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お人好し令嬢の異世界婚活記1ー婚約するたびに人生が終わってしまうので神様に異世界修行に飛ばされました  作者: カンテラ澪


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10、死を覚悟して

フェンリルが湧いてくる結界の中。


(神様、ケルビム様、ごめんなさい。私、また死ぬかも、でもこの人を見殺しにはできません)


何回死んでも、ゲームのリセットとは違って、やっぱり痛かったり苦しかったりする。

もう二度と目覚めないかもという恐怖だってある。

でも、今回は覚悟の死だ。

いつものうっかり死とは違う。

六十七回目の死を覚悟して、私はルベール様に飛びかかる魔物にぶつかって行く。

引き離しては投げ、引き離しては投げる。

でもさっきの石と違って粉にならない。

なぜ?

やり方がわからない。

それに私は噛まれない、なぜ?


魔物はどんどん増えて行く。


「リリエル嬢、逃げるんだ。

君だけはこの結界から出られる。

君だけでも逃げるんだ。

巻き込んですまなかった」


ルベール様が私を後ろ手に庇い、結界の出口を指す。

その間もルベール様は魔物達から攻撃を受け続けて、崩れ落ちていく。

地面にどんどんと血が流れていく。


巻き込むって何?

さっき、アレクサンダーお兄様も巻き込まれるっておっしゃった。


「ルベール様を残して逃げられません。どうか結界を解いてくださいっ」


「結界は解けないんだ。

答えが出るまで、だから、リリエル嬢、にげ、て、、、」


「答えって、答えって何ですか?」


私とルベール様は、庇い合いながら言葉を交わしていた。


「、、、あなたに、僕を助ける力があるか、、ないか」


「っ?!なんて無茶な。私にそんな力あるはずないでしょう」


「あの日、雷に打たれた君は確かに力があったはずだ」


「ル、ル、ルベール様は、おバカなのですか、あれは静電気ですって」


「せいでんき?

聖伝輝、そうだったのか。

僕にバカと言えるのは、きっとあなたくらいだあの日のあなたは神がかったような力を発していたんだ。

僕が見間違えるはずがない。確かめなくてはならなかったんだ。

でももう時間がない。リリエル、逃げて。」


「だから静電気は、神がかりなんですってば!セイデンキ!!」


わけがわからないうちに叫んでいた。


二回会っただけなのに、わたしはこの人を失いたくないと思った。


魔物を何とかしないといけないけれど、ルベール様の息づかいが弱くなって行く。

六十七回死ぬ私は大バカ者だけど、いくら魔法師団だからって、副師団長様が一人の令嬢の魔力測定に命をかけるなんて許し難い。

はっきり言ってうつけ者だ。

それにベルプリではこんなイベント無かったし、やっぱりゲームの補正機能なんてないんだ。


「ルベール様、私は逃げません!」


私はルベール様を魔物から隠すように全身で抱きしめ、神様に祈った。


(神様、私は何年経っても弱いままです。

七百年分もやり直してやっと十四歳です。

誰も助けてあげられない。

でもルベール様だけは、婚約者ではないからこそ助けたいのです。

私を愛してくれた方達はこんな私をもしかしたら許してくれるかも。

でもルベール様は役目の責務としてこの魔力測定に臨まれました。

そのような方を、この国は失ってはならないと思うのです。

どうか、どうか、私の命と引き換えにルベール様を助けてください。

お願い。神様、ケルビム様っ、お願いです)


ぎゅっとルベール様を抱きしめる。


(ミカエル様、聞こえていますか?ルベール様が助かったら、迎えにきてもらえますか。光に漂う覚悟はできましたから)


そして大声で叫んだ。


「だから、ケルビム様、セイデンキヲオネガイシマス!」


《この大馬鹿者が》


ケルビム様の声が聞こえた。


瞬間、ドォーン!地響きがし、耳を劈くような巨大な雷が落ちた。

風が吹き上がり、紫と金銀の光が混じりあい結界内を照らし夜明け前の空のようになっていく。

ドンと花火が上がるような感じだった。

そして辺りが急に明るくなった。

清涼感のある風が吹き抜け、空はまた夜色に戻った。

深呼吸すると体が心地よい。

ジュニパーベリーのような香り。

そしてルベール様の心臓の鼓動が強くなっていく。

魔物達が私の背中や手足に噛みついていたけれど、いつのまにかいなくなってる。


私はルベール様におおいかぶさっていた身体を起こした。 

ルベール様もゆっくりと体を起こし、周りを見渡してから私を抱きしめる。

周りの空気が清々しい、濃紺の空から金銀のキラキラが舞い降りてくる。


「、、、リリエル、ありがとう」


「ルベール様、、、良かった」


「すっかり傷が癒えている。

君は、光魔法を持っていたんだね。光魔法のなかの雷魔法だったのか」


「、、あれは静電気ですよ」


ルベール様のお顔が、ミカエル様に変わっていく。意識が遠のく。今度こそ光の粒になる。


(あ、ミカエルさま、来てくださったのですね。

お約束を破ってしまいごめんなさい。

でももういいのです,一人の人を助けられたから)


「さっきから聖伝輝(せいでんき)って?リリエル、リリエル?」


私はミカエル様、たぶんミカエル様の翼にいだかれ、意識を手放した。

読んでいただきありがとうございます。明日21時ごろに投稿予定です。

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