[40]
野元家のネタ話しが落ち着いてきた頃に真実は智大の顔をジッと見た。
智大もその視線を感じ取り真剣な表情を見せる。
「そろそろ相談の話しをしないとな」
智大はそう言って下を向く。気持ちを入れ替えているのか?話し辛くて言葉を考えているのか?どのような内容か分からないだけに真実は読めずにいた。しかも智大は下を向いてしまって顔が見えないので表情からも察する事ができない。智大が言葉を発するのを待つしかないと思って只々智大を見ていることしかできないでいた。先程まで和やかだった雰囲気が一気に静まり緊張感が部屋を包んでいくのを麻耶も感じ取り下を向いている智大に目を向け続けた。
どれだけ無言の状態が続いたか、暫くすると智大が下を向いたまま重々しく口を開いた。
「オレ・・・・好きな人がいるんだ・・・・」
智大の言葉を聞き真実は頭の中で考え巡らせる。
(智大の恋愛相談か? ん? なぜ麻耶にも聞いてほしい流れになるんだ? こういう話しは女性が居ると話し辛くなるんじゃないのか? 智大は何を考えているんだ?わからない、もう少し聞くしかないな)真実は智大の言葉に相槌を打つ。
「ほう、それで?」
智大はまだ下を向いたままで続きを話す。
「来週・・夏祭りあるじゃないか」
「おお、あるな」
「夏祭りに誘って、祭りの時に告白したいんだ・・・・」
「なるほどな」
(智大はまたえらく大胆な行動を考えたもんだな・・よっぽど好きなんだろうな・・・・あとはそれが誰なのかだな)真実は意を決して尋ねた。
「んで? ともの好きな人ってのは誰なんだ?」
真実の問いの後静寂が始まる。真実と麻耶は固唾を呑んで智大の返答を待つ。
暫くして智大がゆっくりと顔を上げる。そして顔と目線が真実ではなく、麻耶の方に向けたのであった。2人は智大が何も発していないにも関わらず、何かを察知したかのようにドキッとする。真実と麻耶はまったく同じ考えに行き着く。
(まさか? わたし?) (まさか? 麻耶?でも夏祭りに告白したいって・・・・)
そう思った瞬間に智大が口を開く
「ふるや・・ゆうこ・・・・」
麻耶の名前を呼ばれなかったことに2人は力が抜けてフーッと息を吐きながら智大が口にした名前を復唱した。
真「ふるや?」
麻「ゆうこ?」
2人はキョトンとした表情で智大を見ると智大はコクンと頷いた。
真実と麻耶はキョトン顔のまま顔を見合わせて裕子の顔を思い浮かべてる。そしてすぐ様智大の方へ顔を向け驚きの表情に変わる。
「えーーーーーーっ!!」
2人の合わさった大きな驚き声は下に居る真弓にも聞こえて真弓がお茶を飲みながら天井を見上げるほどの大きな声だった。真実と麻耶は驚きの表情でそのまま固まってしまっていた。智大はまた下を向いてしまう。その後再び静寂の時間が流れるのであった。




