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ヒアリングが終わり、
新谷が紙を集め始める。
皆、
何事もなかったように、顔を上げる。
新谷がヒアリングシートを片手に教室から出て行くと、重いものから解放されたような空気が、教室に戻ってくる。
1人を除いては・・・・
真実だけは、何も戻っていない。
俺は、カバンを手に取り、
重さに耐えるよう、
じんわりと立ち上がった。
誰にも声をかけず、
誰とも目を合わせず、
教室を出る。
廊下に出た瞬間、
ようやく、少しだけ軽くなり、息ができた。
(・・・・もう、ここには通いたくない)
言葉にしなくても、
それは、はっきりと決まっていた。
(このクラスには、俺の居場所はない)
(いや・・・・)
(最初から、なかったのかもしれない)
俺は、そのまま校舎を後にした。
背後で、
チャイムの音が鳴る。
世界は、
今日も何事もなかったかのように、
動き続けていた。




