5月6日 病院
GW8日目は、電車の中から外を眺めていた。昨日、練習から帰ってきた後に、瀬戸から連絡が入っていた。連絡の内容は、5月7日であれば病院に来ていいというものだった。今日は、午後から遊びの約束が入っていたが、午前中は空いていたので、瀬戸に午前中に行くと返事したのは昨日のことだった。
瀬戸の病院は、佐田駅から約30分ほど離れたところにある。私は、朝9時に家を出て、電車に乗った。瀬戸になんて声をかければいいか、迷いながら電車に揺られていた。瀬戸の心境は、誰にもわからない。ましてや、友だちの田中さんや高田さんまでも来るのを拒んだのだから。
病院の最寄りの駅である清水駅に着いた。清水駅から病院までは、徒歩5分と近かった。駅を出ると、スマホのマップ機能を使って、瀬戸がいる谷町病院を目指した。スマホのマップ通り進んでいくと、5分もかからずに到着がすることができた。
瀬戸の病室は、5階の502号室だった。病院に入ると、エレベーターで5階に上がった。エレベーターが開くと、すぐに右手に、瀬戸の病室があった。病室に入ると、すぐに瀬戸とわかるような明るい笑顔で迎えてくれた。
瀬戸「ひさしぶり」
私 「体調どう?」
瀬戸「ぼちぼちかな」
私 「そっか」
瀬戸「優衣とか真波に会った?」
私 「会ったよ。めちゃくちゃ、悲しんでたよ。俺だけ行くのめっちゃ嫌やったもん」
瀬戸「いやいや、私のところに来れるなんて、特別やで。喜びなさい」
私 「喜べるか。田中さんに、瀬戸がどんな状況か、ちゃんと見てくるように言われたもん」
瀬戸「じゃあ、謝っといて」
私 「自分で連絡してや」
瀬戸「えー。優衣に怒られるのいややん」
私 「俺も嫌やわ」
瀬戸「それも、そうよね」
私 「これ、田中さんから」
瀬戸「えっー。ありがとう」
私 「うん」
瀬戸「健太郎って、今優衣と同じクラスなの?」
私 「違うよ。優衣は、私立志望のクラスやったかな」
瀬戸「優衣、私立いくんや」
私 「あんま、俺も知らへんねやけど」
瀬戸「健太郎のクラスに下田って人いる?」
急に話題が変わった。瀬戸は、私の服装を見ながらつぶやいた。
私 「いるよ」
瀬戸「どんな人?」
私 「なんで?」
瀬戸「お母さんが知り合いでどんな人か聞いてきたから」
私 「うーん。背が小さくて、可愛らしい人かな」
瀬戸「他ないん?」
私 「他?性格は、天然な感じかな。でもみんなとよく話してるイメージはあるかな」
瀬戸「そうなんや。健は、話したことないん?」
私 「あるよ、同じクラスやし。席近くなった時、話してたよ。でも、字が汚いかな」
瀬戸「健太郎、字めっちゃ見るもんな」
私 「思ったんやから、しょうがない。これお見舞いにって、お母さんが」
カバンの中に入れていた、フルーツセットが入った箱を瀬戸に渡した。瀬戸は、嬉しそうな顔をして受け取った。
瀬戸「ありがとう。お母さん元気してる?」
私 「うん。お姉ちゃんでていったし、ちょっとは楽になったんちゃう」
瀬戸「風乃さん?」
私 「いや、彩夏音の方」
瀬戸「そっか。彩夏音さんも、いなくなったんやね」
私 「俺もその方がいいけどね」
瀬戸「家ひろくなるもんね。」
私 「そうそう」
瀬戸とは、小学校からお互いのことを知っているので、俺の姉である風乃や彩夏音のことも知っていた。




