24、婚約を続ける
投稿時間を間違えていました。今回は甘いお話です。
寝所で襲われかけた王太子殿下は、女性アレルギーで数日寝込んでしまった。寝所に女性を入れられないので、ルベール様の希望で私が身の回りのお世話をすることになった。
「ルベール様、お食事ですわ。」
寝台に起き上がったルベール様の背中にクッションを入れて、胸元にナフキンをかけ、サイドテーブルに食事のトレーをのせる。
「リル。ありがとう。今回は不甲斐ない姿を見せてしまったな。その上、侍女の仕事まで、、すまない。」
「ルベール様、何をおっしゃるのですか。あの程度の未遂で済んでよかったです。それに女性アレルギーは仕方のない事ですし、ルベール様に隙があった訳でもないですし、、、はい、アーン。」
「ん、、、、、リルに食べさせてもらうと美味しく感じる。」
「ふふっ、妹みたいなものではないのですか?ルベール様が私にだけ女性アレルギーが出ないのは、私が女性枠じゃないからですわ。」
「そう言うな、リルは美しいし、かわいい。好きな女性だけは特別だからアレルギーが出ないだけだ。公爵令嬢として育ってきたのに、身の回りの世話までできるなんて、リルは何でもできるのだな。」
「いつも侍女達がしてくれている事を、見よう見まねでしているのです。うちの侍女は優秀ですから、何年も手元を見ているだけでも勉強になりますのよ。それに魔法訓練の時は、自分の事は自分でしなくては、魔物討伐に侍女は連れていけませんから。それに、ルベール様の、、」
アーンをしつつ、合間に会話をする。調子に乗って、口が滑った。
「それに、、俺が、何だ?」
「、、、あの、、その、、。」
「どうした、気を使わずに話してくれないか。」
「その、、ルベール様の、、お世話を、、すれば、、お側にいられますし。」
自分で言っていて顔が火照ってくるのがわかる。
突然、スプーンを持った手をギュウっと握られた。
「ひゃっ」
次に気がついたらスプーンを取り上げられて抱きしめられていた。
「る、、、ルルル、ルベール、さまっ。」
「リルが可愛くてたまらないな。婚約式が済んでから、更に女性らしくなってきた。」
額にチュッと口付けが落ちた。
「ひっえっ。」
「リル、顔が真っ赤だぞ。」
髪の毛を撫でられる。もうダメです、心臓があぶないです。
「。。。。。」
「クッ、これ以上は、リルが失神しそうだからやめておこう。あまりに可愛いから揶揄いたくなってしまった、すまない。食事を再開しようか。」
「、、、もう、びっくりしました。」
「いつも額や頬には口付けているだろう。」
「ここは寝所ですから、、だめです。もうっ。」
「ほら、あーんを頼む、、、、しかし犯人がブレグ伯爵家の令嬢だったとは気が付かなかった。」
「かなり厳しい取り調べになり、遡り魔法も同時に使って調査したそうですが、伯爵家の指示ではなく本人だけの単独犯だったみたいです。でも王妃様のお怒りがすごくて。」
「母上の女性を見る目は厳しいからな。それにこれまでにも襲われそうになったことはあったのだが、結界が張ってある寝所まで侵入したのは今回が初めてだ。つまり警備が手薄だったということだ。それにリルが正式な婚約者になってから女性に追いかけられることも減っていたのだが。それにリルは公爵家の教育で厳しく育ってきたのだろう。母上がいつも言動や所作を褒めているぞ。」
「煽てないでください。私はいつも失敗ばかりして、六十六回、、、あっつ、、、ルベール様、はい、あーん。」
危なかった、六十六回も死んだなんて言えない。アーンで誤魔化しちゃった。
確かに王妃様は厳しいとは思うれど、国母として国の民を思いやり命を大切にすることに重きをおけば、王族として身内や貴族に厳しくあるべきこともよくわかる。いずれ私もそうなれるように努力あるのみ。
結局、ブリグ伯爵家は娘の監督不行届で、領地の一部没収、王都から所払いで領地に引っ込み、犯行に及んだ三女は離島の修道院へ永久幽閉となった。王家への不敬問題を起こした貴族の縁談は難しい。長女はすでに伯爵家に嫁いでいたが離縁され、次女は婚約が解消となった。結局、三女の単独暴走で二人の女性が不幸になってしまった。なんだかやるせないな。
※ ※ ※
それでも王太子殿下に取り入ろうとする女性は後を立たなかった。
魔法師団研究所で研究に研究を重ねて、ルベール様とシュベールお兄様と私は、新たな結界魔法陣を作り出した。私以外の女性がルベール様の半径二メートルには入れない結界に、それでも何かしらの術を使って無理矢理飛び込んでくると、転移魔法が発動して王城地下の牢屋に直行する、というものだ。
それから常にルベール様と行動することになり、私の居住場所もルベール様の寝所の隣、本来なら結婚後に住むはずの王太子妃の間になった。駆けつけられる距離が短い方が良いということだ。執務室もルベール様のお部屋が拡張されて、同じ部屋で王太子妃執務をすることになった。
よほどの事がない限り、朝の食事から一緒にとることになり、ルベール様と一緒に過ごす時間も多く、だんだん慣れてきて共に過ごす毎日が普通になってきた。一緒にいる時間が増えるほど将来国王になる人が婚約者だと考えるとビビってしまう。
寝起きの顔や、鍛錬後の汗をかいている姿や、行事用に正装している姿を見て、ドキッとする事が増えた。とにかく顔も外見も整い過ぎている。鍛えた体躯長い手足、高貴であることを隠しようがない優雅な所作、流れるような銀髪に深いアメジストの瞳、その上頭脳明晰、キリッとした表情も崩さない微笑みも、私的な時間にみせる色々な表情も、イケメンオーラがダダ漏れで畏怖を感じる事さえある。とは言え、お兄様枠で意外と気楽に接している自分に驚くこともあるけれど、ルベール様の事を好きになっていると自分でもわかるようになっていた。
ベルプリで恋愛成就率が高いのはこういうことなんだ。イベントの置き方や何でもない日々の過ごしかたが、恋愛が進むようになっていたんだ。もとい、なっていたのではなくて、そうなるように展開を設定し仕組んでいたからだ。それに慣れていくことで実体験での恋愛も上手く行きやすいということ。ベルプリ推進チームって凄かったんだと今更ながらに思った。
次回の投稿は20日土曜日21時ごろです。




