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暫く目を瞑って下を向いていた真子はゆっくりと顔を上げて目を開けて語り始めた。
「私たちが付き合って数日経った頃なんだけど、廊下を歩いている時に麻耶ちゃんに呼び止められたの。話しがあるってね、人けを避けた所に行って話しをしたんだけど、その時麻耶ちゃん、いきなりまことと別れて欲しいって頼んで来たのよ、私、いきなりでビックリしたわよ。話しを聞くとね古屋裕子ちゃんがまことのことが好きみたいで、今度の生徒会選挙に出て当選したら告白するって言ってきたの」
(やはり、裕子は告白するつもりなんだな・・・・)真実は少し安堵の表情を浮かべる。
「・・・・ 、麻耶ちゃんからいきなりそんな事を言われて私も引き下がるつもりはなかった、だって、その時はまだ佳代とケンちゃんが付き合ってなかったから、あと、麻耶ちゃんと面識がなかったから、何言ってんのコイツって思ってたくらい」
真子はその時の状況を思い出しフフフっと笑った。
「すぐさま断ったんだけど、必死にお願いしてきて、なんでそんなに必死に別れて欲しいって言うのか尋ねたら、麻耶ちゃん、必死に裕子ちゃんがまことが好きだってこと、小学生の時から想い続けている事を話してきたのよ・・・・でもね、私、なにか凄く、その・・・・麻耶ちゃんの姿に違和感を感じてね、咄嗟に聞いちゃったの・・、あなたもまことのこと好きなんじゃないの?って・・・・、ほんと何気に、確証も持たずに聞いちゃったのよね・・・・そしたら麻耶ちゃんの顔色が急に変わって涙を流し始めたのよ、私、泣かしちゃったと思って焦ったわよ。でね、落ち着かせてたら急に話し始めたの、麻耶ちゃんもまことのことが好きだったって、小学生の時に助けて貰ってから好きになったって」
真子はまだこのまま話しを続けていいか真実の顔を伺い見ていた。真実は真剣な表情で真子の話しを聞いて何も言わず黙っていたので真子は話しを続けた。
「麻耶ちゃんはまことのこと好きになったけど、ひとつ大きな障害というか壁があったそうなの、それは裕子ちゃんの存在。あの2人、小学生からの親友で麻耶ちゃんは当時裕子ちゃんしか友達が居なかったそうなの、ある時裕子ちゃんから『まことが好きなんだけど麻耶ちゃんはまことのこと好きなの?』って聞かれたらしいの、その時麻耶ちゃんはここでまことのこと好きだって言ったら友情が崩れて無くなってしまうと思って『好きじゃない』って嘘をついたらしいの・・・・その日から麻耶ちゃんはまことのことを諦めて裕子ちゃんを応援するっていうスタンスを取っていったみたい・・・・」
真実はその話しを聞き、驚きの表情を隠す事が出来なかった。
(真子の言っていることがタイムリープ前でも同じだったら、1年でラブレターを渡した時に捨てられた理由が分かる・・・・裕子の為に捨てたんだ、たぶん、あっ、だからオレのことチラチラ見てたのか、裕子のためか・・・・)今までの事柄が線で結ばれていた事に驚愕していたがそこでふと疑問も浮かんだ。(ん?じゃあなぜ今回裕子の応援を辞めて告白する事にしたんだ?)真実は顎に手を当て下を向いて考え耽った。
「なんで裕子ちゃんを応援していたのに麻耶ちゃんが告白してきたのか疑問になった?」
真子の言葉にバッと顔を上げてなぜ分かったんだと言わんばかりの表情で真子の顔を見た。
真子はニコリとした顔で話しを続ける。
「そう思うよね、それはね、結論から言うと私が説得したの・・・・だって、あんなに必死に裕子ちゃんの為とはいえ私に直談判してきた子だよ、叶ってほしいじゃん。まあ、最初別れてって言って来た時は断ったよ、だってあの時は別れる気はなかったから・・・・、佳代とケンちゃんが付き合ったってまことから聞いた時に私は佳代のことが好きで、今までやってきた事ってなんなのーって思ってる時にまことと話しをここでして私は吹っ切れた、その時にまことと付き合うのは私じゃなく、裕子ちゃんじゃなく、麻耶ちゃんだって思ったの。だからあの時あんな事言ったの」
「じゃあ、そこから墨田を説得し始めたのか?」
「そう!もーぅ、説得するの大変だったよー・・・・麻耶ちゃん、裕子ちゃんとの約束は破れないの一心だったからねー」
真子はそう言いながら両手を上に上げてググッと伸びをした。
「じゃあ、どうやって説得したんだよ」
真実が尋ねると伸ばした両手を下に下げてお菓子を探りながら話した。
「ん? ああ、3人で話しをしたの」
「3人?誰と?」
「ん? 決まってるじゃん、私と麻耶ちゃんと裕子ちゃんの3人」
平然と話す真子に真実は驚愕した。
「はーーーっ?裕子に言ったのかー?」
真子は真実が放った言葉に引っかかりを覚えたがスルーした。
「うん!私が間に入ってね、麻耶ちゃんもなんだかんだ言って諦めきれなかったんだよ、裕子ちゃんにしっかりと自分の口で想いをブチまけてたわ。裕子ちゃんは泣いてたけど、薄々感づいてたって言ってた・・・・けどね、私、実は裕子ちゃん、小学生の時に麻耶ちゃんが好きじゃないって言った時から分かってたんじゃないかって思ったの、なので、その事を裕子ちゃんに言ったら彼女、麻耶ちゃんにごめんなさいって言いながら大泣きしちゃって・・・・私またいらない事言って泣かしちゃった」
そう言いながら真子はテヘペロポーズをとっていた。
(こいつ、やらかしたとは絶対に思っていないな・・・・しかし、真子は相手の気持ちや考えている事が分かるのか?察しが良過ぎだろう・・・・)そう思いながら真子を見つめる。
「私、最近、相手の考えてること、思ってることなんとなくわかっちゃうんだよね・・・・」
そう言いながらお目当てのお菓子を見つけて嬉しそうに頬張った。
真実は自分の思ったことをまた読まれたと思いドキっとした。




