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真実は自室の扉を開けると熱気と湿気が一気に襲いかかって来た。蒸し蒸しした部屋に歩み入りエアコンの冷房スイッチをオンにして、即座に部屋の片付けに取り掛かった。雑誌やプリント類を適当に纏めて皆が座れる場所を確保していく。麻耶は部屋の扉の所で立ち止まり初めて男の子の部屋に入って興味津々に部屋を見渡していた。

(これが真実の部屋かー、うん、真実の匂いがするー、思ったほど散らかってないし、片付いてないことないわね)

麻耶は男の子の部屋は見るに堪えない状態だとイメージしていたのか真実の部屋を見て安堵するのであった。それと正反対に真実は部屋の散らかし様に恥ずかしくなってアタフタと片付けを続けている。そんな真実の姿を気にもとめず麻耶はテーブル近くにチョコンと座って物珍しそうに周りを見渡していた。

暫くすると母真弓が飲み物とお菓子を持って部屋に入って来た。

「麻耶ちゃん、飲み物とお菓子をどうぞ」

「お母さんありがとうございます」

真弓はテーブルに飲み物とお菓子を置くと麻耶の横にスッと座るのであった。

「この子の部屋散らかってるでしょう、いつもちゃんと片付けなさいって言ってるのに全然言う事聞いてくれないから、だからいざという時こんなにアタフタする事になるのよねー」

真実は片付けをしながら座り込んで話しをしている真弓を睨みつける。

「オカン、いらないこと言わんでいいから、てか何どさくさに紛れてオレの部屋で寛いでるんだよ、邪魔だから出て行けって」

真弓はヤレヤレと肩を竦めて立ち上がった。

「私が部屋に入ってくると、すぐに怒るんだから、じゃあお二人さんゆっくりしていってね」

そういうと真弓はそそくさと部屋を出て下に降りて行った。

麻耶は野元家のやり取りを見てほっこりして居心地の良さを感じていた。

「まことの家って居心地いいだろ?まこ母が面白すぎるんだよなー、あんなオカンなかなかいないからなー・・・・オレのオカンなんて友達来ても飲み物とかお菓子なんか絶対持って来ないもんなー」

智大はしみじみと野元家の独特な雰囲気の良さを語った。

(たしかに・・・・私の親もしないし、裕子ちゃんの家に遊びに行った時もなかった・・・・まことのお母さん凄いなー)と噛み締めていると、片付けを終えた真実が麻耶の横にスッと座り込んできた。

「オレのオカンは只誰とでも話しがしたいだけなんだよ」

真実は面倒くさそうに答えるが智大はまだ野元家のネタを麻耶に話し続ける。

「まこ父もめちゃくちゃ面白いぞ! 休みの日の昼前にまことの家で遊んでると必ず呼び出されるんだよ」

「えっ? 呼び出される?」

麻耶は驚き顔で智大を見る。智大は楽しそうに話しを続けた。

「ああ、『おい! お前らー! 昼メシ食いに降りて来いー!』ってな、降りて行ったらさ、お好み焼きが10枚くらいホットケーキみたいに重なって置いてあるんだよ。んでさ、まこ父がさ『お前ら好きなだけ食えー!』って言いながら更にお好み焼き作ってるんだよ」

智大は笑いながら話しをして、麻耶はお好み焼きがホットケーキのように積み重なっている姿を想像してクスクスと笑うのだった。

真実は自分の家の事をネタにされて恥ずかしくなり話題を変えようと試みた。

「もう、オレの家の話しはもういいだろ?ともの相談の話しをしようぜ」

しかし、智大と麻耶はケタケタと笑いあっていてなかなか相談話に持って行けず話題を変える試みは敢え無く失敗し、真実はヤレヤレと肩を竦めるしかなかった。


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