猫耳お姉さんは教え上手
「それじゃ、まず座学からニャ。
別室に移動してやるニャ…なんでニヤニヤしてるニャ…?」
突発発生した美味しいクエストに思わずニヤついて引かれてしまう。これはいけないと、気持ちを切り替えて移動すると別室は初等教育の教室のような作りの部屋であった。
「んじゃそこ座るニャ、始めるニャ。まずダンジョン探索者とは何かと、ダンジョンについて話すニャ。」
そこから暫く話し出すお姉さん、それから大体2時間しないうちに話が終わる。要約するとこう。
ダンジョン探索者
・世界に散らばる地下に広がるダンジョンを探索するもの
・そこから得られるお宝やドロップ品を売ったり使ったりして生計を立てる
・ダンジョン内のドロップ品は基本最初に見つけた人のもの
・任意でクエストを受けられる クエストの取引は基本ギルドが仲介に入って行われる
ダンジョン
・世界に多く散らばっている地下に広がる空間
・基本的にダンジョンは国営
・入場は無料(身分証確認あり)
・モンスターが蔓延っておりボスと呼ばれる大物がいる階層もある
・美味しい報酬を落とすレアモンスターや基本戦うのを推奨しないデンジャラスモンスターもいる
・壊せるかべなどの先にある隠し部屋もありレアな物資があることも
他にもあったが大事なところをまとめるとこんなところだ。それにしてもレアモンスターに隠し部屋とは、なんとゲーマー心のくすぐられることだろう。
スキルにそういうの見つけられるのないかな?後で確認してみよう。
「分かったかニャ?んじゃ次に戦闘訓練ニャ、訓練所行くニャ。」
そう言うと私を連れて部屋を出る、しばらく歩くと大通りの反対側の外に。木人人形や広いグラウンドがあるところを見ると、ここで戦闘訓練を行うのだろう。
「よーしやるニャ、でもその前にコレのむニャ。」
そう言うと目の前に差し出される、ガラス瓶に入った謎の透明な液体。
「これは?」
「これは経験値薬小ニャ。これ一本飲めばレベル1から2に上がるから、それで戦闘順応というスキルをとるニャ。ちなみにこれそこそこ高いからこぼさないでニャ。」
手厚い!まさか1レベルとはいえレベル上げまでしてくれるとは思わなかった。ありがたいが…既に2なんですよね。
「すみません、既にレベルは2なんです。ここに来る途中スライムに襲われて倒しました。」
「んニャ!?魔の領域を通ってきたのかニャ!?
…とんだ命知らずニャ。」
「魔の領域?」
「知らずに通ってきたのかニャ? 魔物はダンジョン以外では湧かないニャ。でも一部だけそうじゃない場所があるニャ、それが魔の領域ニャ。」
どうやら私は相当危ない状況でこちらの世界に来ていたようだ。よもや目覚めた場所がそんな超危険地帯と思っていなかった。生き残れたのは運が良かったんだな。
「まぁ、レベル2でもいいニャ、どちらにしろこの薬は講習受講者には飲む権利があるニャ。レベル2なら3まで上がるだろうからラッキーくらいに思って飲むニャ、ほらぐいっと。」
そう言って私に薬を渡して飲む動作をする。それならば断ることは無いと思い、ぐいっといく。すると頭の中でファンファーレが鳴る。
~カワシロ ケイ レベルアップ 2→3Lv~
腕力上昇⬆ 持久力上昇⬆
スキルポイント+1
習得:ヒール1Lv(CT 60s)
おお!魔法を覚えたようだ。
これは名前からして回復魔法かな?そしてこの世界では魔法はCT制度を利用しているようだこれはありがたい。時間を待てば回復魔法を使えるならダンジョンにも長く潜れるだろう。
しかもLv1ということは2があるということ、どうやったら上がるのかな?上がったらどうなるのかな?
考えるだけで楽しい…まずいニヤケてしまう…うへへ。
「…すごい顔してるニャ、良い魔法でも覚えたかニャ?」
「あ、はい。凄いかは分からないのですが「ヒール」を覚えました。」
「ヒール!?超便利呪文だニャ! よかったニャね!んじゃ、さっそくスキルを取るニャ。」
そう言って私を祝福してくれるお姉さん。
温かい気持ちになりつつ目的のスキルを探すと見つかったので取得する。どうやら1ポイントスキルだったようだ。取得すると体の感覚が少し変わる、なるほど体の使い方が前よりよく分かる。そうして無事取得したので戦闘訓練を開始する、
「んじゃ好きな武器選ぶニャ。先に言っとくと武器にはそれぞれ熟練度があって、それが上がると装備してる間のステータスアップや新しい戦術スキルを覚えるニャ。慎重に選ぶニャ。」
「なるほど、戦術スキルとはなんですか?」
「戦術スキルは魔法スキルと違って該当武器を使っている時だけ使えるスキルニャ。ただし効果や威力が魔法スキルより強いことが多いニャ。ちなみに該当武器を使わないと使えない戦術魔法スキルもあるニャ、これは上級スキルとも呼ばれていてとっても強力なスキルだニャ。」
「なるほど、魔法を専門にして戦うことは最初は難しいですかね。」
「使用すると強力な魔法スキルが使えるようになる魔導書という道具があるニャ、
運良くそれを手に入れることが出来た人が魔法専門で戦っていることがあるニャ。けど魔導書はとっても貴重で目玉が飛び出でるくらい高いから、そう言う人間は大体位の高い貴族ニャ。」
魔導書の貴重さと武器選びの重要性について教わったので武器選びを開始する。とは言っても最初の武器はもう決めてあるので、私は立てかけてある片手剣を選ぶ。本当は盾も欲しいが恐らく今の実力では両手で力を込めないと切れないので選ばない。殺られる前に殺るスタイルだ。
「あ、言い忘れてたニャ、ポイント余ってるなら経験値取得増加か熟練度取得増加を取るといいニャ。
どっちも3ポイントスキルだけど最初のうちから絶対取っといた方がいいスキルニャ。多分どっちかしか取れないと思うからおすすめは熟練度の方ニャ、レベルアップではランダムで魔法が習得出来たりするけどあんまり宛になんないニャ。レベルで強さが測れない原因だニャ。モンスターは別だけどニャ。」
「モンスターは別なんですか?」
「モンスターは生まれた時に使える魔法以外は覚えないニャ。レベルアップで上がるのは能力値だけだからレベルがそのまま強さニャ。」
ありがたい情報を惜しみなく与えてくれるお姉さん。もしかして探索者ギルドの方は優しい人が多いのかな。
熟練度取得増加スキルを習得する。この受講が終わったらスキルポイント3貰えるから経験値の方も習得しよう。
「じゃあまずは防御ニャ、最初は軽く打ち込むから不格好でもいいから頑張って防ぐニャ。その後はキミが打ち込んで来るのを終業まで休憩を挟みつつ繰り返して、講習は終わりニャ。」
そうして始まる戦闘訓練は昼過ぎから始めたので5時間程の訓練を行い終了する。終わった瞬間地面にへたり込む。長距離ウォーキングに始まり穴掘り戦闘訓練と我ながらよく頑張ったものだ。そして今日1日頑張った成果を思う。
-熟練度アップ-
片手剣1→3Lv
片手剣を装備している時腕力上昇(品質依存)
戦術スキル:パワースラッシュ1Lv(倍率:x2)
-能力値アップ-
腕力上昇⬆ 持久力上昇⬆
スキル習得か…やばい泣きそうだ。
向こうにいた時何度思ったかな、ゲームの世界に行けたらと。今日だけで何度夢が叶っただろう。
レベルが上がった、魔法を覚えた、スキルを覚えた、熟練度が上がった…あぁ…楽しい!私はこの世界が大好きだ! 改めて思う、私はこの世界にこられてよかった!
「こんなに楽しそうな世界なんだ!遊び着くしたくなってしまうのはゲーマーの性かな?」
きっと、そうなのだろう。だってこの世界は応えてくれる。私のやり込みに、考察に、想いに。この瞬間異世界に迷い込んだひとりのゲーマーは、この愛しき世界をいつか死ぬその時まで攻略してみせると誓った。