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真実は智大の方へ体を向けて話し始める。
「じゃあ、まずは智大からだ、とも・・・・将来何になりたいんだ?」
真実の問いかけに智大はにこやかな笑顔から急に真面目な顔つきに変わり黙りこんだ。
当然である、智大はまだオレたちに俳優を目指したいという話しは一切していなかったからである。真実は続けて智大に尋ねる。
「とも・・オマエ、やりたい事あるんだろ?」
少し重い空気を感じ取った浩太と憲一は真実と智大の顔を交互に見渡している。
「まこと・・・・オレはお前たちにオレの本当の夢の話しはしてないはずだぞ?」
智大は真顔で低い声で話したことで部屋の空気が一気に張り詰める。
真実はそんな空気を気にも止めず和やかに話し掛ける。
「とも、オレを見くびるなよ、オマエの考えてることなんて読めるからな」
「ちょ・・ちょっと待て、2人で何の話しをしてるんだよ」
取り残されている浩太が話しに割って入ってきた。
真実はそんな浩太を見てヤレヤレと溜息をつきながら智大に投げかける。
「オレたちに隠し事は無しだぜ、とも・・ちゃんと話しをしな」
真実はそう言いながら(オレは隠し事あるけどな・・・・すまん)と心で謝っていた。
智大はハーっと溜息をついて不満気な顔をしながら応えた。
「まこと、オマエも真子みたいな人の心を読めるチート持ってるんじゃね?・・・・まぁいいや、オレさ実は将来俳優をやってみたいと思ってるんだ」
まさかの解答に浩太と憲一は目を丸くして智大を見ていた。真実はうんうんと優越感に浸りながら頷いていた。
「だけどさ、まこと、俳優になりたい事と進路は関係ないんじゃないか?」
智大の言葉に真実は待ってましたと言わんばかりに反論する。
「とも! 大アリだよ! 俳優になりたいのなら今からでも遅いくらいだ、芸能プロダクションに所属して今のうちに稽古とかして自分の芸を磨くべきだとオレは思ってる。そうなると芸能関係に強い東都の高校に進むべきなんじゃないか?」
真実の言葉に3人は言葉を失い沈黙が続いた。
考え込んでいた智大がゆっくりと口を開いた。
「オレは高校を卒業してから進もうと思っていたんだが・・・・それじゃ遅いって事なのか?」
「やりたい事があるなら早く動いた方がいいとオレは思う。じゃないと後になってあの時もっと早く道に進んでいればと後悔することになるぞ」
真実の返答に智大は重い言葉を突き付けられて呻りながらまた口を閉ざしてしまった。
(智大の奴また考え込んでしまったな、おそらく裕子とのことを考えているんだろう。少しそっとしておくか・・・・。さてと、次は浩太か・・・・)
真実はそう考えて浩太の方へ体の向きを変えるのだった。




