それに、場所、威圧感、多分、間違いないな〕…小声」
大地殿の小声が限界範囲で聴こえた。無意識なのか、考えがダダ漏れです。大地殿も、自身が人間以外に視られてる理由が不明なのが気になってる様子だけど、何かに気附いたのか? しかし、巨大生物殿に対して覗き魔 扱いって大丈夫なのか?
『う~む。覗き魔とは・・・良い得て妙だが、昨日、汝等が戦った奴とは、ちと因縁があったのでな。様子見に動いたのよ』…念話
はい。問題ないみたいです。っと、言うかですね、因縁のある相手なら、其方で相手をして貰いたかった…がっくり(凹)
「まっ、それは良いさ〔割って入られたら、最悪・・・〕…小声 それはそうと、少し確認したい事がある。貴方の問いに答える前に」
『ふむ。確認とな?』…念話
「ああ。貴方は、この辺一帯を治めている守護獣殿で間違いないか?」
『ふむ。吾は、この辺り一帯を活動範囲にしている。吾より強きモノがいないゆえに、支配していると言えるやもしれん』…念話
!! 此方の巨大生物殿が、訪ねる相手の守護獣殿! っいや、でも、守護獣とは認めていない
「はぁ~(安堵の溜息) 俺達は、ある人物から貴方を訪ねる様に言われて此処に来た。俺達に分かる範囲で、答えられる事は答える」
っえ? 守護獣 云々の確認はしないのか?
『ふむ。吾を訪ねてくる予定だったと申すか』…念話
っえ? こっちもこっちで、守護獣の部分は無視なの!
「そうだ」…こくり(頷き)
『ふむ。ならば、この場でこれ以上の問いもなかろう。吾が根城に、招待しよう』…念話
「あ、あの~。少し宜しいでしょうか?」
綾目様? 綾目様を振り返る時に、漆黒の大太刀を耳飾に戻して左耳に張り附け直す。あの巨大生物殿、もとい、守護獣殿に対して警戒度を下げても問題ないと判断しての事だ
「どうかされましたか?」
「大地さんと怪獣さんの「・・・ん。恐竜」…ピッ(指差し) ・・・っええ、そうですね…チラッ(視線) 恐竜さんの返答が、私達にも聴こえているのは、どうしてでしょうか?」
綾目様、櫻殿、桃子殿は、既に立ち上がって、守護獣殿を見詰めています。綾目様の怪獣さん発言を、櫻殿が恐竜と訂正しています
「っと、言うか。何で大地さん、普通に恐竜と話してるの? しかも、相手は太古に生息していた、絶滅種の暴君竜だよね? 何かの映画で視たよ」
櫻殿の気持ちも分かりますが、相手が知性体なら交渉は有効だと思うますよ。但し、敵意が無い、若しくは、抑えられる事が出来る相手となりますが。しかし、櫻殿、桃子殿の発言で、今一度、守護獣殿を観察すると・・・確かに、過去の資料の中で習った太古種 恐竜の一種、暴君竜に似ていますね
「何でと言われてな、俺達の置かれた状況から最善の手だと思ったから、交渉したんだが? まぁ~、桃ちゃんが視た映画が何か、予想はできるけどな。それと、暴君竜とは、似て非なる存在だと思うぞ?」
『ふむ。この場に居る全ての者に、吾の会話が聴こえているのは、念話を、ちと特殊な使い方をしているからだ。しかし、恐竜に暴君竜・・・』…念話
「大地さん、恐怖心は無かったの? 私は、大地さん達の会話を聴いてて、恐怖心は多少 薄まったけど・・・今は、好奇心が恐怖心に勝ってるけどね」
桃子殿が感じた恐怖心は、全員が感じてると思う。綾目様と櫻殿も、恐怖心を今も持っているのは予測できる。自分は使命感から、抑え込んだ。けど、完全では無かったから、会話などできる余裕などなかった。その点、大地殿はどうだったのだろう? …ッチラ(盗み視)
「恐怖心なら、今も持ち合わせているぞ? 体格が違い過ぎるから、完全に拭い切るには絶対的な信頼がないと無理じゃね? 俺が恐怖を抑え込めたのは・・・っと、それよりも、移動しないか?」
大地殿が不自然に話を打ち切ってきたな。恐怖心を抑え込むのに特殊な事情でもあるのだろうか? この場に何時までも留まっていても仕方ない、移動するのに問題はないか。今更、守護獣殿が罠に嵌めるとも思えぬし、最低限の警戒だけしていれば、問題ないかな
「・・・ん、移動するのは問題ない。ただ、恐竜さん、乗せて♪」…キラキラキラ(耀く眼)
「すいません。私も乗せてほしいです」
櫻殿・・・って、綾目様まで、何を言うんですか~~…ええぇぇっぇぇぇぇえ(驚)
「櫻殿、綾目様、さすがにそれは・・・」…タラ~リ(汗)
「っあ。それなら私も~~」
って、桃子殿~。追い打ちを掛けないで
「あ~・・・すまんが、頼めないか?」…っす、ペコリ(片手上げ、お辞宜)
だ、大地殿~~~
『ふむ・・・まぁ~、構わんだろう』…念話
って、良いのかよ!
その後、全員が背に乗せて貰う事になった。守護獣殿が背を向けて、前傾姿勢になり、全員がその背に上り、背びれ? それに捕まる事で、振り落とされない様にしたのは言うまでもない。っと、言うかですね、守護獣殿の根城(本拠地)に向かうのに、登山道を通らずに、近道だからと斜面を下って行くんですよ! 岩場でなく、樹が沢山 生えている所に突貫ですよ。ただ、10㍍を越える巨体なのに、廻りの樹木を傷附けずに、通り抜けていくのには驚きました。自分には判らない、超常的な事が起こっていたとしか思えません。根城(本拠地)まで数分の旅でしたが、貴重な体験をしました
つづく
鱗 を 堅そうな皮 に変更




