異世界初日
ストックが切れました。
投稿がゆっくりになります。
視界いっぱいに広がる湖。その向こうには葉を大きく茂らせた木々が太陽の光を遮るほど密集して生えている。
振り返ると、ドアがあったはずの場所には何もなく。
ただ、森が広がっていた。
足元に違和感を感じて下を向くと、風に揺られた草がくるぶしの辺りをくすぐっている。
もう一度前を向くと湖。後ろを向いて森。
もう一度前を向いた。
「森…?え?森??」
人間、本気で驚くと言葉が出てこないものらしい。
なぜ目の前が森なのか、家はどこへ消えたのか。
そんな疑問すら浮かべることができないまま唖然と立ち尽くした。
どのくらいそうしていたのか。
一際強い風が吹いて
ハッと我に帰る。
子供の頃にテレビで見たアニメに登場する丸いフォルムの未来型ロボットが、どこにでも通じているドアを亜空間からニュルンと出してくる映像が頭をよぎった。
ドアはどこいった?
ていうかここどこ?
自分がなぜ森にいるのかわからない混乱。
どうやったら元の場所に戻れるのかわからない恐怖。
やっと思考が戻ってきた。
パニックとも言うけれど。
「どうしよう。どうしよう。
誰か……。」
何か、もしくはどこか、そして誰か。
とにかく、何かを求めて辺りを彷徨い歩いた。
湖が見えなくなるのは怖かった。
いきなり湖にいたのだ。
もしかしたら、いきなり家に帰るのかもしれない。
でも湖を離れてしまったら2度と帰れない気がする。
だから、半泣きになりながら湖を横目に見える範囲を歩き続け、気付いた時には日が暮れかかっていた。
いくらなんでも、夜の森の怖さはわかっている。
いや、リアルにはわからないけど、熊とか。
オオカミとか。
夜の森は歩かないほうがいい。
出来るなら火を焚いて、動物が近づいてきたらわかるようにしたほうがいい。
そう考えるけど、
それが正解なのかすらわからなかった。
ニホンオオカミはもういないんだっけ?
そんなことを思い出しながら、このままではヤバいという考えが浮かび、慌てて休めそうな場所を探した。
そうして、人1人なら入れそうな大きくせり上がった木の根っこと根っこのすきまを見つけてその中に潜り込んだ。
火は迷ったけど、つける道具もなく、火の番も出来ないこと、かえって動物を呼ぶかもしれないことを考えてやめた。
真っ暗な森の中。遠くから獣が遠吠えをする声が聞こえてくる。
何時間も歩き回って疲れ、食欲はない。ただ眠りたかった。
…眠れそうにないけれど。
それでも、いざという時走れるようにと、無理をして伯父から受け取ったお弁当を食べた。
冷え切って固くなったお米はおいしくて、涙が出て止まらなかった。




