[67]
智大の告白大作戦は見事に成功で終わる事ができた。智大と裕子はその後暫く、人けのいない神楽殿の入口で座り込み、お互いの話しをするのであった。そしてその一部始終を神楽殿の横脇で真実と麻耶が息を潜めて成り行きを見守っていたのだった。智大と裕子の話しのやり取りもバッチリ聞けるベストポジションで見守る事ができ、告白が成功した時は2人して静かにガッツポーズを取っていた。智大と裕子が和やかに話しをしているのを見て、真実は2人きりにしておこうと考えて麻耶を連れて静かにバレないようにその場を後にして参道へと戻り、そのまま石段を降りて屋台が連なる大通りに戻って来たのだった。時計を見ると21時になろうかというところだったので、真実は麻耶を送って行こうと考えていた。
「麻耶、今日はもう帰ろうか?送っていくよ」
「・・・・うん、お願い」
麻耶はもっと真実と一緒に居たかったが、あまり遅くなると親が心配するだろうと考えて諦めたのであった。
先ほどまでの煌々と光っていて賑やかな一帯から程よく離れて暗い夜の道を真実と麻耶は手を繋いで歩いていた。周りは静まり返っているだけに遠くから祭りの音色が微かに聞こえているのが名残惜しさを更に感じさせていた。麻耶は歩きながら祭りでの一連の出来事を振り返っていた。
麻「ともくん、上手くいってよかったね」
真「そうだなー、ほとんど、というか全部真子のシナリオ通りで進んでてドン引きしそうになったけどな・・・・」
麻「そうだね・・真子ちゃんって凄いね」
真「凄いというか、ここまで来たら怖いよ。そういえば浩太が真子を引っ張って行ったけど、アイツらは何処に行ったんだろう。確認せずに帰って来てしまったな」
麻「そうね、帰ったら真子ちゃんにLIMOしてみるよ」
そんな話しをしていると、あっという間に麻耶の家に到着したのであった。
麻耶は名残惜しそうに真実を見ながら話し出した。
麻「まこと、送ってくれてありがと。明日は何時に行く?」
真「そうだなー、18時に迎えにくるよ」
麻「わかった、じゃあ、待ってるね」
麻耶がそう言って踵を返して門を開けようとした時、真実は握っていた手を離さずに麻耶を引っ張り手繰り寄せる。そして抱きしめて麻耶の顔を見つめて小声で話し掛けた。
真「麻耶、今日の浴衣、メチャ綺麗だよ、大好きだ」
麻「うん、ありがと、私も大好き」
麻耶も小声で返答し、顔を赤らめながら真実の顔を見上げて目を閉じた。
そして2人は軽く唇を交わすのであった。
唇を離して2人は暫く余韻に浸る。2人のその場所だけが時間が止まっているようだった・・・・。
暫くして麻耶がニコリと笑みを漏らした。
「それじゃあ、また、あしたね」
「うん、また、明日」
麻耶が優しく嗜めるように話すと真実もそれに応えて麻耶の手を離した。
麻耶は門を開けてしなやかに歩いて玄関に向かう。そして玄関を開けて真実に手を振りながら扉を閉めるのだった。
真実も麻耶を見守り、手を振る麻耶に応えて手を振った。
麻耶の姿が見えなくなってから真実は自宅に向かって歩き出したのであった。




