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天狼族  後半は天狼族目線その1

いつも読んでくださる皆様に感謝。

いいね!もありがとうございます。

励みになっております(o^^o)

スッと目をそらした犬たちの気まずそうな表情を見て、


あ、ものすごくくだらない原因で死にかけたんだな


と思った。


聞きたいような聞きたくないような。


どちらにせよ言葉は一方通行で犬が何を言っているのかはわからないのだから気にしても仕方ない。

そんなことよりもこれからのことだ。


湖まで戻っても地球に帰れなければ、そのうち食べ物は尽きる。

お弁当やコンビニおにぎりは今日食べないと腐るだろう。

お菓子は節約しながら食べられるが、それも1週間もすれば尽きる。

湖の水はどんなに透き通っていてもそのまま飲む勇気はない。

どうしたところで死ぬ未来しか見えない。


そもそもこの森であのティラノサウルスやアナコンダ相手に生き残れる気がしない。

無理だ。


考えれば考えるほど落ち込んできた。


「これからどうしよう。一体どこなの?ここ……。」

ボソボソと半泣きの声で(つぶや)いていると子犬が私の顔を(のぞ)きこんできた。

ペロンと頬を()められる。


子犬は私の目を見た後、私の背後を見た。

子犬の視線を追って振り返って、心の底から泣きたくなる。


ティラノサウルスの肉が欲しいのか、まさか私がエサなのか。

プテラノドンみたいな巨大なトカゲ鳥がこちらを目掛けて一直線に飛んでくる。



「何アレ!?トカゲが空飛ぶとかないわぁ!非常識すぎるでしょう!?」


正直言ってティラノサウルスでお腹いっぱいだ。

これ以上はいらない。

アナコンダに始まり、ウサギ、猪、双頭のトカゲにサル。土の下から巨大ミミズにモグラっぽいもの。木の上からはデカいクモや2メートルほどのカマキリ。そういったものにひっきりなしに襲われた。

犬がいなければ20回は死んでた。


もういい。

もうお腹いっぱいだ。

これ以上はノーセンキュー。


「こっち来んな、バカーーっ!!」


声を絞り出して思いっきり叫んだ。

この世界に来てから()まりに()まっていたものを全部吐き出すように。


「ふざっけんな!私が何したって言うのよ!

どいつもこいつも私を見たら襲ってきやがって!

お前らまとめて地獄へ()ちてしまえ!!!」



ボッ


っと音が聞こえるくらいに大きな火が私の頭上に浮かんだ。


その火に向けて犬たちが次々に魔法の火を足していく。

火はグルグルと回転しながらどんどん大きくなっていく。



カーっとなっていた気持ちがしぼみ、

これ、ヤバいんじゃ?

という気持ちがわきあがる。


それを見計らったように、火の玉が空とぶトカゲに向かって飛んでいった。





☆☆☆



我らが住む森は非常に広大で、大陸の実に2割を占めている。


森の北東には古龍の住む山脈がありその裾野(すその)に広がる森の一部までが古龍のテリトリーとなっている。


我らが領域としているのは森の南西であり、最深部に湖を持つ。

はっきりとした境界線があるわけではないが、お互いに相手の領域に立ち入らないことで長らく均衡を保ってきた。


ところが最近になって、古龍の眷族(けんぞく)たちが領域を(おか)してこちらに入り込むようになった。

初めこそは取るに足らぬことと放置していたが、こちらが相手をせぬのをいいことに見過ごせぬほどの悪さをするようになっていく。

面白半分に魔獣を殺しその死体は放置された。

樹木を傷つけ、爪をたて、奴らの気分のままに倒された。


古龍が最近になって代替わりをしたのは知っている。

そいつが我らにケンカを売るほど血気盛(けっきさか)んなのか、若さゆえに(あなど)られ眷族(けんぞく)(ぎょ)しきれないのか。

なんにせよ迷惑な話だ。


そして先日。

奴らはよりにもよって母のお気に入りの大樹を倒しその近辺を荒らして去っていった。


母の体から静かに怒りが(あふ)れてくる。


終わったな。


古龍も。その眷族(けんぞく)も。


弟と顔を見合わせる。

弟は困ったような(あきら)めたような顔でこちらを見ているが、弟の目に映る我もまた同じ表情をしていた。


ちょっと行ってくるわ。


母が言った。


どこへ?

などとは聞かない。


仕方ない。

弟に留守を任せ、走り出した母の後ろを追いかけた。



母は、古龍との領域ギリギリの場所に立つと、


そもそも自由に行き来できなくすればよいのだ。


と宣言して大地を割った。


……………大地を割った………。



古龍や飛龍など空を飛べる者たちには無意味だが、こちら側で暴れている地龍は火魔法しか使えない。

谷ができてしまえば確かに有効ではあるのだが……。


えええぇ………。


我が呆れている間に母はサッと風魔法を使って体を浮かせ、軽く向こう側まで飛び越えた。

そのままものすごい勢いで駆け去っていく。


我も慌てて母の後を追うが、本気になった母には追いつけない。


とにかく、あちこちで上がる爆炎や爆風に巻き上がる木や岩。倒れ伏している龍たちを目印に追いかけていく。


やっと追いついた時には母が古龍の頭を踏みつけていた。


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