失われたレシピ
お久しぶりです。
不定期ですがゆっくり投稿していけたらと思っています。
よろしくお願いします。
私がこのお屋敷に来てから3ヶ月が過ぎた。
ちなみにこの世界では、1年は372日。
31日×12ヶ月なのだそうで。
なんでも、過去にいた迷いモノが暦がないのは不便すぎる!と頑張ってくれたおかげらしい。
ありがとう、過去の人。
365日とだと誤差が7日あるけど、そのくらいなら私は17〜18歳でいいはずだからスルー。
そして、その3ヶ月の間にたくさんのことを学んだ。
言語に関しては、迷いモノ特典なのか全く問題がなくて。算術に関しても何とか合格をもらえた。
魔法は、持ってないと目立つからと杖を渡され、唱えるフリをするようにと簡単な詠唱を教わった。
そしてこの世界の初歩的な事から教わっていく。
この国のこと。通貨やその価値、使い方。物価や法律。庶民の生活の仕方。
周辺国やそこに住む人たちのこと。
この国の国王夫妻はとてもできた人物で、尊敬に値するのだけど、王妃殿下の実家が怪しい動きをしているとのこと。王妃殿下の実父が病死し、弟に当たる叔父が後を継いでからは野心満々で、国王そっくりの王太子殿下では手駒にならないからと、大した能力もないくせに傲慢で虚栄心だけは高い第二王子と手を組んで外戚として権力を握ろうとしていること。
でもそもそも王妃殿下の父親が不審死だったらしくて。当人はうまくやったつもりらしいんだけど、怪しい薬の入手経路とかグダグダでバレバレ。今は秘密裏に証拠固めされているんだとか。
そうやって、関わらない方がいい貴族の肖像画と爵位、領地を覚える事から始まって、知っていて損はないからと国内外の主要な貴族のあれやこれやを覚えさせられる。
これ、本当に必要!?
って、伯母様に尋ねたらものすごい微笑みが返ってきた。
怖っ!
伯母様とライラ義姉様や何人かの教師から本当に色々な知識や作法、所作を教わりながら、冒険者として必要な事も学んでいく。
護身に必要な体術や短剣術や弓術なんかも始めた。
貴族の子女が子供の頃から何年もかけて学ぶことを18歳から学ぶのだから本当に本当に頑張った、私。
カーテシーは何がダメなのかわからないくらいダメ出しされて、筋肉痛で泣いたし。
人前で少しでも猫背になったら伯母様が
「カズハ?」
って微笑んでこっちを見るんだ。
怖いんだよ、本当に。
侯爵家のご飯は美味しいはずなのに、カトラリーの音とか、女性が食べていい一口が少なすぎて全く味がしないし。
パンとかお肉とかかぶりつきたい!
と言う心の声が届いたのか、マナーを学び始めてしばらくの間はトリィ兄様が夜食を部屋に手配してくれた。
サンドイッチとかご飯とお味噌汁とか。
単純だけど久しぶりの和食があまりに嬉しくて、お味噌塗って焼いた焼きおにぎりのレシピをトリィ兄様に渡してこれを食べたいとお願いしたら、それはニシノさんの頃に食べられていたけど長い年月の間にいつのまにか失われた調理法だったらしく。
え?こんな簡単な物が?
と驚いたら、簡単すぎて紙に書き残した人がいなかったせいなのではないか?と言われた。
うーん。納得できるような、出来ないような。
(50年くらい前までは名前から想像して作られた、塩むすびを焼いただけのものが焼きおにぎりとして売られていたんだって)
早速作ってくれたらしく、味見をして喜んだ料理長からお礼の焼きおにぎりが大量に届いた。
……食べきれないから1度にではなく、たまに少量を作って欲しい。
なんなら自分で作ると伝えたら後半は却下された。
伯父様からは、失われた調理法が世に出ると出所を探られるだろうから、外では話さないようにと釘を刺され、でも他にも知っているレシピがあれば教えてもらえないか?と頼まれた。
外には出さないけど、美味しい食事はやっぱり嬉しいからだって。
それは私もありがたいので、食い気味に了承したら、話を聞きつけたマティ兄様が失われたレシピと言われている料理名が書かれたリストを満面の笑顔で持ってきた。
凄い勢いで左右に揺れるしっぽが見えた気がした。
なかなか恋愛に進みません。
ごめんなさい!




