6月18日 背番号発表
監督は、紺色のブレザーを身にまとい、陽の光を浴びていた。厳しい表情を浮かべながら、話していた。その目には、意気込みと情熱、淮南高校には負けないという強い意思表示が満ち溢れているように感じた。監督の周りを俺たち、選手が円陣のように囲う。俺たち選手は、息を飲みながら、監督の話に耳を傾ける。俺たちは、春の大会で負けてから、ずっと"聖淮戦"にかけてきた。
監督は、手に持つボールを動かしながら、明日の作戦を話してくる。どうやら、淮南高校の先発投手予想の湯浅と佐藤についての対策みたいだ。どちらが来ても、多くの球数を投げさせたい様子だった。話に飽きた橘や橋本は、おそらく話を聞いてないに違いない。それでも、俺たち選手は、目を輝かせ、熱い視線を監督に送った。監督は気迫に満ちた声で話を続けた。
監督「この試合で、俺たちが負けることはない。一緒に戦い、一緒に勝つんだ。苦しいことや辛い時は、お互いで助けあい、アグレッシブに戦っていこう」
監督の指示はまだまだ続く。
監督「ただし、個々でも勝ちたいという思いを強く持ってほしい。それは、スタメンでもベンチでもベンチ外でも同じだ。自らが置かれた場所でベストパフォーマンスを発揮できるよう頑張ろう」
選手たちは勢いよく頷いた。それぞれが心に秘めた情熱を再確認した。俺たちは、チームとしても個々の存在としても、最高のパフォーマンスを求める準備をしていた。監督の指示はこれで終わりではなかった。
監督「最後に、気持ちの切り替えが大事だ。プレッシャーを感じることもあるだろうが、それを力に変えてやっていこう」
選手たちからは、大きな返事が聞こえてきた。いよいよ"聖淮戦を"のベンチメンバー20人が発表されようとしていた。俺の中では、背番号「4」は手中に収めていたが、実際どうなるかはわからない。春の大会では、試合すら出れずに悔しい思いをしていただけに、今回は必ずという思いが強かった。
監督「みんな、明日の試合で勝って、聖徳高校が有利となるようにしていこう」
監督の声は、闘志に満ちたものだった。選手たちはその声に力強く応えた。「はい!」。俺は、少し遅れて返事をした。俺たちの声は一つになり、フィールドの響きはいっそう大きくなった。
監督「じゃあ、明日の試合の背番号を渡していくぞ」
一瞬、緊張感がはしった。




