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マット目線 その3

いつも、いいね!をくださる皆様、ありがとうございます。

小説を書く励みになっております。

レイフォードに代わって出来る執務を手伝っていたオレは治癒師と薬師が到着したとの知らせを受けて、弟の部屋へ駆けつけた。

が、当然治療が終わるまで両親や末弟と共に外で待つ事になる。


祖母は、館に呼び寄せたライラと息子の相手をしてくれている。というより、ライラたちが祖母を慰めてくれているというべきか。


雷光からは「こちらの件が落ち着くまでは各々活動する事にしたから気にするな」との伝言を受け取った。本当は気になって仕方ないだろうに、彼らは館での仕事を辞めた身であるからと(わきま)えたのだろうなと思う。代わりにこの辺りではあまり手に入らない果物や滋養のある野菜が大量に館に届いた。



治癒師が「終わりました」と、終わったとは思えない暗い顔で出てきた時に覚悟をしたが部屋に入るとベッドの上ではレイフォードが目を覚ましてこちらを見ていた。


母が、レイフォードの名前を叫んで駆け寄っていく。

俺も弟も母に続くように駆け寄った。



「申し訳ございません。私どもの力が及ばずご子息様を治すことは叶いませんでした」


薬師が深く頭を下げると、父が静かに声を上げた。


「そなたらの尽力に感謝する。おかげで息子は命を取り留めることが出来た。」


バジリスクの毒はレイフォードの体をかなり蝕んでいたらしく、薬師と治癒師が総力を上げて治療にあたっても体内から毒を抜き、傷口が壊死しないようにするだけで精一杯だったのだ。


治癒とは治すもの。

一度完治してしまったらもう治癒術は使えない。

レイフォードの顔には額から鼻にかけて大きな火傷の跡が残ってしまった。



「父上。私を後継から外し、兄を次期領主に戻してください。」


レイフォードが父を見つめた。


「その話はまだすべきではない。今はただ、体を休めることに専念しなさい」


「父上。私はもう子を持てません。こんな顔の男に嫁ぎたがる女などいませんし、いたとするならその目的は、我が家の地位か財産か利権でしょう。そのような不和の元をルードに招き入れるつもりはありません。何より私は女性を愛せそうにない。結婚などしたくもないし一緒に暮らすのもおぞましい。」


母の顔が歪む。


「そんな!あなたの魅力は顔だけじゃないわ!それに気付く女性が現れるはずよ!その人となら寄り添いあえる!そんな寂しいこと言わないで!!」


レイフォードは何も言わずに笑んだ。

過去、寄ってきた女たちは弟の外見と付加価値だけを愛し、彼自身を理解しようとはしなかった。一方的な理想像の押し付け。

もう、うんざりだと彼の表情が物語る。



解毒はされたが、しばらくの間体内に留まっていた毒はレイフォードの体を弱らせた。毎日のように薬を飲み、週に一度治癒を受け、リハビリをしながら日常生活に戻り始めた頃。話し合いで、家督は三男のトライゼルが継ぐこととなった。


その結論に至るまで、それはもう()めに揉めた。

俺が冒険者になると言った時以上に家族中で揉めた。


特にトライゼルが。


取り成そうとしたら、

「最初に逃げたやつは黙っとけ!」

と言われた。

うん。兄ちゃん最初に逃げたわね。すまぬ。

でも、トライゼル。性格変わった?反抗期?




トライゼルが後継になるならレイフォードが補佐をすると言う話は父に却下された。レイフォードが政務に携わると俺の時のようにレイフォードを領主に、と持ち上げようとする輩がまた出るかもしれないから。

トライゼルには兄に頼らなくてもやっていけるよう次期侯爵として父がきっっちりと教え込むという。

トライゼルの顔が、助けを求めて引き()っていたけどごめんね、頑張れ。


レイフォードは新しい職業に冒険者を選んだ。

死の森で魔物を狩る事でギルジェスの経済を回し、かつスタンピードが起こらないようにするんだとか。

あとは、俺が楽しそうだからやってみたかったんだって。




…あれからまもなくして魔術師は処刑された。


伯爵は、娘がバジリスクの毒で侯爵夫人を害そうとし次期侯爵子息が死にかけたと聞いて、慌てて我が家に押しかけると、這いつくばって謝罪した。療養させるために妻の領地へ送ったはずがいつのまにか抜け出していたらしい。

え?妻の領地の使用人とか護衛って何やってるの?バカなの?

まぁ、こちらは許す気はさらさらないので容赦なく追い詰めて没落させたけど。そろそろ爵位返上するんじゃないかと噂に聞いている。……娘1人も(ぎょ)せないような無能が領主じゃ領民が可哀想だしいいんじゃないかな?


娘は罪人の(あか)しと呼ばれる紋様を入れられることになった。

この紋様は罪の重さによって入れられる形や場所が変わる。

軽い罪の場合は腕や足に1本線で。

再犯したものや中程度の罪のものは2本線。

殺人などの重い罪やタチの悪い犯罪。貴族相手のものは顔に3本線や罪名。

魔法で入れるので一生落ちないし、どういう仕組みか魔法が使えなくなる。


娘は額に3番線。かなり厳しい処罰だとは思う。相手は成人して間もない女性だ。

だが彼女の浅はかな行動で治癒術師が殺され平民の魔術師は処刑、弟は心身ともに消えない傷を持った。

許せないし許したくない。


紋様を入れられる直前まで嫌がって泣き喚き、暴れた娘はその後、自室に閉じこもったまま一切外には出なくなったと聞いた。



あれから7年が経ち。

顔に仮面をつけレイと名乗った弟は冒険者として活動し始めると、あっという間にランクを上げていき、今やSランクである。








すみません、マット目線が終わりませんでした。

あと1話、お付き合いください。


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