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真実は家に帰るまでに考える事が色々とあった。
(智大は一体なんの相談をしてくるのか?・・・・これは考えても仕方ないか、とりあえず智大の話しを聞くしかない。それよりも問題はオレの部屋だ!今日は部屋をかなり散らかした状態で出てきたからな・・・・その中で、麻耶に見せられない物は・・・・うん、今日は出しっ放しにはしてなかったはず・・・・あとは、問題は、あれだ、あれ、オカンだ!まだ麻耶と付き合った話しはしていない・・・・いきなり連れてきたらテンション爆上がりで面倒くさい事になりそうな気がする・・・・紹介するかor紹介せず2階へダッシュするか・・・・今回は・・・・紹介する心の準備ができてない・・・・紹介しない!2階へダッシュだ!)
真実はそう決心して右手にギュッと力を込めて握りしめた。
家まで残り20mほど、真実は家に入り2階へ上がる為のシュミレーションを頭の中で繰り返し行っていた。あとは庭に母真弓が出ていない事を祈るのみだ。真実が心の中でそう祈ったその時だった・・・・
「あら、まこと、おかえりなさい」
なにやら背後から聞き慣れた声が聞こえて真実はビクッとして背筋がピーンと伸びる。そして恐る恐る後ろを振り向くとそこには母真弓が買い物袋を下げて立っていた。
真実の計画は自宅15m手前で早くも座礁してしまったのであった。しかも麻耶と手を繋いで歩いていたのである、もう隠す事は出来ない状態である。
真弓は引き攣った顔をして振り返った真実を見る。そこから視線を繋いでいる手に向けてから一緒に振り返った麻耶の顔を見て瞬時に察する。真弓はハハーンと含み笑いを浮かべていた。
「オカン、なぜそこに居る!」
「ん?なぜって買い物の帰りだけど?」
そのやり取りを聞いて麻耶はそこに立っていたのがまことの母だと理解し口を開く。
「あっ、はじめまして、墨田麻耶と申します。よろしくお願いします」
麻耶は真実と握っていた手を離し、真弓の方へ体を向けてペコリとお辞儀をした。
「あらまー、これはご丁寧に、まことの母ですー、麻耶ちゃんねーよろしくお願いしますー」
真弓もそう言ってペコリとお辞儀をしたあとニヤリとして真実を見る。
真実は引き攣った顔のまま微動だりしない。
「まことちゃーん?、まやさんとはどういったご関係なのかしらー?」
もう既に状況を把握したにも関わらず嫌味のようなネチリとした母真弓の口撃に真実は完全に敗北感の表情をしてググッと唸っていた。
「あの、まことくんとは最近お付き合いさせて頂いてます」
麻耶は堂々とした姿で真弓に説明をした。
「あらー、まことの彼女さんなのねー、もーぅ、この子ったらそんな話し全然してくれないから困っちゃうわー。麻耶ちゃん、まことと仲良くしてあげてくださいねー。こんなところで話しするのも暑いから、どうぞ家に上がって冷たい飲み物でも飲んでゆっくりしていってくださいな」そう言って真弓は黙っていた罰だと言わんばかりに買い物袋を真実に持たせて麻耶を自宅へとエスコートするのだった。
(クソー!ウチのオカンはなんてタイミングで出てくるんだ・・・・全ての計画をブチ壊してくる・・・・勝てん、オカンには勝てん)肩をガックシと落として買い物袋を持ちながら2人の後を追って自宅に向かうのであった。




