五人全員が難題をクリアしてしまったかぐや姫
今は昔、竹取の翁がなんとやら。
「赤ちゃん拾った……」
老夫婦は子どもに恵まれず、これも神様の思し召しであろうと、二人で大事に育てることに致しました。
赤子は【かぐや】と命名され、それはそれはすくすくと育ちました。
かぐやは何故か成長するのが早く、数年と経たないうちに大人の体になり、類い希なる美貌を持ち合わせ、その評判は都まで轟きました。
「かぐやが!」
「美人で!」
「嫁に欲しい!」
「都から来ました!」
「結婚して下さい!」
五人の金持ち野郎共が挙ってかぐやの家を訪れ、婚約を申し出ました。
五人とも見てくれも然る事ながら、性格も悪そうに見えたので、かぐやは無理難題を申し付けて体良く断ることに致しました。
「【龍の首の珠】【燕の子安貝】【火鼠の裘】【蓬莱の珠の枝】【仏の御石の鉢】のどれか一つでも持参した者と婚約致します」
頭に『?』マークがびっしりと浮かんだ五人は、とりあえず探しに出掛けました。
「ありました!」
「見付けました!」
「発見致しました!」
「これですね!」
「持ってきました!」
しばらくして、五人全員とも無理難題を攻略してしまいました。
かぐやはとても困りました。
「しばしお待ちを……」
かぐやは屋敷の奥へと引っ込むと、しばらくして八人のかぐやが野郎共の目の前に姿を見せました。
八人のかぐやは胸に①~⑧まで札を付けており、本物は一人だけと言うのです。
「本物の私を見付けた方のみと結婚致します」
五番のかぐやがそう言うと、野郎共は揃って八番のかぐやを指差しました。
「かぐ八だから」
かぐやは酷く困り果て、ついに観念して汚い逆ハーレムに飛び込むべきかと諦めかけました。
「今しばらくお待ちを……」
かぐやは再び屋敷の奥へと戻り、今度は斧や槍、剣や弓矢を野郎共の目の前に差し出しました。
「えーっ、君達はこれから殺し合いをしてもらいます」
ちょっと声色を変えながら、かぐやはハッキリと笑顔でそう言いました。
野郎共はすぐに思い思いの武器を取り、殺し合いを始めました。
かぐやはそっと屋敷の奥へと戻り、菓子を食べながら録画していた昼ドラを観て、辺りが静かになった頃外へ出ると、野郎共は共倒れで皆、くたばっておりました。
かぐやは何も見なかった事にし、昼ドラの続きを楽しみました。