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38、気づいた魂

銀の間で神とセラフィム、ケルビムの話し合いはまだ続いていた。


「ケルビム、リリエルを愛しているのだろう。」


「主よ、これは慈愛だと思っています。」


「ケルビム、気がついてないのか。白百合の乙女の光はおまえの」


「セラフィム殿、それは最初からわかっていました。だから主が私に託してくださったのだと。」


「ならば今が一つに戻る時ではないのか。」


「だとしても、リリエルには幸せな人生を歩ませてやりたいのです。リルはこれまで寿命まで人生を全うした事がない。ルベールと添わせてやりたい。」


神が唸っている。熾天使セラフィムも言葉を失った。


銀の間の扉がノックされ、座天使ザフキエルが戻ってきて、神とセラフィムに耳打ちする。


「そうか、見つけたか。」


「はっ。」


神が微笑んだその時だった。

ケルビムが呻き声をあげ胸を抑えてしゃがみ込んだ。同時に銀の間にリリエルの叫ぶ声が反響する。


『ケルビム様、ケルビム様っ、駄目です。行かないでくださいっ、ケルビム様、ケルビムさまぁぁぁぁぁぁ!』


何度も何度もリリエルの叫ぶ声が反響する。

『アンソニー様っ、堅志郎さまっ、ジェームズ様、隼人さん、エルラールお兄様っ!行かないで!』


神がケルビムに言った。

「ケルビムよ、リリエルが気がついたようだな、さあどうする。」


「。。。。。」


「セラフィム、ザフキエル、ケルビム、我々も生命の樹まで行くぞ。」

神がパチンと指を鳴らすと、銀の間から生命の樹まで瞬間に移動した。


※ ※ ※


生命の樹のある庭では、リリエルが生命の樹の枝に乗っかったまま、一つの実を抱きしめて泣き叫んでいた。


「ケルビムさまっ、行かないでください。お願いです。お願いっ」


神とザフキエルはリリエルを見、次にケルビムを見て笑いを堪えている。セラフィムは険しい表情だ。ケルビムは胸を抑えつつため息を一つついて口を開いた。


「リリエル、そこで何をしているのだ。」


「っ、、、、その声はケルビムさま?」

生命の樹の上からリリエルが振り返る。


「ここで待つようにとは言ったが、なぜ生命の樹に登っている。」


「登っていいと、、生命の樹さんが、、」


ザフキエルが笑いながら言う。

「普通は生命の樹には登れないが、樹が枝を差し伸べれば、リリエルのように登ることができる。」


「あのケルビムさま、これケルビム様の生命の実です。見つけました。私、今まで気がつかなくて、、、ごめんなさい。」


リリエルの目からは涙が溢れ続けている。

ケルビムは額に手をやりながら、深いため息をついた。


「リリエル、とりあえず降りてきなさい。」


「はい、えっ?あっ高くて、、、」


リリエルは樹から降りようとしたが無意識に高いところまで登ってしまっていたので足が震えて降りられない。


「今行くからじっとしてなさい。」


ケルビムは、さっと飛び立ちリリエルがつかまっている枝まで迎えにいく。


「さあ、私につかまって。実は離してよい。」


「嫌です。離したらケルビム様が凍結されてしまいます。」


「ここには神もセラフィム殿もザフキエル殿もいるから、すぐに凍結にはならない。それに私の中にも実があるのを見ただろう?私の中の実が凍結すれば樹になっている実も凍結するのだ、だから離しても問題ない。」


「本当に?」


「本当だ。すぐにいなくなったりしない。」


頷いたリリエルが実を離すと、ケルビムはリリエルを抱きかかえ飛び立ち下に降りた。


※ ※ ※


リリエルはケルビムの腕の中で泣きじゃくっている。


「今頃気がつきおって。ここまで気がつかないのも珍しいぞ。」


「だって姿も何もかも違うのですもの。」


「エルラールは同じ姿だっただろう、全く。」


「ずっと素敵な、、、いえ、かっこいい、、いえ、その、どの人生で出会っても、すぐに好きになったのです。でもあまりにも安心感がありすぎて、恋愛感が薄いというか、好きなのにその、、、。」

リリエルが真っ赤になっている。


「元の魂が一つ、つまり同じ魂だったから安心感や安堵感があって当たり前だ。多くのソウルメイトは会った瞬間に何かを感じるものなのだが、リリエルは何も感じなかったのか?」


「、、、、会った瞬間、わけもなく好きになってました。」


「うっ。」ケルビムが絶句した。


神が咳払いをする。

「感動の再会をしたばかりだが、さて、どうしたものか。」


「主よ、私の決心は変わりません、どうかルベールの代わりに。」


「待ってください、ケルビム様、ケルビム様がルベール様の代わりに柱になったら、永遠にゲートから離れられないとききました。」


「リリエル、誰がそんな事を言ったのだ。」


「生命の樹さんが、、、。それも意識を持ったまま永遠に柱になってしまうと、、」


またリリエルの涙が溢れてくる。


「リリエルはルベールを助けたいのだろう?誰かが入れ替わるしかないのだ。私のことは気にするな。」


「いや、、です、、ケルビム様がいなくなってしまうのは、、、。 」


リリエルが嗚咽をこらえ泣きじゃくる。


ルベールかケルビムか、リリエルは大切な二人を失いたくなかったがどうしようもなかった。

どちらかを失う覚悟をしなくてはならない。その時、リリエルがふとつぶやいた。


「どうしてこの世界ではお兄様だったのですか?」


「「「えっ?」」」


「あの、、地球の人生の婚約者は全てケルビム様の化身だったのですよね?でもなぜウィンザー世界では、ケルビム様はお兄様だったのですか?」


「。。。。。」

その質問に顔をそらしたのはセラフィムだった。


「「「 えっ?」」」


読んでいただきありがとうございます。明日21時ごろに投稿予定です。

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