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母の真弓のお陰で緊張が解れた2人はいつも通りのたわいもない話をしていた。1時間ほど経った辺りで真実は今日の本題へと話を進めていくのであった。
「真子、ちょっと真面目な話をしてもいいか?」
「えっ? いいけど、どうしたの?」
真子は少し緊張した面持ちの真実を見て察したのか背筋をピンと伸ばして真実を見つめた。
「真子は佳代と憲一が付き合った事・・どう思ってるんだ?」
真実は言葉を放った後直ぐに真子の顔が一瞬苦い顔をして直ぐに和かな顔に戻ったのを見逃さなかった(オレの考えていること当たってるかもしれないな・・・・)
「えーっ、何? どう思ってるって、嬉しいと思ってるし、あの二人お似合いじゃないかなと思うよ」
真子は真っ直ぐ真実の目を見て返答してきた。
「真子、今日は腹を割って話しがしたい。その為に家に呼んだんだ。他の場所じゃ落ち着いて本音で話せないと思ってな・・。今嬉しいって言ったけど嬉しいと思ってる奴が、6人で集まって話してる時に佳代のこと、あんなに悲しいそうな顔で見つめないと思うんだけどな・・・・どうなんだ?」
真実が真っ直ぐに真子の目を見返して語りかけると真子は目を下に切らしてそのまま下を向いて目をつぶった。
暫く沈黙が流れたところで真子が顔を上に向けて悲しそうな顔をして言葉を発した。
「・・・・ うーん・・・・ こればかりは本音で話すのは難しいかな・・・・」
また少しの沈黙が流れたところで今度は真実が意を決して言葉を発した。
「オレ・・・・まだ確信持ってないんだけど、オレの思ってる事、話すよ」
上を向いていた真子が真実の顔を見るために顔と視線を共に下に下ろしてきた。
「真子はさ、佳代のことが好きなんだと思う・・・・。友達として好きとかじゃなくてさ、恋愛として好きなんだと思う・・・・」
「まことはなぜそう思うの?」
真子は顔色を変えず、真実の目を見て、感情に起伏のない口調で質問してきた。
「真子が告白してきた時、違和感があったんだ、真子って本当にオレのことが好きで告白してきたのかなって、そこから6人で集まる事が多くなっていったけど、佳代が居る時は真子ってめっちゃオレにくっ付いてきて佳代のこと見るんだよ。最初はさ、付き合う前に佳代がオレらのグループに入って来て、オレと佳代が仲が良かったから奪い取ってやろうって思って告白してきたのかな? って思ったんだよね・・・・。佳代に対してね、敵意があるんじゃないかって思ってた」
真子はずっと真実から目線を外さずにいるが、顔が少し暗い感じになってきていた。
真実は少し体勢を変えて話しを続けた。
「付き合って数日だけど、真子と一緒に居て、話しして、真子を見ているうちに佳代に対して敵意があるとは思えなくなってきて・・・・。そのタイミングで佳代と憲一が付き合って6人で話してる時の真子が佳代を見る目がなんか、悲しそうというか、寂しそうというか、なんとも言えない顔してたんだよ。その顔見た時にふと、佳代のことが好きなんじゃないかなって思ったんだ」
真子は真実の話しを聞き終えると下を向きながら目を閉じた。暫くして真子は大きく息を吸って身体全体を使って溜め息をついて真実の顔見るために顔を上げた。
「すごいね、まこと・・・・誤魔化せないや」
真子はそう言ってニコリと笑顔を見せた。
「まことの言う通り、わたしは佳代ちゃんのこと好きなんだ・・恋愛対象としてね・・・・ わたしのこと、世間じゃバイセクシャルって呼ぶのかな・・両性愛者ね・・・・佳代ちゃんと仲の良い人から好きな人がいるみたいな話を聞いて観察してたら、まこととめっちゃ仲良さそうだったから、佳代ちゃんと付き合わせたくなくって、先に奪って諦めさせようと思ったの。そしたらさー、好きだったのはケンちゃんだったって・・・・目の前が真っ暗になったわよ・・・・」
真子はスーッと上を見上げた。真実はそんな真子の姿を見つめながら疑問を投げかけた。
「何故、佳代が好きな男性を奪って諦めさせようと思ったんだ? 佳代の意中の相手と付き合ってしまったら佳代と恋愛関係に持っていくのが余計に難しくなってしまわないか?」
真子はうんうんと頷いた。
「そうなのよねー、なぜ、そこまでに考え着かなかったんだろう・・・・ 。その時は兎に角、佳代ちゃんに男ができて欲しくないという思いと、好きだった男を先に奪われてわたしを見て欲しいって思ったのよ・・・・。よくよく落ち着いて考えると、なんか・・ズレてるよね」
真子は可愛くはにかんだ笑顔を見せた。
「まあ、恋は盲目って言うからなー」
真実はシミジミと天井を見上げて見つめていた。
「もう、そんな簡単な言葉で纏めないでよ」
真子はプンプンと怒ったような顔で真実を見た。真実はハッと我に返ったように真子の顔を見る。
「あっ、すまん、すまん」
2人は同時にクスクスと笑うのであった。




