表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常で世界を変える(定本編)  作者: mei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/82

6月21日 落球

 侑大は、なんだか思い出に浸っているように感じた。横でグローブに何度もボールを入れるが、なかなか気にしていないみたいだった。


 侑大「あの時のエラー、覚えてるか?」

 俺 「ああ。あのやらかしてしまったやつだろ?」


 すぐにわかった。これが、俺たちのコンビネーションだ。


 侑大「そうそう。あれが、時々、蘇ってくるんだよなぁ」

 俺 「んー、わかるな」

 侑大「だよな」


 俺たちが話していたのは、ずいぶん昔のことだった。


 俺 「たしか、小学校の県大会だよな」

 侑大「うん。ツーアウトランナー三塁かな」

 俺 「あのフライだよな?」

 侑大「そうなんだよなー」


 あのフライ。俺たちにとっては、ネタの一個だった。


 俺 「あれって、同点じゃなかったっけ?」

 侑大「同点だったよ」

 俺 「あそこで、お前が取ってれば延長戦?」


 小学生で、サヨナラ負けはあまり経験しない貴重な機会だった。


 侑大「俺は、取ったと思ったんだけどな」

 俺 「なんで、落としたの?」

 侑大「たぶん、グローブの使い方をミスったと思うんだよね」


 俺もあの時、侑大の方に向かっていただけに、落とした時には、なんとも言えない気持ちだった。


 俺 「あの後、周りから言われたよな」

 侑大「今でも、イジられるしな」

 俺 「でも、いい経験だったんじゃないの?」

 侑大「今となればな」


 侑大にとっては、"今となれば"という言葉はそのものだったと思う。


 俺 「当時は、落ち込んだのか?」

 侑大「当たり前だろ、サヨナラ負けだからな」

 俺 「あれ、サヨナラかぁ」

 侑大「うん、良い思い出だよ」


 顔と話した内容が噛み合っていないように感じた。


 俺 「あの時と比べたらな」

 侑大「俺たちは、だいぶ成長してるよ」

 俺 「そうだな。俺は、130も出るし」


 俺たち恒例のノリだった。


 侑大「スピードだけはヤバいな」

 俺 「スピードだけじゃねぇよ」


 すぐさまツッコミを入れる。


 侑大「そうか?」

 俺 「そうだよ」

 侑大「俺のバッティングの方が成長してるよ」


 侑大のバッティングは成長していない様に感じる。昔からよく打っていたし。


 俺 「まぁ、それもそうだな」

 侑大「だろ?」

 

 俺たち二人がこうして話せるのも後少しなんだと思うと寂しさも感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ