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決別の日

なかなか異世界へ行ってくれません。

私の新しい家が決まったのは姉が亡くなってから半年、父に見捨てられてから2ヶ月目のことだった。


引っ越すから学校を変わることになったよと

リオちゃんに告げると、彼女は

私は悪くないのにひどい

と泣いてくれた。

校区内で引っ越せばいいのにって言われたけど、母と出会う可能性のある地域は父に却下されたし私も嫌だった。

家を出るなら誰も私を知らないところへ行きたかった。

可哀想な私。両親に捨てられた私。

同情するフリで言葉にトゲを隠して話しかけてくる近所の人も。

聖女の出がらしなんて影で笑う姉の信奉者も。

私を見て(ささや)く人のいない、耳を(ふさ)ぐ必要も心を守る必要もない遠くに行けるならそれで良かった。




街を出る日、リオちゃんを思いきり抱きしめた。

ぐえぇ。中身が出る!出ちゃう!

と言いながらリオちゃんの指は私の服をぎゅっと握りしめていた。

ちゃんと連絡してよね!

って強がる彼女の声は震えていた。

リオちゃんは私がこの街の全てを捨てて行こうとしてることをわかってたのかもしれない。



新幹線に乗り込むまで着いてきたリオちゃんは

元気でね!

って叫ぶと発射のベルを待たずに背を向けた。



その細い背中を見た途端(とたん)(のど)の奥からせり上がってくるものがある。母にグラスを投げつけられても、父から追い出されても動かなかった何か。

姉の葬儀の時にこおりついてしまったもの。

それが言葉になって(あふ)れた。


「リオちゃん! !

あなたは私の唯一だよ!!ずっと愛してる!!」


驚いたように振り向いたリオちゃんは、くしゃっと泣きそうに顔を歪ませると

「キモい!!」

そう言って今度こそ背を向けて駆け去っていった。





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