治療スキルは福を呼ぶ
-チュートリアルクエスト 探索者の心得 クリア-
獲得:任意の武器(+3) スキルポイント+3
前回と同じくクエストクリアが表示される。それと同時にもう1つウィンドウが表示され、そこには鉄の~と言ったシリーズの武器がかなりの数と決定というボタンが表示されていた。まず、スキルポイント3を使い取得経験値増加を取る。そして武器一覧の中から先程も使っていた鉄の片手剣を選択し迷わず決定を押すと、
<鉄の剣を選択しました〉
該当武器がアイテムボックスに送られます。
尚 アイテムボックスを所持してないため取り出すことは現在は不可能です。
と表示された。どうやら手に入れたアイテムが目の前に急に出てくることは無く、アイテムボックスという所に送られるようだ。
(なるほど、贈り物は倉庫とかに送られるタイプのようだ…。アイテムボックスかいつか手に入れなきゃね、いやその前に今日の宿か…どうしよう。)
新米講習が終わりヘトヘトになっていた所今晩の宿がないことに気がつき、どうしたものかと思っているとお姉さんが話しかけてくる。
「新米くんどうしたニャ?講習は終わったニャ。」
「実は今晩の宿が無く…どうしたものかと。」
「それならさっき覚えたヒールで私のパーティメンバーの治療をしてくれないかニャ? お金は支払うから、そのお金で今日はギルドの空いてる仮眠部屋貸してもらうといいニャ。仮眠部屋の申請はもうすぐ終わっちゃうけど、受講完了の報告ついでに私がやっといてあげるニャ。」
「是非受けさせて頂きます、ありがとうございます。」
-クエスト 獣王の娘の治療 受理-
報酬:はじまりのダンジョンMAP 場所:キャメロン城下町
スキルポイント3
ダンジョンMAPか、これは当たりクエストのようだ。というか獣王の娘?もしかしてやんごとなき方だろうか。クエスト表示は周りには見えていないようだから、私が知っていることを知られて怪しまれないように気をつけなければ。
「じゃあ最初の教室で待っててニャ、パーティメンバーを連れてくるニャ。」
そう言うとギルド内に戻っていくお姉さん、かなり足早なところを見るとやんごとなき方の治療の目処がたったから急いでいるのだろうか。
これは戻って居なかったら怒られるかもしれないと思い、すぐにその場から移動すると教室にはまだ誰もいなかった。よかったほんの少しだけ不安だったんだ。待っている間手持ちの1スキルポイントの使い道を考える。スキル一覧を見たところ1ポイントスキルには常時発動バフのようなスキルが多いようだ 。
腕力⬆ 持久力⬆ 知力⬆ 生命力⬆ 器用さ⬆
片手剣装備時全能力⬆…etc
などがある、この世界にもやはり腕力と持久力以外の能力値があるようだ。他にも沢山あるが現状だと最後のが良さそうだと思い取得する。そうして無事取得が終わり、片手剣を装備している時の自分を思い、頬がニヤケてしまう…うへへ。
そんな時教室の扉が開き講師のスズとその後ろから気品を感じさせる美しき女性と、背が高いく体つきの良い男性が入ってきた。尚2名とも獣耳としっぽがある。
「待たせたニャ新米くん!早速だけど紹介させてもらうニャ。こっちが君の治療を望むパーティメンバーのローラと、同じくパーティメンバーのロウニャ。」
「初めましてローラと申します、この度はわたくしの治療をして下さるとのこと、感謝いたします。」
「ロウだ、ローラさんの治療をしてくれることオレからも感謝を。」
そう言って2名とも頭を下げる。片方が獣王の娘と知っている身としては非常に居心地が悪いので、頭をあげさせる。
「初めまして ケイと申します。スズさんに講習で沢山のことを教えて頂きましたし、報酬も頂けるのでお二人共そんなに頭を下げずとも大丈夫ですよ。」
そう言うと2人は頭をあげる。なるべく早く治療を終わらせてしまいたいと思いさっそく患部を見せてもらえるか言うと、ローラはズボンをめくり包帯で巻かれた足を露わにする。そしてその包帯を取ると、そこには深い三本の爪で引き裂かれたような傷であった。
「治療して欲しいのはこれニャ、できそうかニャ?」
「ヒールを使うのは初めてなのでなんとも…とりあえずやってみます。」
そう言い掌を患部に向けヒールを唱える。すると完全には治っていないが、先程よりは傷の深さが浅くなり明らかに良くなっていた。
「おお!治療出来てるニャ! そのまま頼めるかニャ?」
「勿論です、クールタイムが60秒かかるのでお待ちください。」
スズ達は当然それを了承すると、そのまま治療が再開される。1度目より2度目、2度目より3度目と良くなっていく傷は都合8回ほどヒールを使った後無くなり、元々あったのであろう綺麗な肌をした脚になっていた。
-クエスト 獣王の娘の治療 クリア-
獲得:はじまりのダンジョンMAP 場所:キャメロン城下町
スキルポイント3
「ありがとニャ ケイ!これでダンジョン探索を再開できるニャー!」
「おお!治っている!ケイ…ありがとう!」
「わたくしからもお礼を、本当に助かりましたわ。
わたくし達はダンジョン探索が滞るととても困る事情がございますの、それを救って下さり感謝いたします。ですのでスズが言った報酬とは別に、こちらをお受け取りください。」
そう言うとロウから目の前に差し出される木板に乗った皮袋と金色の硬貨5枚。これはなんだろう?
「こちらは魔法の袋、アイテムボックスと言う方もいらっしゃいますわね。」
恐る恐る手に取って見てみるこれがアイテムボックスか。見た目はただの皮袋だがこれは貴重品なのではないのだろうか…いただいても良いのかな?そんな不安が顔に出ていたのか、
「ふふ、心配せずとも受け取っていただいて大丈夫ですよ。それにそれはケイさんが手に取った瞬間に、その袋はケイさんだけのものになっております。他のものが使うことは出来ません。」
「えっ…!」
まさか手に取っただけで他人が使用出来なくなるものがあるとは…狐に摘まれた気分だ…意外とイタズラ好きなのだろうかこの王女様 。ならば仕方ない、有難く使わせてもらおうと思いお礼を言う。
「ありがとうございます、大切に使わせていただきます。」
「ふふ…喜んでいただけたようで何よりです。ではわたくし達はこれで。」
「またニャ〜ケイ。」
「また会おうケイ。」
こちらに向かって挨拶しながら部屋から出ていく3人に向かい手を振り応える。思わぬ形でアイテムボックスが手に入り、本来の報酬も受け取った私はさっそく教室を出ると、受付の人にギルドの仮眠室の場所を聞き向かう。幸いこういった時に貸し出す仮眠室は空いている時は1人用の部屋であるらしい。
そうして部屋に入るとさっそく袋の中に手を入れる
…?見た目からはありえないほど広いが何も入ってない? もしや使い方が違うのだろうかと思っていると、突然ウィンドウが出てくる。
~チュートリアル~
・カワシロ ケイのアイテムボックスは、袋のどこでも良いので触れながら心の中で(アイテムボックス)と唱えるとアイテム一覧ウィンドウが表示されます。
アイテム所持枠は初期は100枠です。
アイテム所持枠はアイテムボックス強化やスキルで拡張可能です。
同じアイテムは1枠に重なりますが、重なる数は99までです(品質の違う武具は別枠になります)。
アイテムボックスに入れる時は、袋の入口にアイテムを当てると枠に空きがある場合自動的に収納されます。出す場合は該当アイテムを選択し個数を指定した後出庫ボタンを押してください。
・-----------------以下の表示権限を持ちません
新しく開放されたチュートリアルに目を通す、わざわざ私の名前を指定するという事は他のアイテムボックスとは違うのだろう。使い方がわかったのでさっそくアイテム一覧を表示すると中には鉄の剣(+3)があるので取り出す。ずっしりと重いその剣は鋭利な両刃の剣で、うっかり足に落としたりしたらスパッと切れてしまいそうだ。しかし…カッコイイ…!惜しむらくは、+3の数字が何を表すかが分からないことか。
鉄の剣に見とれていると体が異常に軽いことに気づく、なるほどこれがステータスアップか。
心做しか疲れが収まった気がするので持久力も上がっているのだろう、全能力アップは伊達では無い。
そうして全能力アップのことを思い出すと同時にスキルポイントが現在3ポイントあることを思い出す。
使うか悩むが城下町入口の馬車の件もあるのでスキルポイントは常に3ポイント余らせていてもいいかもしれないと思い、今スキルを新しく取得することはやめて床に就くとこにする。
(明日は遂にダンジョンだ。戦闘するから命の危険もあるだろうに、楽しみすぎて心臓がうるさいくらい鳴っている…。)
明日の冒険を思い、深い眠りにつく。
始まるのだ 私によるダンジョン攻略が。