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タイムリープ前の回想シーンです。

今回は其の②

梅雨も明けてジメジメしていた空気も薄れてきているが、今度は日差しが強く暑い日が続くようになってきた。今日で1学期も終わりで、いよいよ明日から夏休みに突入である。といっても真実は生徒会の引き継ぎがあるので毎週水曜日は学校に来なければいけなかった。2学期に入ると体育祭と文化祭が控えているので夏休み中に引き継ぎと準備の補佐をしないといけないのである。強制ではないので休むことは出来るのだが、やることが特にない真実としてはいい気分転換になると考えて登校しようと考えていた。

終業式を終えて各教室に戻り、担任から夏休みの注意事項を聞き、ホームルームを終えて下校である。みんな夏休みに入ることの開放感からかテンションが高い。そんな中、真実も当分勉強から解き放たれる気持ちから心は軽い。ぐぐっと解放を示す伸びをしながら浩太に話しかける。

「さーて、こうたー 、帰るかー 、今日一旦帰ってからお前ん家行っていいか?」

浩太はせっせとカバンに持ち帰る物を入れていた。

「ああ、いいぜー 。だけど、まことすまんがオレ先生に呼ばれてて職員室に行かないといけないんだよ、戻って来るまで教室で待っててくれないか? そんなに時間かからないと思うからさ」

「そっかー 、オッケー 、待ってるわ」

浩太はカバンを置いたまま職員室に向かい歩いていった。真実はスマホを取り出し浩太が戻って来るまで暇つぶしをするのだった。スマホに気を取られて数分、暫くしてふと周りを見ると、既にみんな下校していて教室には真実が1人残った状態になっていた。

(あいつ、おせーな・・・・なにしてんだ?)そう思いながら立ち上がり、教室の窓側へ歩き窓を開けて外を眺めた。今日は快晴で雲ひとつない空、風は適度に吹いていて教室に入ってくる風が気持ちいい。どこからか、その風に乗ってブラスバンド部の演奏練習が聴こえてくる。

(あー 、夏休みに入ったなー 、今年の夏はなにをしようかなー )そんな事を外を眺めながら考えていると教室の扉がガラガラっと開いた音が真実の耳に入ってきた。

(こうたのヤツ、やっと戻ってきたか)そう思い扉の方に振り返るとそこには浩太ではなく裕子が立っていたのであった。

真実は浩太でなかったことにガッカリした気持ちと共に疑問が浮かんだ。

「古屋さん、どうしたの? なんか忘れ物でもした?」

裕子は真実の問いかけに答えることなく、ツカツカと歩いて真実の前で立ち止まった。

真実は裕子になにがあったのかまったく理解できず、只裕子の姿を見ていることしかできないでいた。裕子は何か言いたそうな雰囲気を出しているが下向き加減なので、真実からは裕子の表情を見ることができない。2人が向かい合って暫く時間が経過する。真実はこの間を無くそうと思い裕子に声を掛けようとした「あの・・ふる」ここまで話した瞬間、裕子はバッと顔を上げて「野元くん!」と名前を呼んで真実の言葉を遮った。その顔は緊張感を漂わせ、必死な形相、更に恥ずかしいのか顔を赤らめていて、いつもニコニコして話しかけている裕子とはまた違う顔を見せていた。真実はそんないつもと違う裕子の顔を見てドキッと驚きながら「はい・・・・」と呼び掛けに返事した。

「わたし・・・・わたし・・小学生の時からずっと・・あなたのことが・・・・好きでした・・・・」恥ずかしがりながら裕子は真実の目を見て告白をしたのであった。真実は小学生の時から好きだったという言葉を聞いて、小学生の時の裕子との接点場面を探し出すが、好かれていたと感じる場面は一向に見つけられなかったため、戸惑いの表情を見せた。

裕子は真実が戸惑いの表情を見せたことを察したが告白を続ける。

「たぶん、わたしのこと、好きでもないだろうし、気にもかけてなかったかもしれない・・・・けど、わたし野元くんと付き合いたい! 野元くん、最近元気ないから、わたし、前の野元くんの優しい笑顔が見れるよう側にいて元気付けたい! 野元くん、わたしと付き合ってくれませんか?」

裕子の言葉に真実はドキッとしたことが2つあった。一つ目はたしかに真実は裕子の事を恋愛対象として見ていなかったので裕子の告白に驚きドキッとした。二つ目は『そして笑顔が見れるよう』・・・・ そういえば佳代と真子の件があった以来笑った記憶があまりない。冷めている自分しか思い出せないでいた。そんなところを裕子は見ていてくれたのかと自分の気持ちを見透かされていた事にドキッとした。

真実は迷い考える(恋愛対象にまったく見ていなかった、好きでもなかったのに付き合っていいのか?・・どうすればいいんだ?・・どうしよう・・・・わからない・・・・)

「古屋さん・・オレ・・古屋さんのこと・・恋愛対象として見てなかった・・・・だから、付き合うのは・・・・ちょっと・・・・」

真実の心の中は完全に2分されていた。(やった、俺のこと好きって言ってくれた。好きじゃなかったけど付き合っていいんじゃねー ) (恋愛対象として見ていなかった、好きでもないのに付き合うなんて相手に失礼すぎる、これは断るべきだ! )まさしく天使と悪魔の両方からの囁きである。しかし、今裕子に伝えた言葉は悪魔の囁きが優勢の弁だった

そんな時である。

「まことー 、なに堅苦しいこと言ってんだよ、付き合っちゃえよ」

教室の扉側から聞き慣れた声が飛んでくる。浩太であった。その横には智大も居たのであった。

真実は2人を見て驚きの顔をみせた。「えっ?」

「えっ? じゃねーよ、まことさー 、古屋さんのこと嫌いなの?」

「嫌い? 嫌いじゃねーよ」

「じゃあ付き合えばいい、今好きじゃないかもしれねーけど、付き合ってたら好きになるかもしんないし、嫌になったんならその時は別れればいい。だってさー お前、古屋さん見てみろよー 、お前のことメッチャ好きなんだぞ、その気持ちしっかり受け止めてあげろよ」

真実は浩太の言葉を聞いて裕子の顔を見る。裕子は今にも泣き出しそうなくらい瞳をウルウルさせながら真実の顔を見上げていたのだった。

智大はもう一押しだと考えて真実に言葉を告げる。

「まことー 、古屋さん、お前と一緒に生徒会活動やりたかったから今回立候補したらしいぞー 、なのにさー 、お前生徒会辞めるってなってさー 、古屋さんショックだったらしいぞー 。これは責任とって付き合うしかないよなー 」

真実は智大の話しを聞いて(責任って、それ関係なくね・・・・でもこれは付き合えって押してくれてるんだな)と智大の意図を察したのであった。この時にはもう悪魔は消えそうなほど小さくなっており天使が真実の頭の周りをブンブンと飛び回っている状態になっていた。

真実は決心して裕子のウルウルした目を見た。

「古屋さん、オレ、さっき言った通り、恋愛対象に見てなかった。好きだって言ったらウソになる。だけど、古屋さんと付き合ってみたい。いいかな・・・・ 」

真実の言葉を聞いて裕子はウルウルしていた瞳から涙が溢れ落ちた。

「うん、野元くんと付き合いたいです」

裕子はそう言って真実に抱きついて胸に顔を埋めたのだった。

浩太と智大は喜び感情を表に出しながらガシッと手を組みあって、真実にグッドと親指を突き立てた。真実はそんな浩太と智大を見て恥ずかしそうにはにかみ笑うのであった。


中学2年の夏、野元真実と古屋裕子は付き合うことになったのである。


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