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天狼族 その2

読んでくださる皆様

いいねをくださる皆様に感謝。


ありがとうございます!

母に頭を踏みつけられている古龍は、(いにしえ)の龍族とはいえまだ若い。

先代ならば母とはかなりいい勝負になったはずで、こんな無様(ぶざま)(さら)さなかっただろうが、今代ではまだ格が違う。


「さて。聞かせてもらおう。

話によっては容赦(ようしゃ)はせぬがな。」


母の威圧(いあつ)がその場に満ちる。


「何を言っている?」


古龍が母を(にら)みあげた。

体から出ている煙と動けぬ体。

すでに勝敗が決していることがわかる。


が、どうやら本当になぜ母がここにいるのか分かってないようだ。

眷族(けんぞく)(ぎょ)しきれてないのか。

迷惑な。



母にもそれがわかったらしい。

ため息を吐きながら頭から足を下ろしたが、更に威圧(いあつ)が増した。


眷族(けんぞく)が何をしているのか把握(はあく)も出来ないような無能が当代を名乗るな。(おろ)か者が!」


魔力を乗せた言葉にビリビリと空気が震える。

一族の上に立つ者が「知らなかった」では済まされないのだ。


「お待ちを!違うのです!!」


小さなドラゴニュートの娘が駆け寄る。

ドラゴニュートは龍人だ。魔力が豊富で肉体強化が得意な一族である。

体に(うろこ)、頭に角、目は金色で尾が生えている。


だが、それ以外は人族と変わらない外見をしており、数は少ないが人族の世界で生活している変わり者もいる。


「よせ!タキ!!」


古龍が止めるのも聞かずにタキと呼ばれた娘が古龍と母の間に立つ。


「古龍様は悪くないのです!……地龍たちが何をしているのか、天狼様の領域での報告はこちらにも入ってきておりました。ですが私が古龍様の耳に入らないように情報を止めていたのです。」


と、タキが地に()いつくばって頭を下げた。


「…どう言うことだ、タキ!……地龍が何をしていると言うのだ!!」


「……申し訳ございません!古龍様!」


古龍が母を見た。


「何があった?」


母がチッと舌打ちをする。

器用だな、母よ。そして行儀が悪いぞ。


「二足歩行のトカゲどもが我が領域に踏み込んでは好き勝手暴れておるのだよ。」


その言葉に、それまで後ろの方で母に倒されて(うめ)いていた龍たちが声を上げた。


「トカゲとはなんという言い草か!我らは誇り高き龍族!

天狼様とはいえ侮辱(ぶじょく)が過ぎる!」


「ほう。貴様の言う誇り高き龍というのは、他種の領域にて魔物を甚振(いたぶ)り、殺し、食べるでもなく放置する者どものことか?

木々を傷つけ倒し、火を吹き、森を焼く行為を恥とも思わない低脳をそう呼ぶのか?」



母の声が低くなる。


声を上げた龍も古龍もまさかそのような行為がなされていたとは思ってもみなかったのだろう。


たかが魔物だ。

殺したところでしれている。だが食べるためではなく甚振(いたぶ)るため?

遊びで火を吹き、木を燃やした?

天狼の森で?



その場が沈黙する。



「………………タキ。天狼の言葉は誠か?」



問われたタキは頭を地にこすりつけたまま動かない。

それが全てを語っていた。



「そうか……天狼。心から謝罪する。

ウチのものが迷惑をかけたようだ。」


古龍が頭を下げると

タキが(はじ)かれたように古龍の足に(すが)りついた。


「おやめください!古龍様!

全て私が悪いのです。どうか!

罰も謝罪も私が!」


必死に叫ぶタキに母の声が重なる。


「出しゃばるな、小娘!これは長と長の問題だ。

この若造は貴様も眷族(けんぞく)(ぎょ)しきれなかった。貴様はすべき報告を己の一存でせず。眷族(けんぞく)は我らが領域に踏み入り暴れた。それが全てだ。上に立つものとして、下のものがしでかした失態を謝罪するのは当然のこと。

貴様がやっていることは古龍の面子(めんつ)をつぶし古龍の誇りを傷つける行為だと心せよ!


…次に我が領域で龍族を見かけたら有無を言わさず攻撃する。」


「……そちらに用がある時は?」


「猩々(しょうじょう)に伝言を。」


「猩々(しょうじょう)。森の知恵者。天狼の眷族(けんぞく)か。承知した。」


それ以上は言葉を発することなく母は(きびす)を返した。

我もまた母に着いてその場を後にする。



古龍の住処を出るまで着いてきた龍族が、聞いてもいないことを話す。



2月ほど前にドラゴニュートの長が人族によって瀕死(ひんし)のケガを負わされた。

その時に幾人かのドラゴニュートの子供が人族によって(さら)われているのだと。


ドラゴニュートの里は隠されてはいるものの、

人族がたどり着けぬほど深部ではない。

というのも、ドラゴニュートと人族との間で物々交換がなされていたからだ。

今回の件では、信頼して里に呼んだ人間の商人から情報が()れたらしい。

商人の娘と孫を人質に取られ、(おど)されたので仕方なかったと泣いて謝ってきたらしいが、その商人との信頼関係は失われた。取引停止となり里への出入りも禁止となった。


そして古龍はつい先日までドラゴニュートの里を襲った人族をあぶり出し、(さら)われた子供を見つけるための指揮をとっていたのだそうだ。

ドラゴニュートの里は1つだけではなく、一枚岩でもないので通常互いに何かあっても協力体制は取らない。

人里で暮らすドラゴニュートも含め、全員に協力させるには古龍からの指令という形が必要なのだ。



あまり知られてはいないが、ドラゴニュートの魔力は特殊だ。純粋な龍ではなく人でもない彼らは我ら天狼や古龍のような濃い魔力の層は持たず、人族のように適性ある魔法に応じた色を持っているわけでもない。うっすらと銀色に輝く魔力を体の表面に皮膚のように(まと)っている。

魔力探索をすれば、人族の中でその魔力はよく目立つ。

ドラゴニュートの魔力さえわかっていれば追えるのだ。

今回の件に関わった人族への報復はすでに終わっている。だが、(さら)われた子供の行方がまだ(つか)めず、例のドラゴニュートの娘は地龍の報告をすることで子供たちが後回しになること()けたのだろう。


ということらしい。


その(すき)に古龍の目を盗んでやりたい放題とは本当にいい度胸だな。

だがこれからは容赦(ようしゃ)しない。

トカゲらしく地を()わせてくれるわ。








あれ?天狼目線が終わらない…

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