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昼休みも終わって午後からの授業中、真実は状況の整理をするのであった。
45歳だったオレは原因不明の頭痛に見舞われて意識を失くしてしまった。気がつくと中学1年生に逆戻りである。生徒を見渡しても昔の中学1年の時のメンバーそのままである。中学生に戻ったようだが、記憶は45歳の記憶が残っている。ということは今までの人生をもう一度やり直す事ができて、前の人生で失敗したところを未然に防ぎ違う人生、失敗しない人生を送れるのではないのか? これってかなりのチート能力になるのではないか? 嬉しい反面、本当にこれは現実世界なのだろうか?よくアニメや小説で描かれていた異世界転生もの? しかしオレが居るのは自身の記憶にある昔にタイムリープした形である。このまま眠りに着いたら明日にはまた現実の45歳に戻るかもしれない。しかしその辺りを考えても答えは出てこないので考えるのも無駄だ。とにかく今はやり直しが出来ると考えて改めて人生を楽しもう・・・・どこまで続くのかわからないけど(テヘっ)
しかし、この状況は誰にも相談できないな・・・・流石にあの3人にもタイムリープして来ましたー! なんて言っても信用してくれないし、頭可笑しくなったと思われるのがオチだな、コレはオレだけの秘密にしておくことにしよう。ある程度の整理がついたところで今日の授業は終了である。
授業も終わり下校の時間、帰路につきながら真実はふと考える。
(自宅に帰ると両親と兄がいるのか・・・・45歳になっていたオレには既に両親は亡くなって5年が経っていた。その両親が家に帰ると居るのだと思うとなんともエモい・・・・平静を保てるのだろうか心配だ・・)
真実の両親は父親の借金返済が苦になり自殺をしてしまい、あまり思い出したくない記憶っある。嫌なことを思い出し不安な面持ちで自宅に帰ってくる。そこは懐かしい自宅である、この自宅は真実が大学を卒業して社会人になって直ぐくらいに父親の借金が原因で競売に掛けられて売り払ってしまった。そう考えると20年振りの自宅である。門を開けて庭に入ったところで立ち止まり、建物全体を見上げて懐かしさが込み上げて来る。(あーー、懐かしい、自宅だ・・・・売り払った時に比べるとまだ綺麗だな・・この人生が続けていけたら競売に掛けられることも回避できるのだろうか・・・・両親を亡くすことも・・・・)少し悲しい気持ちになりながら玄関の扉を開けて中にはいる。玄関を入るとスーッと深呼吸、懐かしい匂いを感じる。あまりにも懐かしい風景が目に入って来た為、なにも言葉を発する事も出来ないまま靴を脱ぎ捨てふわふわと中に入っていく。通路をゆっくり歩き台所へ入ると懐かしい背中が映し出される。台所に入って直ぐのところで立ち止まり母の背中を只見つめ続けた・・いや、見つめ続けることしかできなかった。
母の真弓は真実の気配を感じて驚いて振り返る。
「ビックリしたー! まこと! 帰ってきたならちゃんとただいまって言いなさい!ビックリするじゃないのよー」
プンプンと怒っている母を未だに立ち尽くして見続けている。
(オカンだ・・・・やっぱり若いな・・ってか生きてる・・・・生きてるオカンだ・・)
久しぶりに見た母親の姿に真実はまたまた自然と涙が流れた。久々に母親を見た姿を亡くなった時の酷い有様だった母親とダブらせてしまったこと、自身の45歳までの人生があまりに不甲斐ない想いことが相俟って大量の涙が溢れ落ちてきた。真実の異様な姿に真弓は驚き問いかける。
「まこと? どうした? 学校でなんかあった? 大丈夫?」
心配そうな顔をして真実に向いて歩いて来たことで真実はハッと我に返り、カバンから弁当箱を取り出し真弓に両手でグッと手渡してすぐに踵を返して2階にある自室へと走り去って行った。
真弓は状況が掴めず弁当箱を両手で抱えながら首を傾けていた。




