[5]
真実のタイムリープ前の思い返しシーン、
墨田麻耶編その②です。
翌日昼休み、いつものように麻耶は窓際の机に座って本を読んでいる。そこにラブレターを渡す隙を狙っている真実と浩太がいた。智大と憲一は廊下側前の入口近くの机に座ってチラチラと真実の方を見ているのであった。真実は浩太に「行ってくる」と一言掛けて歩き出した。浩太は「行ってこい」と言って真実のケツをポンと押し叩いた。
真実は緊張した面持ちで麻耶の所へと足を進めて横に立ち、「墨田さん・・・・これ・・・・読んでください」そう言って手紙の両隅を両手でもちながら麻耶に突き出した。麻耶は手にしていた本をパタンと机に置き真実の差し出した手紙を見てから真実の顔を見上げた。麻耶の顔は特に驚くこともなく、無表情で、何も言わず真実が差し出している手紙に手をやり受け取ったのであった。真実は早くこの場から去りたい一心であったため、麻耶が手紙を手にするやいなや踵を返して小走りで教室から出て行った。
その一部始終を見つめていた浩太は「っしゃっ」と小さくガッツポーズをして教室を去った真実を追いかけるのであった。真実は教室から15mほど離れた所にある階段に座っていた。浩太は真実を見つけるや走ってきて座っている真実の頭をクシャクシャに撫で回した。
真実はラブレターを渡す時は緊張で心臓が飛び出してしまいそうなくらいな精神状態であった、渡し終えてひと仕事終えたサラリーマンのように脱力状態であったが、緊張から解き放たれた開放感からくる笑顔で浩太の顔を見上げた。浩太も親友が戦地から生き残り帰ってきたような気持ちになり、高揚感からくる満面の笑みで真実を見ていた。あとから憲一も駆けつけて真実の様子を見に来る。3人はもう勝ったと言わんばかりのテンションで先程のシチュエーションを振り返っていた。それから5分ほどして智大が合流してきた。
浩太はテンションが上がりきった状態で「ともーーっ、お前なにやってたんだよー、来るのおせぇーよ」と言いながら智大の肩を叩いて顔を見ると、智大は真っ青な顔をして放心状態に近い状態で立っていた。勝利を確信して高揚状態になっていた3人は智大の顔をみて冷静さを取り戻し、どうしたのかと尋ねた。
智大は何も言わずスマホを3人に見せて動画を再生させるのであった。
3人は智大のスマホを覗き込んで観るとそこには先程真実が麻耶にラブレターを渡す姿が映し出されていた。3人は放心状態になりながら見せる智大のスマホを食い入る様に観る。
ラブレターを渡し終えて真実が去っていった後も動画は麻耶を映し出していた。
麻耶は表情を変えず真実から受け取ったラブレターをあらゆる角度から見ている姿が約2分ほど、その後中身を読まずに手紙を縦、横に破いてから立ち上がり教室の隅にあるゴミ箱に無表情の顔で捨ててしまう姿が映し出されていて、動画はそこで終わるのであった。
智大の放心状態は治らず、逆に他の3人に放心状態が伝染してしまい、4人は階段でお通や状態になってしまった。
そんな放心状態の中、真実は1人思うことがあったのだ。
(とも・・なんで動画撮ってるんだよ・・ハズすぎる・・知らないこともあってええんちゃうん? そんなの見せんなやし・・・・あーーっ、動画と一緒に消えてなくなりたい・・ 昨日に戻りたい・・・・ )
真実の初めての告白は無残にも散ってしまうのでした。
=========================================================




