[21]
次の恋愛話に入りますが、今回はいきなりタイムリープ前の
回想シーンから入っていきます。
時系列は[10]の回想シーン後の話です。
今回の回想は2話に分けて投稿予定です。
まずは其の①
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彼女が欲しい・・・・そんな切実な願いを想い描く真実だったがその想いはなかなか稔ることが叶わなかったのであった。どちらかというと、真実の心は折れそうなくらいボロボロな状態になっていた。人の心は読み取ることはなかなかできるものではなく、ましてや異性の考えなど、男が女心を読み取るのは難解である。これまでの真実の起こす行動を振り返ると全てが裏目に出てしまっている。
そんな真実は浩太に愚痴をこぼし、慰められていたのであった。浩太もまさか真実が佳代のことが好きだったなんてまったく気付かず寝耳に水であった。しかも真子から告白されていて断っていた事、佳代と憲一が付き合った事で真子に言い寄ったが時すでに遅しでフラれてしまったなんて、、、浩太も自分の身を削られたかと思う程のショックを受けていた。
(まことは本当にタイミングが悪いというか運がないというか・・・・麻耶の件といい可哀想すぎる・・・・)そう思いながら真実の愚痴をうんうんと聞いて慰めの言葉を掛ける。
「まこと、色々あってショックかもしれないけど、必ずお前に合った彼女ができるって、元気出しな」宥める浩太に真実はまだ立ち直るキッカケを掴めず、落ち込み溜息をつくのであった。
「こうた、オレはもうダメだ・・・・もう女なんていらねー 、オレは男友達を大事にしていくよ、女なんてなくったって生きていけるんだよ」真実はフラれた男の常套文句を口にしながら自棄になってテーブルに置いてあったサイダーを一気に飲み干した。浩太はそんな真実の姿を見て居た堪れない気持ちになりながら慰める。「そうだよ、俺がいるじゃないか、オレらは親友だからな、裏切ったりはしないぜ」(まこと、重症だな、当面はそっとしておいてやるか)浩太は落ち込む真実を見てそう思いながら肩をポンポンと叩くのであった。
真実にとって嵐の春と豪雨の梅雨が過ぎ、中学2年の1学期もそろそろ終わりに差し掛かかってきた。期末試験も終わり、あと10日程で夏休みである。そんな中、真実は生徒会の活動で忙しくしていた。中学になっても相変わらず周りから頼りにされる存在になっており、1年生の9月から約1年間生徒会役員として活動をしていた。この中学校の生徒会は任期が1年で選出方法は立候補して7月に全校生徒から合否の2択選挙を行い、合の比率が全校生徒の6割を超えると生徒会に任命されて、7月8月で仮活動という形で引き続きを行い、9月の2学期から実質活動開始となる仕組みであった。1年生で生徒会役員を任された生徒は大抵は2年目も続ける者が多いのだが、真実は2年目は延長せずに終了する道を選んでいた。そのため、9月から新しく生徒会役員になる生徒に引き継ぎを行なっていかなければならないのであった。
そして真実が引き継ぎをしている生徒は同じクラスの古屋裕子だった。授業が終わり活動時間になると、裕子は真実の元にやってくる。
「野元くん、生徒会室に行こう」明るくて元気な声で真実に話しかけてくる。
「はいよー 」真実は裕子とは対照的に気の抜けた声で返答する。
2人で生徒会室に向かう際、裕子は楽しそうに、飛び跳ねるように歩きながら真実の横に並んで歩いている。裕子は真実の元気のなさに気づいて高揚を抑えて普通に歩き直し真実の顔を見ながら尋ねた。
「野元くん、最近元気ないね、どうしたの?」
真実は裕子の顔を見ることなく無表情で歩いている。
「ん、別に、いつも通りだよ」
「うーん・・・・そうかなー 、春頃に比べるとなんか違うんだよねー 」
「そうか? 気のせいじゃね?」
裕子は真実の返答にどうも納得できないでいた。そして更に質問を投げかける。
「野元くん、なんで生徒会延長しなかったの?」
「ん、もういいかなって思って」
真実は素っ気ない態度で答え、その姿を見て裕子は少し寂しそうにして顔を下に向けるのであった。
真実は生徒会の引き継ぎを淡々と進めていき、下校時間となったので帰り仕度を始めていた。最近どうもヤル気が出てこなくて、この遣る瀬ない気持ちに溜息をつくばかりである。このままではダメだと自分自身わかっているもののどうしても気持ちが上がってこない。(なんか、最近つまらないなー、やりたい事もないし・・・・なにか楽しめる事を見つけないといけないなー )
春まで仲間内でハマっていたスマホゲームのGTOもあの時の出来事から結局ログインをすることに抵抗ができてしまい辞めてしまったのであった。浩太と智大、憲一、佳代の4人はまだ続けていて今は憲一のクラスに集まって遊んでいるようである。真実は参加せず、教室に1人でいる時間が多くなった。たまに浩太が気を遣って一緒に居てくれて話しをすることがあるが重要ミッションがあると呼ばれるのでその時はまた1人で教室に残り音楽を聴きながら机に伏せて眠っていることがほとんどであった。
「さてと、帰るかー 」ダラダラと歩き始め教室を後にして夕陽に照らされ写し出される長く伸びた陰をズルズルと引き摺りながら家路につくのであった。




