7月18日 想像
俺は、キャッチボールをしながら考えていた。もし、初戦の取手高校の試合に負けたら、どうしようか?その瞬間から、野球とはお別れになる。小学生からずっと野球を続けたから、野球をしていない自分がなかなか想像できない。侑大からのボールは、俺の胸元へとやってくる。コイツとキャッチボールをするのも、そう長くはないのかぁ。そう考えると、今をもっと集中しないといけないんじゃないかと思えた。
侑大「健太郎!!」
俺 「どうした?」
侑大「もう少し下がってくれよ」
俺 「オッケー」
俺は、後ろへゆっくりと下がっていく。
俺 「今、勉強はどうだ?」
侑大「悪くないと思うぜ」
俺 「さすがだな」
侑大「健太郎も頑張ってるんだろ?」
侑大のボールは、徐々に強くなっていた。今日から、俺たちは再び練習が再開した。初戦の取手高校戦が25日にあるから、残り6日。もう、自分たちがやれることも限られていた。あとは、当日に向けてどれだけ調整できるか。それにかかっていた。
俺 「今日の練習メニューは、バッティングか?」
侑大「なんか、両方するらしいぞ」
俺 「そうなの?」
あまり時間はないが、両方するというのは大会前ならではだな。去年も、この時期はバッティングとノックを一緒にすることが多かった気がするな。先輩たちに気持ちよくバッティングしてもらうために必死に投げてたな。でも、先輩に投げるから緊張してなかなかストライク入らなかったな。そんな俺が唯一楽しみだったのは、橋本たちに投げること。先輩たちの代から、ベンチ入りしていた橋本や佐伯は俺たちを常にリードしてくれる存在だった。
侑大「お前、今日投げろよ?」
俺 「今日?ムリだよ」
侑大「俺たちの対決も、少ないんだかさ」
俺 「じゃあ、明日投げるよ」
侑大「明日?」
侑大は、聞き返した。
俺 「ああ。ダメか?」
侑大「明日は、雨らしいぞ?」
俺 「そうなの?」
侑大「うん。だから、グラウンド使えるかが微妙だろ」
明日、雨が降るというのは想定外だったな。でも、侑大の言う通りに初戦負けた時、絶対に後悔すると思う。だったら投げた方がいいよな。
俺 「じゃあ、明後日に投げれるように準備しとくわ」
侑大「よっしゃ!!」
俺たちのキャッチボールが終わろうとした時、八幡たちがこっちに向かっているのがわかった。




