〜 from another perspective 〜 [墨田 麻耶の視点]其の③
小学生の時は野元くんとは同じクラスにならなかったんだけど、中学1年になって初めて同じクラスになった。裕子は違うクラスだったのでめちゃくちゃ羨ましがられたよ。会う度に野元くんの今日の様子を聞いてくるから逸しか監視役みたいな感じになっていて、チラチラと野元くんの行動をチェックしてたんだけど、よく目が合っていたのでヤバいなー と思っていたら案の定、野元くんからラブレターを貰ってしまった・・・・
野元くんは緊張した面持ちでわたしの横に来て、「墨田さん・・・・これ・・・・読んでください」そう言って手紙の両隅を両手でもちながら突き出してきた。
(ここは冷静に、平静を保たなければいけない・・・・ ) 私は心で念じながら手にしていた本をパタンと机に置き、野元くんの差し出したラブレターをジッと見てから何も言わずに受け取った。すると野元くんは踵を返して一目散に教室から出て行った。
私は受け取ったラブレターを様々な角度から見ながら考えた。
(この事が裕子にバレてしまうと裕子ショック受けるだろうな・・・・私は裕子を応援するって決めたんだから断らないといけないな・・・・でもこのラブレターの中身を読んでしまうと私の抑えている気持ちが抑えきれなくなってしまうかもしれない・・・・ダメだ、このラブレターは読まずに捨ててしまおう・・・・ )私はそう決心してラブレターを縦に破り、横に破り、4分割にして立ち上がり教室の隅にあるゴミ箱に捨てた。席に戻る時にふと廊下を見ると野元くんの友達の川崎くんが悲しい顔をして歩いて行くのが見えた。
(私の行動を見てたかな? ちょうどよかった、この事を野元くんに伝えてくれるだろう、そしたら私は野元くんに嫌われる・・・・これでいいんだ、これでいいんだ、裕子の為だもん・・・・裕子の・・・・ )席に着いてまた本を手にして読んでいたが字が曇っているようで読めなかった。左目から涙が落ちているのがわかった・・・・
その日以降、野元くんを目で追うのを辞めた。裕子にはラブレターを貰ったことは言ってない。監視役は続けてる程にしていたので裕子に聞かれる度に胸が苦しかったけど、上手く誤魔化せたよ。
あーっ、もぅ、人付き合いってほんと疲れる・・。やっぱり本と向き合っている時が一番楽で幸せだよー 。




