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長い年月を経てようやく続きを書く決心が持てたので更新していきます。この場を借りて後押ししてくれたY氏に感謝を伝えさせて下さい。
毎日投稿はできませんが、ゆっくりと自分のペースで更新していきますので気長にお待ち頂けるとありがたいです。
真子に考えなくていいと言われたものの、真実はスマホを持ち始めた時の記憶を思い返そうと仰向けになりジッと天井を見つめながら考えていた。(あまり深く考えてなかったけど、たしかに小学生の時にスマホを買った記憶がない・・・・。親からも貰った記憶もない・・・・。なんだ?この違和感は)
真実はズキズキする額を手の甲でペチペチと叩きながら考えたが一向に結論がでず只々時間だけが過ぎていくのであった。
「ダメだ!」そう言って起き上がり考えるのを諦める選択肢を決断して立ち上がった。
その時、1階から母真弓の声が聞こえてくる。
「まことーー、ご飯できたよーー、降りておいでーー」
響き渡る声に真実は反応する
「はいよー」
そう言って部屋を出て階段をノソリと降りていくのであった。
階段を降りてダイニングに入ると珍しく兄康成が座って既に箸を進めていた。
「アニキ、珍しいな、今日はバイト休みなのか?」
康成は真実を見ることなく黙々と食べ続けている。
「なんだよ、無視かよ、まぁいいけど・・・」
康成は誰もが見てもわかるくらいな不機嫌な顔つきでご飯を食べている。
そんな空気を察して真実は気にしないようにしながら箸を持ち上げた瞬間、康成が真実を見ることなくボソリと呟く。
「まこと・・・・今日来てたのが彼女か?・・・・」
真実はその言葉に身体がピクリと反応したが平静を保つ。
「いや、友達だけど?」
真実の返答に康成は何も反応を示さない。
「こうちゃん、あの子はまことの2番目の彼女よー」母真弓がいらない煽りを入れてくる。
「おかん!いらんこというなし!!」
真実は箸をバンとテーブルに叩きつけて母真弓を睨みつける。
「もーっ、まことったら、別に隠すことないでしょ?私はまことに彼女が何人いても大丈夫だよ」口を手で隠しながら明らかに笑いを堪えながら話す真弓の姿に真実は危険を察する。
(あっ、これ、完全に茶化しモードだ)
「はいはい、ご想像はご勝手に」
相手にしないが勝ちと言わんばかりに真実はご飯を食べ始める。
康成は終始、箸を動かしながら黙っていた。
ただ、不機嫌というより、
何かを我慢しているように真実は見えた。
「バンッ」
今度は康成が箸をテーブルに叩きつけて真実を睨みつける。
その音に真実と母真弓は驚き康成に目をやった。
「まこと・・・・俺にあの子紹介しろ・・・・」
康成の言葉にダイニングが一気に凍りつく
(はっ?兄よ・・・・なにをおっしゃった?)
真実は康成が放った言葉を理解できないでいた。
その言葉に母真弓も一瞬動いていた手を止める。そして何事もなかったように少しだけ乱れた手つきで味噌汁をよそい直した。
そしてフリーズしている真実に味噌汁を差し出しながら口を開く
「あらー、こうちゃん、真子ちゃんが好きになっちゃったのー?」
母真弓の放った言葉でようやく康成の言葉を理解する真実
「アニキ!マジかっ!!4つ下だぞ、中学生だぞ」
真実の問いに康成は真顔で答える。
「4つ下?かんけーねーよ」
康成の真剣な返答に真実は天井を見上げて頭を抱えた
(アチャー・・・・コイツ何考えてんだ、まぁしかたない、事実は伝えとくか)
真実は康成を見返して口を開く
「アニキ残念だったな、まこはもう彼氏いるぞ」
その言葉に再びダイニングは凍りつく。母真弓の驚く顔も相当なものだった。康成は真実の言葉を聞いた瞬間ガックリと項垂れた。
康成の姿を見て真実は嫌な予感が頭を突き抜ける。
「アニキ、もしかして、まこが来た時会ったのか?」
真実の問いに康成は項垂れながら答える
「会ってない・・・・俺の部屋から玄関に入って行くのが見えただけだ・・」
真実は恐る恐る尋ねる
「まさか、その時に、あー可愛いー付き合いてーとか思ってねーよな?」
康成はその問いに反応して顔を上げる
「思ったさ!何が悪い!!」
真実の予感は的中である。
(・・・・聞こえてる)
(・・・・逃げ場ねえな、これ)
一瞬悩んだがすぐに決断する
「そっか、そっか、それは残念だったな、浩太と別れたらまた伝えてやんよ」
その言葉に康成は機嫌が戻ったのか明るい顔でダイニングから出て行った。
そんな康成の背中を真実は暖かい目で見つめる(アニキ・・あんたの想いはもう既にまこには届いているから安心するんだぞ)
そして、うんうんと頷きながらご飯を食べ進めるのであった。




