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16、驚愕の事実 ブルーレイ侯爵の双子姫編

一瞬意識を失って、気がついた私は、エドワード殿下の膝の上で確保されていた。


「あの、、殿下、、おろし、、」


「リリエル、また倒れると危ないからこうしていなさい。」


膝の上からおろしてほしかったが却下された。周りを見渡したけれど、みんな知らんふりをしている。まだ社交界デビュー前の十四歳の力は弱い。私の保護者はオウタイシデンカらしいと悟ったので黙った。それにはっきり言ってアレクサンダーお兄様と似ているオウタイシデンカ、さしずめ兄の膝の上に座る妹状態でしかない。


よって八人会議は何事もなく続行される。


※ ※ ※


そしてまた爆弾発言が落ちた。ブラックウェル魔法師団長が口を開く。


「リリエルは私の亡き兄バサラの娘、ブラックウェル直系の血筋だ。」


「「「「なっ!」」」」


私がブラックウェル侯爵家の娘?

またひっくり返りそうになって、エドワード殿下にそっと抱きしめられた。椅子に座ってたら椅子ごとひっくり返るところだった。今は膝の上が安心だ。


オウタイシデンカとアレクサンダーお兄様が切れた!さすが双子、二人同時に声が重なった。


「「父上、どういうことか説明していただきたいっ!!」」


※ ※ ※


話しは二十年前に遡る。


当時の国王には二人の王子がいた。第一王子ヘンリーは王太子で十七歳、第二王子アルフレッドは十六歳。

ウィンザー王国の男子の成人は十八歳、女子の成人は十六歳。王族はよほどの事情がない限り、成人になれば婚姻する。


第二王子アルフレッドは王太子ヘンリーの婚姻後に臣籍降下する予定で、代々宰相を輩出してきたブルーレイ侯爵家の双子の妹十六歳のマーガレットと婚約していた。


ブルーレイ侯爵家とブラックウェル侯爵家の魔力は非常に強く、代々王家を支えてきた重臣を輩出している侯爵家だ。しかもブルーレイ侯爵家の直系で生まれた女子は光魔法を持つ確率が高く、双子の姉ユーリアは光魔法をつ聖女だった。当時すでにユーリアは王太子ヘンリーの婚約者として内定していたのだ。


そして国の情勢は、数年前から隣国ロマイエの無法な侵略が後をたたず国境付近で小競り合いが続いていた。ウィンザーが戦争も辞さないという態度を見せたところ、戦争を避けるため和平の証としてロマイエからアリシラ王女輿入れの申し入れがあり、渋々、王太子妃として迎える事になった。


とばっちりを受けたのはヘンリーとユーリアだ。ユーリアが王太子妃となるべく努力してきたことが水泡に帰すことになってしまった。しかも光魔法の持ち主で聖女であるユーリアはウィンザー王国にとって宝である。聖女は王族との婚姻が望ましい。しかしユーリアの双子の妹マーガレットもユーリアほどではないものの光魔法を持ち、既に第二王子アルフレッドの婚約者だ。


国王は苦肉の策として双子の姉ユーリアを第二王子アルフレッドの妻とし、妹マーガレットをブラックウェルに嫁がせる案を出したが、これには第二王子が猛反発した。相思相愛のマーガレットと結婚できないなら王位継承権も王族籍もいらないと言い張った。

王族ならでの義務がある。王族の身は国のものであり国に尽くすべきことも机上論では当たり前、王族だけでなく貴族ならば婚約者の入れ替えは日常茶飯事のことだが、ホイホイと婚約相手の姉妹を入れ替えることについては、王太子もユーリアもマーガレットも反発した。


そこで当時王太子であったヘンリーが、一番の親友であり側近であったブラックウェル侯爵家の嫡男バサラにユーリアを託した。ブラックウェル家は数代前に王女が降嫁していた名門侯爵家、ヘンリーは魔法師団の騎士であったバサラと常に行動しており、ユーリアもバサラの人となりは知っている。国王を説得し、バサラとユーリアの婚姻はアリシラ王女がウィンザー王国に入る前に結ばれた。


その後すぐにロマイエのアリシア王女が、ウィンザー王国にやってきた。婚姻前の準備期間として滞在することになった。


事件が起きたのは、王太子ヘンリーとアリシラ王女の結婚式があと一カ月に迫った時だった。よくある話、しかしあってはならない事が起きた。アリシラ王女と専属護衛騎士が駆け落ちしたのだ。

ウィンザー王国が怒るより前にブチギレたのはロマイエ王国だった。和平の証に送った自国の王女が、他国の王家へ預け中に自国の護衛騎士と恋愛関係になり出奔するなど言語道断と、ロマイエ王国から追手がかかった。捕まった時に王女は孕っていたらしいが、その場で二人は斬首となり顔検分のため首だけがウィンザー王国に届けられた。何とも後味の悪い事件だった。


ロマイエ王国からは謝罪に次ぐ謝罪、次に送り出す王女もおらず自らウィンザー王国の属国になることで表向きは終結した。


何事もなかったかのように元通りにならなかったのは王太子ヘンリーだった。政略結婚とは言えユーリアとは信頼も愛情も築いてきた。大切な女性ユーリアを親友に託すしかなかった事も胸の内におさめてきた。すでにユーリアはブラックウェル侯爵家の嫡男バサラの妻となり、夫妻には跡取りの男子が一人生まれたところだ。今となっては元には戻らない。


王太子である以上、妻は娶り血筋は残さねばならない。

しかしもう一人の光魔法を持つ娘マーガレット・ブルーレイは、弟第二王子アルフレッドの婚約者。王太子ヘンリーは熟考の上、魔法を極めたいと国王に自らの臣籍降下を直訴し、アルフレッドに王太子を譲った。アルフレッドはブルーレイ侯爵家の次女マーガレットと無事に婚姻。同時にヘンリーはホワイティエ公爵となった。


これでウィンザー国は安泰かと思えたのも束の間、更に国を震撼させるような事が起きてしまった。


読んでいただきありがとうございます。明日21時ごろに投稿予定です。

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