7月30日 必死(淮南高校戦)
昨日の熱戦から、一夜明けた俺は意外とアッサリしていた。もっといろいろ考えるのかなとか思ったけど、そうではなかった。まぁ、いろいろ考えない方が自分にとってはいいし楽に違いない。みんなは、どうしているのだろうか?
ー7月29日ー
先ほどのチャンスの流れが変わったことがわからなかったような田中のピッチングだった。俺は、先ほどの回をふりかえりながら、ピッチャーの湯浅の方を見つめていた。ここまでの湯浅のピッチングを見ていると、思ったよりストレートが多いイメージだった。やはり、ストレートに狙いを定めるべきだろうか?それとも、カーブの変化球に絞るか。うーん。セットポジションに入った湯浅を見ていると、どちらも投げてくる可能性は考えられるな。だったら、球種ではなく高低で絞ることに決めた。そしたら、どちらにしろ低めをはってそれを打ち上げようと考えた。
3回表の開始が合図される。セットポジションに入った湯浅の初球は、カーブだった。ボールの軌道からやはり低めだ。これなら、すくいあげることは可能だ。ボールを網で掴むようにスイングしたのだった。打球は、見事にレフトとセンターの間を抜けていく。その瞬間、ベンチやスタンドから大きな声が聞こえてく る。俺は、バットを投げ捨て必死に走っていた。ファーストベースを回ったが、まだレフトとセンターはボールに追いついていない。これだったら、、、、、。俺はセカンドベース手前あたりで、三塁のランナーコーチの方を見つめた。三塁ランナーコーチの田畑は、腕をグルグル回している。やっぱりかぁ。俺の想像は、正しかった。
俺は、二塁ベースを周り、三塁ベースへと向かう。両ベンチから大きな声が聞こえるが、今誰がボールを持っているかわからない。ただ、ひたすらセーフになることを願って走る。ランナーコーチの田畑が両腕を上下に振り下ろす。これは、"滑れ"の合図だ。足からではなく、頭からの方が盛り上がる。それが俺の判断だった。三塁にヘッドスライディングをしたが、ボールは帰ってこない。審判は、両腕を横に広げる。三塁ベース上には大きな砂ぼこりができていた。聖徳高校のベンチからは大きな声が聞こえてくる。これで、ノーアウトランナー三塁。俺たちにとっては、絶好のチャンスだ。打席には、田中が入る。ここできっちり先制点がとれば、流れは完全にウチにくる。俺は、そう思いながら監督のサインを見つめていた。




