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お人好し令嬢の異世界婚活記1ー婚約するたびに人生が終わってしまうので神様に異世界修行に飛ばされました  作者: カンテラ澪


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36、一つだった魂

その頃、リリエルは生命の樹の前で、その後の指示を待っていた。


(ルベール様が助かる、、、でも)

少しほっとしたリリエルは、なぜだかしっくりしない気持ちを持て余していた。


(ケルビム様はもう卒業だと仰った。

それはもう会えないというように聞こえた気がした。

でもルベール様と私は人生が終わったらそれぞれ魂の間に戻るはず。

その時に会えるはずなのになぜあんな言い方を。

それにあんなに優しいケルビム様は初めてだった。)


一人考え込みながら立たずんでいたリリエルは、生命の樹がざわめくのを感じて、生命の樹の幹に手を伸ばした。


《うふふふ、、、また新しい巨大な光が生まれるわ》


生命の樹が、おしゃべりをしている。それも枝同士、葉っぱ同士のおしゃべりが幹を通して聞こえてくる。


《そうね、でも一つの光は柱になる》 


《あの光はそれを選んだ》


《人間の短い命のために永遠を捧げるのよ》


《それはね、愛よ》


《愛だけじゃない、恋をしたんだよ》


《億世紀の恋ね》


《わかっていたよ、だってあの光とあの光は一つだったからね》


《知っているわ。だってとてつもないあの大きな光が生まれたとき、あまりにも大きくて光の庭に入りきれなくて、小さな小さなかけらが落ちたのを見たのよ》


《小さい光のかけらはマリア庭園の近くに落ちたんだ》


《本当に小さくて小さくて白百合の乙女(しらゆりのおとめ)として生まれるまでに何億年もかかったんだ》


《でも光は、どんなに大きくても小さくても欠けたままでは一人前ではないからね》


《そう一つになってこそだよ》


《光は魂、だから元の光と欠けた光は一つの魂》


《二人で一つ》


《そうだ、だから、離れては生きられない》


《一つに溶け合うんだ》


《元は一つだったからね》


《でも柱になったら、一つにはなれない》


《寄り添って、寄り添って、離れて、やっとまた出会ったのに、また離れてしまうんだ》


《それが愛だから》


《今度は永遠の別れよ》


《元の光はそれを選んだ、そう、それが愛だから》


《そう、それが愛だから》


生命の樹は歌うように枝を揺らす。

ー木の葉がゆらめき、幹からもゆりかごのような振動が伝わってくる。

心地よい生命の樹のおしゃべりに耳を澄ませていたリリエルは、ふと気がついた。


あの日、


あの時、


あの瞬間、


そして、清々しい香り、


いつも「だいじょうぶだ」という声、

背中に感じる温かさ、


どこかであったような懐かしいひと、


サラサラの銀髪、サラサラの黒髪、色よりもサラサラ感が同じ?

透き通る瞳は深く深く心の中に、


ほっとする、


どんなに打たれても平気な静電気、

いつも振り返るとそこに感じた何か、

そして、

どこだ?という声、

ここにいる、という声、

早く戻っておいでと聞こえた、


そして、清々しい香り、

その光のその香りは、

いつも清々しい香りはどこでもいつでも、

同じジュニパーベリーの香り、


いつも、そこに、

いつも、そばに、


(もしかして、あの光の香りは)


(まさか、ジュニパーベリー)


(どうして、全然違う、見た目が違う)


(でも同じ香りを感じたのよ、同じ懐かしさを)


(いつでもどんな時も私らしくいられた)


(でも、私はルベール様を)


(銀髪、透き通るような瞳、老成したような理性)


(どうしよう、もしそうだったら、でも勘違いなら)


(勘違い、、、最後の額の口付けは、ジュニパーベリーの香りがした、、、勘違いじゃない、、、、)


リリエルは悶々とした気持ちをスッキリさせたかった。

意を決して生命の樹に語りかける。


「あの、生命の樹様、教えていただきたいことがあります」


《。。。。。。。》


「こんにちわ!【こんにちは】生命の樹様、私はリリエル・ブラックウェルです。百合香です。リリーアンです、小百合です、リリーです。私です」


《へえ、もしかして君は、白百合の乙女だね、知っているよ。》


「こんにちわ。【こんにちは】お仕事中失礼します。少々お伺いしたいことがあるのですが、」


《仕事中、というか、これから大変な仕事が一つあるけれど、もう少し時間があるから、君と話してあげよう、何だい?》


「あ、あの、つかぬことをお聞きしますが、その、ケ、ケ、ケルビム様は、人間になられたことはありますか?」


《彼は光だよ、魂を救うとてつもなく超巨大な光だからねえ》


「それは智天使様なのでわかっているのですが、一瞬でも人間として人間界に下りられたことはありませんか?」


《君も知っている通り、ついさっきまでウィンザー世界のエルラールだったじゃないか》


「それもわかっています。その地球世界で隼人さんになってた、、、なんて、、、、そんなはずないですよね」


《ケルビムが人間界に降りても秒単位だからね、僕たちもたくさんの光を生み出して管理しているから。

数千億年、数万光年、神が世界を作り始めてから、ずっと光を繋いでいるから全ての記憶はすぐには呼び出せないんだよ。》


「し、調べる方法はありませんか?」


その様子を座天使ザフキエルが見守っていた。

読んでいただきありがとうございます。明日21時ごろに投稿予定です。

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