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アルト・ソムネアの場合 ライラの兄目線

いつも読んでくださっている皆様に感謝です。


少し前から考えていたのですが、私は執筆するには全然実力不足だったようです。


いずれ、必ず完結まで書くつもりです。

もう一度、内容をしっかりと練り直し、最後の最後まで決まってから投稿を再開しようと思います。


いつになるとは言えませんが、待ってていただけたら嬉しいです。


今日まで毎回のように読んでくださった方も、いいねをくださった方も本当にありがとうございました。

僕はアルト・ソムネア。ソムネア男爵領の領主だ。

領主って言うと聞こえはいいけど、実際は町とも呼べないくらい小さな村で領民たちと一緒に畑を作っていたりする。


家族は両親に僕の妻と息子と娘、姉が1人と妹が2人。

姉は16の歳に2つ隣の男爵子息の元へ嫁いでいった。

うちと似たり寄ったりの暮らしのようで、気位の高い家に嫁ぐよりのんびりできて楽しいわと毎日嬉々として機織(はたお)りで布を織っている。


上の妹は魔法の才能があったらしく、王都にある王立魔法研究所の試験に3年かけて合格すると、翌月には王都へと旅立った。

結婚の予定はないらしい。

「夫に注ぎ込む時間があるなら研究をしていたい」という根っからのマッドな研究バカである。


一番上の姉が早々に嫁ぎ、両親は畑を手伝いながらのんびり隠居。僕は執務と畑。

となると、実家にいた頃の魔法バカのフォローをするのは自然、末妹になる。

物心がついた頃から、魔法バカの「研究」と称した実験に振り回された末妹は、成長と共に何事にも動じない性格になっていった。

ごめんよ、妹。


裏庭で大根が爆発した時には

食べ物を粗末にするな!と叱っていたし。

卵目当てに庭の片隅で飼っていた魔鳥が、「アルトオモイマス」と鳴くようになった時には「何があるのか説明しなさい!」とツッコんでいた。


そんな末妹も、魔法バカが旅立つのを見届けると「姉の子守は終わりましたので。」

と、あっさり他領の貴族の元へ侍女見習いに行くことにしたらしい。



魔法バカはともかく、ライラにはいくつかの縁談が釣書と共に届いている。

どうする?と尋ねると、


「やっと子守から解放されたのに、次は夫の()りとかゴメンです。しばらくは自分のやりたいことをします。」

と、家族一人一人にハグをして去っていった。



姉妹たちがみんないなくなり、しばらくは寂しいと感じるほど静かになった我が家だったけど、慎ましく穏やかに日々を過ごしていくうちにいつしかそれにも慣れていく。



そうして何年か経った頃、末妹から「結婚したい人がいる。」

と手紙が届いた。

相手は死の森で魔物を狩っている冒険者らしい。


冒険者かぁ……。見下すつもりはないけれど、荒くれ者が多いと聞く。大丈夫なのだろうか。

妹はしっかりしてるから変な男に引っかからないと思いたいが。

いや、思っているが。

うん、信じているとも。多分。きっと。

メイビー。


その男は妹を幸せに出来るはず。


………。


……………。



よし!


僕が見極めてやろうではないか!!


フンスっと鼻息も荒く、顔合わせをしたいから2人で帰っておいでと伝えると、1ヶ月後に恋人を連れて帰るとの返事が届いた。


……………マティアス・ルードという名の恋人を……。



妹の手紙を畑からの帰り道に受け取り、正面玄関の扉を開けながら開封した僕は、

「ホゲァ」

っと言う悲鳴と共に倒れたらしい。


慌てて駆け寄ったじいやは、そのまま動かない僕を見て、

「失礼いたします」

と手紙を拾うと簡単に目を通し、しばらく固まってから眉間をほぐしてもう一度読み返した。




「…………何がどうなれば、あのルード家のご子息様とご結婚ということになるのでしょう?しかもあれですよね?マティアス様といえばご嫡男様でいらっしゃいますよね?え?人違い?ワンチャン、別人だったりしますかね?」


じいや、気持ちはわかるが後ろの方の言葉がアウトだ。

そして顔色が真っ白だぞ。

僕もだが。はっはっは!



彼の頭の中は今、侯爵家からの客人を迎え入れる算段をどうつけるかでフル回転しているだろう。

……僕もだが。


なんだって侯爵家の人間がうちみたいな超絶零細貴族の家に来るんだ!


……僕が呼んだからだよ、ちきしょうめ!


じいやが、両親の元へ駆け出していった。

「領主ともあろうお方が廊下を走るなど!」

と僕を叱っていたのはつい5日前だったはずなんだがな。



「旦那様ーっ!大奥様がお倒れになりましたーっ!」


あーーーーっ!



そこからの1ヶ月の記憶はない。

多分、ソムネア家の全員に残ってない。



当日は、姉夫婦も魔法バカも含めてソムネア家一同が勢揃いで、本来なら家格が違いすぎて声もかけられないような雲上人を出迎える。


我が家のオンボロとは比べ物にならない立派で豪華な馬車が到着すると、体格の良い男前が完璧なエスコートでもって美しくなった末妹のライラと共に馬車から降りてきた。


領主として挨拶する。



「よ、ようこひょ」


噛んだ。


…聞こえたかな?

テイク2行けないかな?


ブフ

背後から吹き出す声。


誰だ、笑ったやつは。

後で殺す。


「ソムネア男爵、お初にお目にかかります、マティアス・ルードと申します。」


義弟の挨拶でその場のいたたまれない空気が流れる。

ホッとして中へと案内し応接室に腰を落ち着けた後は、本当にたくさんの話をした。

義弟はすごくいい人だった。

何よりライラがとても幸せそうだったんだ。

だから、


妹をお願いいたします。


と深く頭を下げた。


私の命に代えましても。


と義弟も頭を下げると、ライラが泣いてしまい2人で苦笑いしながら慰めた。


ルード家はレイフォード様という弟君に任せ、義弟は冒険者として生活しているのだとか。


彼自身が死の森で狩って手に入れた魔物の素材が土産としてお披露目されると、珍しいものも多くて父や義兄が子供のようにはしゃいでいた。


はい、僕もです、すみません。


義弟たちが滞在したのは数日だけだったけど、彼らがソムネアを立つ日、僕の子供たちが帰らないでとギャン泣きした。


「歓迎するからいつでも遊びにおいで」


という彼の言葉に甘えて、そのうちみんなでギルジェスに行こうと馬車が見えなくなるまで手を振りながら思う。


ライラ、愛しい僕の妹。どうか幸せにね。



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