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次の日の昼休み、真実、浩太、智大の3人はお決まりの場所で昼ご飯を食べていた。
真実はもう迷っていなかった。麻耶と付き合うことを決断していたのである。
「こうた、ともひろ、オレ決めたよ」
真実がそう言うと2人は箸を止めて真実の顔を見た。
「オレ、墨田と付き合うことにした」
少し恥ずかしそうに言う真実の顔を見て2人はニコリと笑い、智大が先に話し出した。
「おお、そうか、おめでとうだな」
浩太も続く。
「当たり前だよな、オレはそう決断するってわかってたぜ、おめっとさん」
「まだ墨田には言ってないけどな、今日の放課後話ししてくるわ」
2人のお祝いの言葉に顔を赤らめながら真実が返答すると、浩太と智大は親指をグッと突き立てた。
昼ご飯を食べて暫くすると教室に真子が戻って来て席に座った姿を見つけた。真実は真子の元へ歩み寄り声を掛ける。真子は真実の顔を見てニコリとした。
「あら、まこと、昨日はお邪魔したわね、どうしたの?」
「ああ、オレ、決めたから墨田と話がしたいんだ、この前と同じで16時に屋上で待ってるって伝えて欲しいんだけどいいか?」
「ええ、いいわ、麻耶ちゃんに伝えておくわね」
「たのむ」
真実は踵を返して自分の席に戻ろうとした時に真子は立ち上がりながら呼び止めた。
真実は振り返って真子を見た。
「まこと、お母さんにはちゃんと話ししたの?」
「ああ、昨日あれからちゃんと話しをしておいたよ、他人事なのにかなりヘコんでたよ・・真子はオカンに気に入られてたみたいだな」
「そう、これからはまことの友人として遊びに行かせてもらいますってお母さんに伝えておいてちょうだいね。それじゃあ麻耶ちゃんに伝えてくるね」
そう言って真子は扉に向かって歩きだした。
(また、オレん家来る気なんかーいっ) 真実は心の中でツッコミを入れながら真子の背中を見て教室を出たのを見送ってから席に戻った。
放課後になり真実は屋上で麻耶を待っていた。16時にはなっていなかったが前回は麻耶が先に待っていたので、今回は先に待っておこうと考え20分前にスタンバイしたのであった。そして、真実が屋上に着いて5分も経たない内に麻耶が屋上にやってきた。
(墨田、来るのはやっ! 20分前に着いておいて良かった) 真実はホッとして麻耶を見た。
麻耶もまさか既に真実が待っているとは思ってなかったようで真実を見つけて驚きの表情を見せながら歩み寄ってきた。歩いて近づいてくる麻耶の姿を真実は見惚れていた。
(墨田って顔といい姿といいほんとうに綺麗だよなー、他の男から告白されたりしないのかな・・・・) そう思っていると麻耶は目の前で立ち止まって真実を見つめていた。
真実はハッと我に返って麻耶に話し掛けた。
「墨田さん、呼び出してごめんね」
「大丈夫だよ、この前の返事聞かせてくれるの?」
「うん・・・・」
真実は緊張した面持ちで麻耶を見ていたが、対照的に麻耶は落ち着いた面持ちで真実を見ていた。暫く沈黙続いた後、ようやく真実が話し始めた。
「墨田さん、この前はオレのこと、好きって言ってくれてありがとう」
「うん」
「オレも墨田さんのこと、好きです」
「うん」
「付き合ってください!」
「うん・・・・よろしくお願いします」
麻耶は静かに、落ち着いた口調で答えてはいたが、感情を抑える事が出来ずに目から涙が溢れ落ちていた。真実は涙を流している麻耶を見て心臓が飛び跳ねる程の鼓動を感じて思わず麻耶を抱きしめた。
「麻耶・・大好きだ」
麻耶は小学校から好きだったが友人の為にと心の奥に封印していた想いが解放されて叶ったことに喜びを感じて真実の身体に顔を埋めたのであった。
『ズレた世界編』終了です。
新しい編に入る前に事前に作っていた話を挿しこみます。
お楽しみに。




