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【160万PV突破】オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする 【完結済み年間13位獲得作品】  作者: 山親爺大将
1章 デビュー編

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オッサン齢53歳にして補習する。

高速を使って、2時間ほどで目的地のダンジョンまで辿り着いた。


元は自動車講習所だった場所にダンジョンが現れてしまい、そのまま国が接収した所だそうだ。


おかげで駐車場が広い。


受付に行き申請書にサインをして提出すると、ポリカーボネートにダンジョン素材を混合した盾を2枚渡してくれた。


ダンジョン用に色々改良されているらしいけど、素材の事を言われてもよく分からないので軽く聞き流す。


レンタル品となっているが、壊れるまで貸与との事なので実質貰ったようなものだ。


そして講習会場となってる体育館みたいな建物へと向かったのだが、まぁ、予想はしていたけど、みんな若いなぁ。


確か、最近法律が変わって16歳から探索者になれるんだっけか。


20人くらいがたむろしているんだけど、俺だけ場違い感が強烈だな。


「ん?」


こういう場所に来ておる人は活気に満ちている。


やる気がなければこんな講習に来ないし、若い事もあって明るい未来が待っていると信じて疑ってない。


そんな中でそこだけ照明が当たってないのかってくらい暗い雰囲気の女の子がいた。


暗いというか、絶望感が凄いという感じだな。


なんだろう、俺が自分のクラスのステータス確認した時を思い出す。


…っていうか、もしかして同じ境遇か?


うーん、どうしよう?


気になるけど、こんなオッサンがあんな若い子に声かけたら、通報されるんじゃなかろうか?


うーーーん。


よし!


講習に集中しよ!


実力も財力も無い俺じゃ相談に乗ってあげても何も解決出来そうに無いもんな。


そう思いつつ、講習を受ける事にした。


最初は盾の基本的な使い方などの座学から始まったのだけど、使った事のないものを口頭で説明されてもイマイチイメージ出来ない。

ピンと来ないのである。


一通り説明が終わったらしく、実践形式で教えるのでグループを作ってくださいって話になったのだが。


そりゃあ、俺とかハブられるよね。


明らかに異物だもんなぁ。


そうして、ずっと下向いて、暗黒オーラを垂れ流している彼女と俺が必然的にくむことになる。


「オネガイシマス」

え?なんて?


めちゃくちゃ落ち込んでいるせいか、声が聞き取りにくくてしょうがない。


「あ、ごめんね、おじさんもう年齢的に耳も遠くなって来ててさ、もう一回良いかな?」

隣の若い男がかなり見下した目で俺を見てる。


忘れないからな!


「お願いします」

今度は少し大きな声で言ってくれたから、ちゃんと聞こえた。


「ああ!こちらこそお願いしますね!おじさんも初心者でね!全然こういうのは分からないんだ!」

努めて明るく話すようにする。


挨拶を交わした所でタイミングよく講師の人がやって来た。


なかなか強面のお姉さんである。


体格も166cmの俺より大きいし、しっかり鍛えているようだ。


おそらく現役の探索者なんだと思う。


「盾2枚とは珍しいな。

双剣使いは割といるが双盾使いは滅多に居ないぞ」


「滅多にって事は、いる事は居るんですか?」


「あぁ、だがそういう奴はスパイクシールドのような攻撃の出来る盾を持ってる。

お前の持ってるシールドは攻撃には向かない盾だぞ」


「あ、いずれはそういう装備にしたいのですが、いかんせん予算の都合がつかなくて」


「あぁ、なるほどそういう事か、まぁ頑張れ。

そしてお前はまた随分デカいシールド持ってるな」


そう言われた視線の先には先ほどの女の子が自分の身体がすっぽり隠れるように盾を構えていた。


この子自体が150cmも無いだろう小柄な女の子なので、一際大きく見えるが、持ってるシールドはいわゆるライオットシールドという、テレビなんかで見る暴徒鎮圧の時使うあの盾だと思う。


多分俺のと同じで素材にダンジョン産の何かを使う事でダンジョン仕様になっているんだろうけど。


っていうか、あれ?こんな大きなシールドどこから出したんだ?


俺が気づかなかっただけ?


強面のお姉さんは見た目に反して、いや、見た目通りの姉御肌なのかな、かなり丁寧に俺たちに教えてくれた。


…まったく身に付かなかったけど。


「いやぁまいったな、どうする?補習していくか?

延長で最大2時間は教えれるけど?」


「すいません、出来が悪すぎて」


「あ、そりゃまぁ、人によって得手不得手あるからしょうがないんだけど、このまま何も身つかないで帰ったら、今までの時間が無駄って事になってしまうからな、せめてスキルのとっかかり位はほしいだろ?」


「よろしくお願いします」

俺は素直に頭を下げた。


「あの、私もお願いして良いですか?」


「もちろん!少し休憩して、そうだな20分後くらいからまた始めよう」

そういうと、お姉さんは飲み物を買いに行くと言って出て行った。


「いやぁ、なんかごめんね俺が要領悪いせいで、講師のお姉さん占領しちゃって」


「え、いやぁ、私の方こそ同じ事何回も聞いてしまってすいません」

あ、この子いい子だな。


目がクリっとして可愛らしいし、全体的にリスやハムスターのような小動物のようなイメージを受ける。


教えてもらってる内容を見る限り、完全にタンク寄りの動きなので、見た目通りでは無いんだろうけど、なんか保護欲を掻き立てる印象がある。


「ところで、言いづらかったらごめんなんだけど、何か落ち込むようなことあった?

あ、いや、暗い顔がね、俺がクラスとって絶望した時に似てたもんだから、気になってね。

あ、いや、言いたくなかったら全然言わなくて構わないから、あ、でも、ほら、嫌な事って言うだけでも気持ち楽になるって言うし、えっと、そのぉ…」

言い訳しながら話してるせいか、だんだんしどろもどろになっていく。


「優しいんですね!あの実は私パーソナルクラスを選んだんです。

協会と契約してローン組んで。

で、そのクラスの名前が鏢師って名前だったんです。

鏢って、何かなって調べたら投擲武器の事で、忍者の手裏剣なんかも含まれるって書いてあって。

忍者ってカッコいいじゃ無いですか!

それで、憧れて、借金の契約もして、なったんですけど…。

鏢師って、運送屋さんの事だったんです!

クラススキルも鏢車っていう名前のアイテムボックスだったんです」

名前に釣られた仲間だった。


「俺も堪忍者っパーソナルクラス選んじゃってね、堪、忍者だと思ったら堪忍する者だったんだよね。

それでも、なんとかやっていけてるし、大丈夫なんとか出来るって」

ちょっと、ありきたりな励ましだが、他にも気のきいたこと言えるほど出来る男じゃ無い。


「じゃあ、パーティ組んでくれますか?

アイテムボックスなんて、ダンジョン産の収納袋あるせいでどこにも需要ないんですよ?

この講習だって、アイテムボックスじゃ誰もパーティ組んでくれないから受けたんです!

大丈夫なんて気軽に言わないでください!」


「え!逆に聞きたい?俺とパーティ組みたいって思える?

クラスも完全に外れクラスだし、メタボなおっさんだし、一緒に居て楽しくないよ?

言い方悪いけど、そんなに可愛い顔してるんだし、一緒にダンジョンで探索出来るだけで楽しいって思えるでしょ?

クラスとかスキルとか関係無しにパーティ組みたがる人なんていくらでもいるでしょ?」

ダンジョンを出会いの場と思ってる奴らは少なからず居る。

これだけ可愛らしい顔立ちで、スタイルも昔で言うところのトランジスタグラマーって奴だ。

勧誘が無いって事はないだろう。


「私はダンジョンに出会いは求めてないんです!

稼がないとならないんです!

そんなナンパ目的で5層のボスにすら挑まないみたいな人たちじゃダメなんです!」


「え?でも俺もそういう奴らと一緒かもしれない?」


「何言ってるんですか?

それって、協会推薦もらった人しか借りれないレンタル装備ですよね?

協会の推薦もらえる人がボスに挑まないなんてあり得ないじゃ無いですか」

そう言って、俺の盾にあるレンタルの文字を指さす。


俺が無知なだけで、レンタルとか割と広く知られてるんだな。


もう少し探索者の常識ってやつを勉強しないといけないかもしれない。


「うん、分かった、パーティ組もう!

正直、1人で黙々とモンスター倒すのって精神的にくるものがあったんだ。

あ、ただ、潜るダンジョンはうちの近くのダンジョンにしたいんだけど大丈夫かな?」


「あ、免許も車も持ってますから、大丈夫です」


「…え?」


「あ!私の事子供だと思ってました?

これでも22ですからね!」


なんと、美少女じゃなくて、美女だった。

いや、無理があるだろう!

どう見たって美少女だって!

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