聖女の妹
しばらくは胸くそが続きます。
親からのネグレクト等、無理な方はブラウザバックお願いします。
私の姉は聖女だった。
聖女といっても本当に不思議な力があったのではない。
聖女のように純粋で慈悲深い人だったのだ。
頭が良く県内でも有数の難関大学に合格した時は入学式で新入生代表を務めた。
誰にでも親切で、困っている人を見れば必ず手を差し伸べた。
いつもニコニコ微笑んでいて、姉が怒るところを私も姉の友人も他の誰も見たことがない。
そんな姉は両親の自慢だった。
母とソリが合わない叔母は
トンビが鷹を産んだとか、どこかで拾ってきた子だ。母なんかの娘がこんなに出来が良いわけがないとか陰口を言っていたけど、姉は父譲りの柔らかな目元と母そっくりの少し色の抜けたふわふわの髪の毛をしていて、3人が並んで立っていると1枚の絵画のように美しかった。
私はその3人を少し離れたところからよく見ていた。その輪に入る気はなかった。
そこに私という異物が入ることで完成されたものが壊れてしまうようで。
両親の愛情が姉だけに向いていると理解できてしまった時は、辛くて苦しかったけど、やっぱりねと納得する気持ちの方が大きかったし、両親の分まで姉が私を愛してくれたから乗り越えられた。
私の親友のリオちゃんは、
お姉ちゃんのせいなのに腹が立たないの?
って聞いてきたけど、両親が私のことを忘れるたびに姉が嗜めてくれていることも知ってたし、可愛い、大好きを私に惜しむことなく伝えてくれていたから、姉が大好きだと笑いながら言うことができた。
そんな姉だから神様に愛されてしまったのかもしれない。
ある日、姉はこの世界から消えてしまった。
誰にも優しかった姉は、優しくされた男がストーカーになることも、思い詰めて無理心中をはかることも思いもよらなかったはずだ。
その場にいた姉の友人は
男がいきなり刃物で姉を刺し、この世では結ばれないから来世で会おうと叫んだと泣きながら話した。
愛してると言いながら何度も何度も刃物を突き立てられた姉は、救急車と警察が現場に到着した時には事切れていたのだそうだ。
私がそれを聞かされたのは、急いで家に駆けつけた伯父夫婦の口からだった。
部屋で勉強していた私は携帯にかかってきた電話を受けた母がひどく取り乱して慌てて家を出るのを窓から見ていた。
何かあったのだとはわかったが、母が私に声をかけなかったので仕事のトラブルだと思っていた。
伯父夫婦は私が何も知らされてないことや姉が運ばれた病院に呼ばれてすらないことに驚き、小さな声で父に文句を言っていた。
斎場で棺に横たわる姉はもう微笑んではいなかった。
父も母も呆然としたまま、参列者に頭を下げ続けた。
最後に花を姉の棺に入れる時、母は獣のようなうめき声を出して姉の名前を呼び続け、父や伯父夫婦の手で引き剥がされるように別室へと連れ出されていった。
私はそっと姉の髪を撫で、その頬に手を添えた。
「お姉ちゃん」
「なぁに?」
答える声はない。
小説難しい。




