5月29日 ニクドナルド
俺たちは、練習終わりに、いつものようにニクドナルドで戯れていた。今日は、山里、橋本、八幡、安田、向井たちが来ていた。ハンバーグを食べ、トランプで遊び俺たちは、そろそろ帰る頃だった。
俺 「侑大、この後、どうする?」
侑大「そーやな。そろそろ行くか?」
俺 「ええけど。向井、何してるん?」
向井は、前方にいて、うつ伏せの姿勢でスマホを触っていた。
向井「スマホでゲームしてるっす」
俺 「何の?」
向井「野球のゲームです」
俺 「ふーん」
ゲームなんて家でやれよ。なんとなく、ツッコンでしまいそうになっていた。
橋本「健太郎!」
俺 「ん?」
今度は斜め後ろにいた橋本が声をかけていた。橋本は、さっきまでのトランプで勝利をしてとても気分がいい様だ。
橋本「明日さ、高田さんにこれ、渡しといてや」
渡してきた物は、ノートだった。なんだこれ?ノートをパラパラめくると、とてもキレイな字だった。
俺 「なにこれ?」
橋本「宿題」
なぜ、橋本が高田から借りたのかは気になったが、聞かなかった。
俺 「自分で渡せよ」
渡されたノートをそのまま渡し返した。
橋本「いや、俺、明日休むから」
俺 「いや、来いよ」
橋本は、受け取らず、コーラを飲み出した。なんだ、コイツは。
橋本「だって、めんどくさいもん」
俺 「何がめんどくさい?」
橋本は、首を傾げながら答えた。
橋本「うーん。学校の授業かな」
俺 「明日も練習あるやんけ」
橋本「まぁ、あるけど。明日は、ノックやし」
今日は、バッティング練習をして、明日は、守備練習と監督から告げられていた。コイツは、バッティングは好きだが、ノックは嫌いだった。
八幡「お前、ノック嫌いすぎるやろ」
今度は、侑大の横にいた八幡が入ってきた。
橋本「いや、レガースとかつけるのめんどくさいから」
八幡「それは、わかるけど」
橋本「明日は、家でゆっくり寝とくわ」
橋本は、もう行かないと決めていた様だ。コイツらしいと言えばそうだろう。
八幡「来いや」
橋本「まぁ、疲れた。今度の練習試合で打つから許せ」
そう言って、橋本は、コーラを飲み干し、入っていた容器を小さくしていた。
俺 「平気でそんなん言えるなんて凄すぎるやろ」
橋本「まぁ、天才やから、俺」
平然と、天才と言ってしまうコイツには、何も言えなかった。




