マット目線 その4
すみませんすみません!
マット目線が終わりません!!
次の投稿で必ず!終わらせます。
いつも読んでくださっている皆様に感謝。
雷光は「限りなくAに近いCランクパーティ」と呼ばれている。
いまだCランクに留まっているのは、家族のために無理はしないと決めて外縁部に程近い辺りに狩場を移したからだ。
そしておそらくその判断が、今回オレたちの命を救った。
その日は森に入った時から空気がおかしかった。
魔物たちがソワソワと落ち着かない感じがしていたのだ。
そういう日はあまり長居しない方がいいと知っていたので、今日の稼ぎ分だけ狩りをしたら帰ることにする。
3匹目のアルミラージを倒した時、全員が咄嗟にその場から飛び退くと、一瞬前まで自分たちが立っていた場所に現れたのはオルトロスだった。
オルトロスは黒い双頭の犬で尾が蛇の魔物だ。
こんな森の浅い場所にいる魔物ではない。
そいつは、オレたちが倒したアルミラージを片方の頭に咥えると、もう片方で牙を剥き出して威嚇し、そのままこっちに突っこんできた。
「おいおい、獲物を横取りしておいてさらに攻撃までしてくるのかぁ?」
ガードナーが盾をオルトロスにぶつけながら獰猛に笑う。
「おいたをするワンコには伏せを教えてあげましょう」
フロスが氷魔法の詠唱を始めたのを横目にオレは尾の方へと回り込み蛇に斬りかかった。
………倒したオルトロスの素材を取る暇もなく次の魔物が姿を見せる。
アルミラージの血の匂いがこの近辺にいた魔物を引き寄せたのだ。いつもなら魔物が来るまでもう少し余裕があるはずだが仕方ない。
「早くここを離れないと次の魔物が来そうだ。一気に倒して離脱するぞ!」
声を張り上げると同時に目の前のコカトリスを切り捨て、フロスが火魔法でトドメを刺す。
「もったいなぁい!!」
と叫ぶメリンダを無視して全員で森の入り口に向かって走り出した。
数分もたたずにマジックエイプが現れる。いつもは探してもなかなか見つからないのにこんな日に限って……。
…いや、こんな日だからか?
こいつらも森の異変を感じているんだろうか?
マジックエイプは魔法には強いが物理攻撃に弱い。オレとメリンダで倒し、フロスが炭化させる。
素材になる部分を取っている時間はないし、放置すれば外縁部に魔物を呼ぶことになる。でなければ、この森の豊かな魔素が死体をアンデッドに変えてしまうだろう。骨まで焼き尽くすしかないのだ。
間をおかず、左手の方向からジャイアントキングベアが地響きを立てながらこっちに向かって来るのが見えた。
嘘だろ!?あんなのまで出るのかよ!
「ちくしょう!なんだってんだ!!どうなってやがる!!深部の魔物じゃねぇか!!あのスピードじゃ逃げられねぇぞ、戦うしかない!!」
ガードナーが絶叫しながら、盾を思いっきり地面に突き刺した。
「時間をなるべく稼いでください。今僕が使える最強の魔法をぶっ放します!!」
そこからは本当にギリギリだった。
ガードナーが肩を脱臼させながらもキングベアの勢いを殺し、メリンダが矢に魔法を付与させて目を射抜く。
怒りの咆哮を上げながら暴れるヤツの腕を目掛けて切りかかると、それを察したように手が引かれ、反対側の腕がオレを捕らえようと伸ばされる。
その腕をガードナーの盾がなぎ払う。
「避けてください!」
フロスの声が聞こえ、ガードナーと2人で庇い合うように横へ転がった。
直後、轟音と共にキングベアの上に炎を纏った大きな岩が落ち、オレたちの体が熱の風になぶられた。
倒れゆくジャイアントキングベアを最後まで見ずに目を逸らす。
この森で異常事態が起こっている。すぐに終息するものならいいが………
「素材。ジャイアントキングベアなのに……」
メリンダが張りのない声でため息と一緒に呟いてその場を後にするが彼女の気持ちは痛いほど良くわかる。
「ギルドに報告しねぇとな。森に異変が起きてる。」
「スタンピードの予兆?」
「いや、違うとは言い切れないけど、スタンピードにしては魔物の数が少ない。……もしかしたら、最深部の魔物が動いたのかも。」
「最深部の魔物?そいつがこっちに向かってるってこと?何のために?」
「わからんが、最深部の魔物がこっちへ来たんなら筋が通る。最深部の魔物から逃げた魔物たちが押し出されてるんだ。最深部から深部へ。深部から外縁部へ。」
「じゃあもしかしたら最深部の魔物が近くにいる可能性もあるのか?…ヤバくないか?」
「かなりやばいな。とにかく急ごう」
少し歩くスピードを上げて先を進む。
アオオーッ
という遠吠えが響きわたった。
コボルトの群れがオレたちを警戒しながら慎重に取り囲もうとしている。
マジかぁ…
離れ離れにならないよう気をつけていたのに、オレだけ仲間とはぐれてしまい、ほんのチラッとだけ死を覚悟した時、嬢ちゃんが現れた。
何でこんなとこに子供が、とか、このままじゃ巻き込んでしまうとかオレが守らなきゃってのが頭をよぎり。
剣を握りしめてコボルトの方に向き直ろうとした時、嬢ちゃんの放つ魔法が次々とコボルトを倒していった。
………マジか、嬢ちゃん。
そこから先はもう、仲間たちもオレも信じがたいことばかりで。
守ってやらなきゃって思ったんだ。
使う魔法はえげつないくせにどこか危なっかしいこの子を。
オレの命の恩人を。




