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真実と麻耶はジリジリと日差しが照りつける中、仲睦まじく歩いていた。日も真上を通過して沈みに向かおうとして傾き始めたばかり、まだまだ暑さは緩むどころか更に日差しと気温が共に上がり続けている中、2人は汗を掻きながらも手を繋いで登り坂を歩き進めていた。その時、真実のスマホの着信音が鳴る。真実はスマホの画面を見ると智大からのLIMO通話であった。
「麻耶、わるい、ともから連絡着たから出るね」
真実はそう言って繋いでいた左手を離そうとすると麻耶は右手に力を入れて真実の左手を離そうとしなかった。真実は「えっ?」と言って麻耶を見ると麻耶は少し拗ねた顔をしていた。
「電話に出るのはいいけど手はダメ」
麻耶はそう言って更に右手に力を込める。真実は甘えてくる麻耶に左手だけでなく心臓もキュッと握られたような感覚を受けて焦りと照れを併せたような表情をして右手1本でスマホの通話を押して耳に近づけた。
真「お、おう、とも、どうしたー」
智「まこと、今って家にいるのか?」
真「いや、今は麻耶と一緒で学校から帰ってるところ」
智「そうなんだ・・・・」
真実は智大の声がいつもと違って元気がないというか暗い感じがした。
真「とも、なんかあったか?」
智「えっ?あっ、ああ、ちょっと相談に乗って欲しいことがあるんだ・・・・」
智大の相談事が深刻な話しなのだと真実は感じ取りどうしようか思案しながら麻耶の顔を見る。麻耶は真実と智大のやり取りが気になっているのか真実の顔をずっと見ていた。
2人見つめ合いながら真実は智大と話しを続ける。
真「そうか、そしたら麻耶を家に送ってからともの家に行くよ」
真実がそう言うと麻耶はデートが切り上げられてしまうと察して悲しそうな顔に変わった。真実は麻耶の悲しそうな顔を見て困った顔をする。
智「あっ、まこと、出来れば墨田にも一緒に話しを聞いてもらいたいんだけどいいかな・・・・?」
智大の予想だにしない言葉に驚きとまだ麻耶と一緒にいれるという嬉しさを隠せず声のトーンが上がる。
真「えっ? なんで? なんの相談?」
真実の驚きの声に麻耶は話の内容が掴めず真実の顔を見ながら首を傾げる。
智「うーん、とりあえず会って話すからさ、今からまことの家に行くから、んじゃあとでな」
智大はそう言って通話を切った。真実はまったく智大の考えている事、相談したい事がわからず通話を切られたスマホを見ていた。
麻耶は真実のそんな姿を見て何が起きたのか気になって仕方なかった。
「ねえ、まこと、川崎くんどうしたの?」
「うーん、なんか相談したい事があるみたいなんだけど、麻耶も一緒に聞いて欲しいんだってさ」
真実の返答に麻耶は予想外の内容に驚いた。
「えっ? なんで? 私も?」
「そうなんだよ、なんでなんだろうな?とりあえずオレの家で落ち合うことになったから今からオレの家に行くけど・・麻耶、いいか?」
麻耶はいきなり真実からの家へのお誘いに笑みがこぼれそうになるが、智大の相談を聞くためなのに喜ぶのはいけないと必死に笑みを抑え込む。
「まことの家に? 行っていいの?」
「ああ、いいんだけど、オレの部屋今日片付けしてないからさ、散らかってるけど、そこは目を瞑ってくれよ・・・・」
真実は少し困った顔をして麻耶に念を押すのだった。
「大丈夫だよ、なんなら私が片付けしてあげようか?」
麻耶がご機嫌で跳ねるような声で言うと真実はたじろい返答に困ってしまうのであった。
そんな姿を見て麻耶がクスクスと笑うと真実は恥ずかしそうにしてポリポリと頭を掻いた。
そして2人は真実の家に向かって歩き出すのであった。




