5月2日 引っ越し
GW4日目。俺は、朝から昨日の試合のことを思い出していた。
ー5月1日ー
スタメンから外れた俺は、同じく遠山と、ホームランテラスで素振りをすることになった。
遠山「足、どう?」
俺 「うーん、よくないかな」
遠山は、近づきながら、話していた。
遠山「でも、この時期の怪我は厳しいな。病院でなんて言われたん?」
俺 「湿布貼って様子みるって言われてる」
遠山「そっか」
遠山は、バットを片手で持っていた。
俺 「最近、やまはスタメン外れること増えてない?」
遠山「増えてるな、嫌われてるんかな」
俺 「結構打ってたのにな笑」
遠山は、春までは、よく試合に出ていたが、最近スタメンで試合に出ていたないのが不思議だった。
遠山「ホンマな。健って大学どこ考えてる?」
俺 「急に話変わるやん。今は、国公立の大学考えてる。国立行きたいけど、今年は受からんと思う。やまは?」
遠山「東京かな」
俺 「東京の大学受けるん。偏差値高いけど、いけるん?」
東京かぁ。関東の大学を目指すなんて意外だった。
遠山「まぁね」
俺 「大学か。そろそろ真剣に考えんとな。最近、全然いいことないから、そんな余裕なかったわ」
遠山「そんないいことないん?」
遠山は、不思議そうに俺を見ていた。
俺 「逆にいいことある?」
遠山「いいことは、ないよな。野球しかしてないし。」
俺 「おもろいことは?」
遠山「おもろいことか。あるは、あるかな」
遠山の発言に驚いた。
俺 「教えてや」
遠山「実は、明後日から東京いくねん」
俺 「めっちゃいいやん、何泊?」
遠山「長いかな」
俺 「めっちゃいいやん。誰と行くん?」
遠山「家族」
家族?疑問に思った。
俺 「家族と行くんや。友だちかと思ったわ」
遠山「東京と長野ってどっちがいいんやろな?」
俺 「東京は、人多いからな。やっぱり長野がいいんちゃう」
遠山「そうやんな」
俺 「お土産よろしく」
遠山「それは、無理やわ」
この後、まさかあんなことを聞くとは、、、、。
俺 「なんでやねん」
話をしてると、江陵の選手のファールボールが飛んできた。ボールを取って、ボールボーイに投げ返してあげた。
遠山「早く、足なおせよ」
俺 「うん。夏大までもう少しやし、頑張らないとな」
遠山「最後、見にいけたら行くわ」
俺 「は、どういう意味?」
遠山「俺、明後日から東京に引っ越すねん」
遠山の発言に驚いて、真顔になってしまった。
俺 「えっ、まじ?」
遠山「うん、明日が最後」
俺 「みんな知ってるん?」
遠山「知らんよ。だから、健太郎も言わんといてな」
俺 「最後がそんなんでいいの?」
遠山「最後ちゃうよ。生きてればいつでも会えるっしょ」
遠山は、自信に満ちた顔で私にそう言った。俺は、遠山が引っ越すということをよくわからず試合を見ていた。遠山とは、小・中と別の学校だったため、高校生になるまで知らなかった。遠山とは、高校一年生の時に同じクラスになり、初めて話した。当時、野球部に入るか迷っていた俺に、野球部に入ろうと声をかけてくれた。そんなことを考えていると一試合目が1対10でゲームが終了した。




