8月3日 調子(淮南高校戦)
侑大は俺の質問に頷いた。勉強会の部屋は学校とは違いどこか落ち着かない居心地だったがそれなりに過ごしていた。
侑大「4組のメンバーは来てるのか?」
俺 「そうだな。結構いるな」
侑大「サッカー部は?」
俺 「サッカー部は、いない」
アイツらは、まだ大会途中だろうな。
侑大「健太郎は、第一志望決めたのか?」
俺 「全然決めてないな。行くとこねぇな」
侑大「ハハハハハ」
俺は、侑大と違っていける高校がなかった。
俺 「侑大は、決めたのか?」
侑大「とりあえず、国立のいくつかは受けるよ」
俺 「さすがだな」
侑大「受けるだけはな」
俺は、ずっと行きたかった旅行の提案をし始めた。旅行は、"チーム健太郎"で行くことを予定していたのだ。
ー7月29日ー
ツーアウト満塁で打席には、橋本が入る。もし、ここで点が入らなければ次の回に確実にやられる。俺は、そんなことを考えてしまう。打席に入った橋本は、ノーストライクツーボールと湯浅に対しても負けていなかった。金属音とともに、走り出したかが打球は、レフト方向にキレていく。一度ファールになるとベースに戻らないといけないというルールに従い、セカンドベースへ戻る。"今日、調子いいですね"。俺は、背後からの声に振り返った。声をかけてきたのは、淮南高校のセカンド新内だった。
俺 「どうも」
新内「しびれますね、この展開」
俺 「いや、ホントにそうですよ」
新内「打つと思います?」
俺 「まぁ、そう願ってるんですけどね」
再び、湯浅はセットポジションに入り、俺はリードを取り始めた。久しぶりだな、相手選手と話したのは。セカンドの新内と話をしたのは初めてだったが、"聖淮戦"もあったし、話してもおかしくはないだろうな。ボール!!湯浅の第5球目は、ストライクゾーンから外れ、ワンストライクスリーボールとなった。よし、いけるぞ、橋本。セットポジションに入った湯浅は、まだ1ミリたりとも下を向いていない。こんな表情されると逆にこっちが困るな。第6球目を投げ込んだ。バッターの橋本は手を出さない。ボールか?ボールであってくれ。もし、ファーボールなら待望の先制点となるのだ。そんな淡い期待とは裏腹に、審判は大きく手を上げストライクのコールをしたのだった。




