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真子は険しい顔をしながら話し始めた。
「恐らくなんだけど、智大の両親は既に両想い状態だった気がするのよね、それなら祭りでの告白ってかなり良いシチュエーションになるんだよねー」
真子の説明に智大はなるほどと顎に手をやり思い耽ける。真子は話しを続ける。
「今回は裕子ちゃんがともくんのことを意識していないってのがネックになってくる。なので夏祭りの時に告白のシチュエーションに持っていくだけを計画しても成功する確率は極めて低くなると思うのよ」
厳しい内容を真子が伝えると浩太が喰いついてきた。
「それじゃあ、ともの告白は結局成功しないって事かよ!」
自分のことのように真子に喰って掛かる浩太を見て真子は鼻で笑った。
「フッ、こうたくん、さっき私は裕子ちゃんをモノにするって言ったでしょ?」
真子がそう言うと真実が話に割って入ってきた。
「事前準備・・・・前振りも計画しないといけないってことだな」
「そういうこと」
真子はそう言って人差し指を真実に差してまた話し始めた。
「事前準備は2構成で行こうと思ってる。先ずは私が単独で裕子ちゃんと接触して真実に告白した傷の深さを確かめながら慰めて、次の恋愛に向かうよう話しを進めていく。その中で前振りでともくんの告白が成功するように裕子ちゃんを巧く誘導していくわ。話しの道筋は私に任せて、上手くやるから・・・・これが1構成」
真子はそう言って智大を見ると智大は無言で頷いた。誰も会話を挟む隙を与えず真子は話しを続ける。
「次に2構成目、それから少し日を空けて、私と麻耶ちゃんで裕子ちゃんを呼び出して3人で夏祭りに行こうって誘う、そして3人で夏祭りに行く。ここまでが事前準備かな」
真子の説明に男3人はなるほどと頷いたが麻耶は不安そうな顔をして真子に疑問を投げかけた。
「夏祭りに誘った時に裕子ちゃんは『まことと行きなよ』って言って断りそうな気がするんだけど・・・・」
麻耶の疑問に真子は待ってましたとばかりのニヤリ顔で返答した。
「裕子ちゃんの性格を考えると確かに言うね、でも、この町の祭りって土日の2日間も祭りがあるのよね? なので、まことが『土曜日は男3人で、日曜日は麻耶ちゃんと2人で行きたい』って言ってきた事にする」
「なるほどね、それなら違和感ないかも」
麻耶は真子の返答に納得して頷いていた。真子はまだ付け加えで話しを続ける。
「あと、3人で浴衣の見せ合いっこでもしようよとか言って誘おっか、浴衣姿の裕子ちゃんに告白って、ともくんテンション上がるでしょ?」
智大はまだまだ先の話しだが真子の話しを聞いて既に緊張した面持ちをしていた。そんな姿を真実は見て笑っていた。
「とも、緊張するの早すぎだって、身体が持たないぞ」
「ああ、そ、そうだな・・・・」
智大の硬直状態を見て浩太は心配そうに智大を見つめた。
「とも、当日ちゃんと告白できるのか?」
真子も浩太の心配に同意する。
「ともくん、告白までのお膳立てはしてあげれるけど最後の落としはともくんに掛かってるからね、しっかりと考えておいてね、まぁ、あれこれ考えるよりも自分の想いをしっかりと伝えればいいと思うよ」
智大はぎこちなく頷く姿に真実以外は心配そうな顔をするが、真実だけは心配する素振りも見せずに平然とした顔をして智大を見ていた。
(智大は始まる前までガチガチのくせに、いざ本番になると出来るヤツなんだよなー・・・・ あの時・・ オーディションの時もそうだったからなー ・・・・)真実はタイムリープ前の智大を思い出しニヤリとしたのだった。
真子は気を引き締め直して話し出す。
「さて、そしたら、次は祭り当日の段取りを計画するわよ。私はこの町に引っ越して来てまだ半年経ってないくらいだから祭りがどこでどの様に行われるか知らない、だからその辺りの情報は皆んなに頼ることになるからよろしくだよ」
5人は綿密な計画を時間を掛けて練り上げていくのであった。各々重要な役割で誰が欠けても成功しなくなるという気持ちで、ああでもない、こうでもないと話しを続けていた。
計画が完成したのはちょうど陽が落ちたところで辺りが薄暗くなりだした頃であった。
あとは計画を遂行していくのみ、智大は無事に裕子を射止める事ができるのだろうか?
この運命はタイムリープしてきた真実ですらも結果はわからない、未知なる道なのであった。
2023年最終投函です。
誰にも読んでもらえなくても自己満足でいいやと始めましたが、
私が思っていた以上にアクセス数が多くてビックリしました。
読んで頂いてる皆様本当にありがとうございます。
2024年も頑張って書き上げていきますのでよろしくお願い致します。
相賜 奏合




