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お人好し令嬢の異世界婚活記1ー婚約するたびに人生が終わってしまうので神様に異世界修行に飛ばされました  作者: カンテラ澪


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6、リセット回避は魔法発動のせい

「お嬢様、、血が、、血が、、」


私の専属侍女のエバが、床を這って私を心配して近寄ろうとしてくれているが、アレクサンダーお兄様がそれを制する。


「エバ、何があったかシュベールに隣室で説明してくれると助かる。リリエルは私が見るから」


お兄様が人払いをし、エバは他の侍女に支えられて、シュベールお兄様についていった。

私のドレス室には、アレクサンダーお兄様と、黒いローブをまとい帯剣した人がいる。お兄様と印象が似ているからお兄様の影かしら?


お兄様は仁王立ちしている私に優しく声を掛けてくれた。


「リリエル、力を抜いて。もうそのドレスも離そうか。それともまだ持っていたいかな?」


私は忌々しいそのドレスを見て、パッと手を離した。ドレスから白い湯気がゆらゆらと上がっている気がしたけど見て見ぬふりをした。


「そのドレスはお気に入りだった?」


「、、、いいえ、嫌だったの。

お母様が今度の王宮の子女のお茶会にこれを着て行きなさいとおっしゃったから、でも私には派手すぎて。公爵令嬢は目立ちなさいと言われたのだけど、私、、目立ちたくないの」


涙が溢れる。人生リセットドレスとは言えない。

阻止しないと、またやり直しになるなんて口が裂けても言えない。

もう一日だってやり直す気力がないかもしれないくらい苦しいし、死にも物狂いで努力してる、つもり。。。


「わかった」


お兄様が優しく抱きしめてくれた。こんな風に抱きしめられたのはいつぶりだろう。ミカエル様みたいだった。


「で、そのド派手なドレスを拒絶するために、無意識に魔法が発動したと言うことか」


(魔法が発動って何?)


お兄様ともう一人そこにいる影が会話してる。


「しかし、強力な雷魔法だったな。

魔力に目覚める年齢とは言え、まさかホワイティエ公爵家の姫の魔力量がこれほどとは。

陛下に報告が必要なレベルだ。

それに魔法師団で調べさせてもらうぞ」


(いやそれ魔法じゃないし、声には出せないけど、智天使ケルビム様の静電気ですよ。)


「わかっている。やはり雷魔法だったのか。俺も父上に報告しなくてはならないな」


(雷魔法って何?お兄様、静電気ですってば)


「リリエル、もう少しおまえと話したいが、体調は大丈夫か?」


「はい、お兄様。さっきは身体が痛かったのですが今は大丈夫です」


その時、黒いローブの影が聞いてきた。


「リリエル嬢、一つ聞いてもいいだろうか」


私はこくんとうなずいた。


(今は、はい、という言葉を発したくないから)


「黄金のドレスが嫌だったなら、君が着たかったドレスは?」


私はお兄様の腕の中から指をさした。


「あの薄紫のふわふわの、銀の刺繍の縁取りで、、」


影の人は瞠目し、吸い寄せられそうな瞳で微笑んで言った。


「ありがとう」と。


同時にお兄様が「チッ」と小さい舌打ちをして、抱きしめ方が少し強くなった。

ありがとうってなんで?

お兄様が舌打ちって何?


「そうか、ではお茶でも飲みながらゆっくり話そう。

その前にドレスを着替えようか」


「え?なぜ?」


「魔法のせいで少し汚れたからね、着替えるといい」


お兄様は、お話の間、ずっと抱きしめてくださっていた。抱擁を解かれた私は、ドレス部屋の鏡を見て絶叫した。


「、、、ぎゃああああああああっ、何これっ!」


髪の毛はチリチリと360度広がり、頭頂部と手のひらから湯気がたちのぼっている。


形の良い高さのある鼻からは、鼻血が流れ、口周りから首周りまで血まみれ。

ドレスはあちこち焦げていて、柔らかな室内用の絹の靴は底が無くなっていた。

まさしくホラーなのに、お兄様達はなぜそれに触れずに普通に会話していたの?


そして意識がなくなった。


そしてもう一つ失念していた。

あの黒いローブの人は、私が選んだドレスの色と同じ、より輝く銀髪、深く透き通るアメジストの瞳、彼はお兄様の影ではなくてベルプリ人気第一位の、あのお方だったのだ。


毎日読んでいただき、ありがとうございます。明日も21時ごろに投稿します。

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