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5月30日 橋本涼太

 昨日言っていたように、結局、練習に橋本は顔を見せなかった。同じクラスの飯田に聞いたら、学校すら来てないと言っていた。さすが、橋本だった。有言実行。俺は、アイツのスゴさに、ただただ驚くばかりだった。

 橋本涼太。彼に初めて、出会ったのは高校1年生になった時だ。電車通勤で、聖徳高校まで来るのはとても遠い。なんで、聖徳高校を選んだのかと聞くと、ここら辺では1番強いからだと答えていた。だったら、練習くらい来いよな。あの日の橋本にツッコミたくなっていた。

 橋本は、中学校時代、道和高校からスカウトが来るくらい、野球が上手かった。橋本がいた中学校は、県内でも有名何中学校で、中学校2年の時は、全国大会にも出場したほどだっらしい。彼の野球の上手さは、中学校からボーイズリーグに入っていた佐伯や飯田にも伝わるほど。

 ただ、彼が本気で野球をしている瞬間は、見たことがない。アイツにとったら、単なる遊びに過ぎないのかもしれないな。俺は、キャッチボールをしながら考えていた。橋本は、勉強は、全くしなかった。ただ、頭が悪いわけではない。やらないのだった。

 橋本とは仲がいいから、よく話す。しかし、アイツは、常に8割ほどの力でしか動かない。それは、野球も同じだった。1年前の俺たちが2年の時から試合に出るチャンスはあったのに、本気で野球に取り組まない。俺たちと一緒に話している方が楽しいらしい。でも、それはそれでいい。アイツがそれを選んだのなら。

 俺たち聖徳高校で野球が上手いのは橋本くらいだった。あとは、上手いといってもたかが、知れている。エースの橘も侑大も。それも一つの生き方と思えば、仕方ないとは思える。ただ、橋本だからこそというのは俺たちの中でもあった。彼を本気にさせてあげる必要がある。でも、それは誰なのかわからない。

 仲がいい橘や佐伯や八幡なのか?それとも俺や侑大なのか?俺たちは、お互い厳しいことも言えない集団になっていたのかもしれない。この前の侑大や永谷の問題が起きて、そう思った。別にアイツらがトランプをしていたことや監督が怒ったことが問題ではない。それよりも、俺たちが練習できないことが問題なのだ。

 しかし、そこに対して誰も何も言わない。俺自身もこれでいいのかと考える日々だった。毎日楽しくやれたらそれでいいと思っていた。でも、最近は、本当にこれでいいのか?と悩んでいた。もっと本気でやらなくていいのだろうか?ボールを握りながら考えこんでいた。

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