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真実は哀しい決断をしなければいけなかった。
この時真実はタイムリープ前の裕子と付き合った1年を走馬灯のように思い返していた。
夏休み、一緒に行った夏祭りの屋台で綿飴を買って一緒に食べた・・・・
人気の無いところで座って2人恥ずかし気にキスをした・・・・
学校生活も楽しかった・・・・
学校が終わって帰りは裕子が隣にいた・・・・
色々話した、たわいもない話、バカな話、マジメな話・・・・
喧嘩もした、泣いた、仲直りして笑った、2人くっついて歩いて帰った・・・・
家に帰ってもLIMO通話をして寝るまでずっと話し続けた・・・・
でも、休みの日は会うのが恥ずかしくてあまり会いに行けなかった・・・・
デートは夏祭りの時とクリスマスの時くらいしかした記憶がない・・・・
3年になりクラスが別々になってすれ違いだした・・・・
学校の中でも会いに行くのが恥ずかしくて会う回数が少なくなった・・・・
LIMO通話も減ってきた・・・・
裕子から別れを切り出された・・・・
私のこと好きじゃないんでしょ?と言われて去っていった・・・・
まだ、裕子のこと好きだったよ・・・・
でも恥ずかしくて何も言えず、只々背中を見ている事しかできなかった・・・・
だから、今回はいっぱいデートしよう・・・・
会うことに、好きだと言うことに、恥ずかしがらずに・・・・
好きだったから・・・・
裕子のこと、ほんとうに好きだったから・・・・
真実は自然と涙が流れていた。
真実が涙を流している姿を見て、裕子は驚いて逆に裕子の涙が止まってしまった。
裕子はなぜ真実が涙を流しているのかまったく分からなかった。
(私、なにか悪い事言った? なぜ泣いてるの? 麻耶ちゃんと別れてほしいって事で泣いてるの? えっ? そんなに麻耶ちゃんのことが好きなの? ・・・・私が入る隙間はないって事なの?・・・・)裕子は真実が涙を流して立っている姿を見て困惑したが暫くして『好き同士の2人を別れさせる事はできない』と思い諦めの決心をしたのだった。
真実は涙を流している自分に気がついて「あっ・・ごめん」と言って手で涙を拭った。
裕子はやれやれと諦めの表情をして真実を見た。
「野元くん、ごめんなさい、さっきのは忘れて・・野元くんのこと好きだけど、あなたと麻耶ちゃんの間に割って入る事はできなさそうだもん・・・・そんな涙見せられるとわたし悪者になってるみたいだし・・・・」
真実は裕子が何を言っているのかさっぱり理解できなかった。
「えっ? いや、これは、その・・・・」
真実はなぜ泣いていたか説明しようにもこの世界に存在していない事柄を説明できず度惑っていた。
「もう、いいよ、何も言わなくて、わたしのことはいいから、麻耶ちゃんと仲良く付き合ってね。じゃあ、私はもう帰るから。あっ、あと、来週以降はもう引き継ぎもなしで大丈夫だよ、だから夏休みをしっかり楽しんでね、じゃあ、また、2学期にね」
裕子はそう言うとカバンを肩に掛けてそそくさと教室から退散したのであった。
真実は何が起きたのか状況が掴めず、何も言えずにただ裕子が走り去っていく姿を見ている事しかできなかった。
なんとも言えないすれ違いであったが、拗れる事なく解決出来たのは幸いである。
真実は椅子に座ってなんとも言えない表情で窓の外を眺めるのであった。




