7月21日 健太郎vs侑大
ようやくこの時が来た。硬球の鈍い音が、グラウンドに響き渡っていた。俺は、ちょうどバッティングゲージの真ん中に立っていた。両サイドには、バッティングマシーン。その横の両サイドは、1年が投げていた。そして、バッターボックスには、侑大が。ようやく、この日がきた。俺は、バッティングボールが山積みになったカゴから綺麗そうなボールを探す。
遠くの打席に立つ侑大に視線を送った。「いくぞ、侑大!!」。今、侑大は、どんな気持ちなのだろうか?俺はワクワクが止まらない。俺が声を出した後、スピーカーからミュージックが流れてくる。いよいよ、始まる。バッティングマシーンは、1ゲージ大体3球と決まっていた。そのため、ボールゾーンにそれたら練習にならない。だから、ストライクゾーンで勝負しないと。俺は腕をゆっくりあげ、グローブの位置を上げる。そして、思い切っり腕を振り下ろした。俺の初球は、スライダーだ。侑大は、鋭い眼光で俺の投げたボールを見つめていた。きたボールに合わせてバットを握りしめる。 燃えるような闘志と、 わずかな緊張が入り混ざる。バットから遠ざかっていくようにボールは曲がっていく。そして、ボールはネットへと吸い込まれたのだった。
「しゃあー!!」。俺は、大きな声をはりあげ、空振りをした侑大の方を見つめる。侑大も、悔しそうにしながら笑顔を見せていた。すると、俺の後ろにいたマシンの起動音と共に、 弾丸のようなストレートが飛んでいく。橋本は、見事にレフトへと打ち返す。さすがだな。俺は、2球目のボールをとり、再び侑大の方を見つめる。今度は、フォークか?いやもう1球スライダーか?再び腕を上げ投球フォームに入る。グローブを上げ第二球目を投げ込んだのだった。俺が変化球を投げることを理解していたかのようにタイミングを合わせにきていた。豪快なスイングに大きな金属音が鳴り響いた。しかし、ボールはバッティングゲージの中。あと、少しタイミングがズレていたら、打球はレフト頭上へと飛んでいただろうな。危ねぇな。
次が最後。再びカコからボールを取り出す。最初から最後は何を投げるか決めていた。おそらく、侑大もわかっていたはず。侑大が一番嫌いなコースであるアウトコースに投げると決めていた。モーションに入った俺は、ネットのストライクゾーンぎりぎりを狙う。侑大は、俺が投げたストレートのタイミングにきっちりあわせてくる。しかし、ボールの方がわずか早くネットの中に入っていく。侑大は、 ほんの少しのタイミングがズレたみたいだった。バットはボールの下をくぐり抜け悔しげに侑大の声が、聞こえてきた。最後の対決を制した俺は、 小さく拳を突き出した。




