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真実が安堵し落ち着いたその時、部屋の扉をコンコンと誰かがノックし、真実が返答する前に扉がゆっくり開く。真実は瞬時に判断する。(来た、オカンや)
開いた扉からお約束通りに真弓の顔がヒョッコリと出てきて安全を確認するように部屋の様子を見て回り大丈夫と判断して入って来た。
「まこちゃーん、飲み物とー、このお菓子、真子ちゃんのお気に入りの一口バウム、召し上がってー」
そう言ってお盆を持ってテーブルに向かって歩いてくる。
「お母さん、ありがとうございますー」
真子は跳ねるように喜ぶ。真弓もなにやら感無量の顔をしている。
「オカン、なんで感傷に浸ってるんだ?」
「だってー、まことちゃん、2人の女の子からお母さんなんて呼ばれるなんて、一夫多妻の世界に来たみたいで・・・・」
意味のわからない事を言って真弓はフルフルしながらお盆をテーブルに置いて麻耶の右側に座ろうとする。
「オカン! 座るなっ!」
真実のその言葉に真弓はビクッとして座る事が出来ず中腰で固まる。
「もう、まことの意地悪、私も話しに混ざりたかったのに・・・・」
真弓はそう言いながら腰を上げて部屋を後にする。
真実と真弓のやり取りに他の3人はクスクス、ケタケタと笑い飛ばしていた。
「要らない漫才を見せてしまったな」
「いやいや、この漫才はいつ見ても楽しいから全然OKだよまこと」
智大は笑い泣きを堪えながら真実を諭した。真実が真子の方を見ると真子は笑っていた後麻耶の顔をチラ見して少し悩んで考え込んだ表情をしていたのに気づいた。
「真子?どうした?」
その言葉を聞いて智大と麻耶も真子の顔見る。真子は顎に指を掛けて考え事をし、暫くして決心したようで智大と麻耶の顔を見渡して口を開いた。
「川崎くん、麻耶ちゃん、今から私が話す事、絶対に口外しないって約束してくれない?」
智大も麻耶も真子が何を話し出すのかまったく分からず頭にクエスチョンマークを出していた。唯一分かったのは真実であった。
「真子! まさか、あの話しをする気なのか?」
真実が慌てた素振りを見せながら尋ねると真子は真実の方を向いてコクンと頷いた。
「なんで急に?別に言う必要ないじゃないか」
真実が必死に止めると真子は今度は首を横に振って口を開いた。
「今の状態で私が助っ人で入ったとしても川崎くんも心の底から賛成してくれないと思う・・・・麻耶ちゃんも同じくね・・・・私とまことが仲良く話しをしているのを見てるだけでも辛い気持ちにさせてしまうかもしれないからね」
真実は智大の顔を見ると智大は何の事を言っているかわからずまだクエスチョンマークが頭に残っているようだった。その後に麻耶の顔を見ると麻耶は少し俯向き加減で苦い顔をしていた。
「麻耶?」
「まこと、ごめんなさい、別れたと言ってもあまりに仲良く真子ちゃんと話してたからちょっと妬いてたところがある・・・・真子ちゃん流石だよ、そんなところまで見破るなんて、もうチート級だよそれ・・・・」
麻耶が本心を語ったことで真実は真子を助っ人として呼んだことを後悔した。
「ね?・・・・ だから私がなぜまことと付き合う事になったか、なぜ別れたか、そして私の本性、今の私とまことの関係性、これはしっかりと話しをしないといけないのよ」
真子の話しを聞いてまことはますます後悔する。
(しまった・・・・安易に考えてしまっていた。真子の素性をさらけ出さないといけない立場に巻き込んでしまった。麻耶の気持ちもそこまで考えついていなかった・・・・歳を喰ってるくせになんて未熟でバカなんだオレは・・・・)
「真子、すまない、オレが浅はかだった、巻き込んですまない」
真実は反省の色を出して真子に頭を下げた。




