5月16日 仲直り
次、病院にいつ行こうか?頭の中で、そんなことがよぎった。
ー5月14日ー
俺は、直接、下田さんの部屋に行くのをためらった。このまま行ったら、気まずいと感じてしまったからだ。何かないかなと考えていると、1階に自動販売機があるのが見えた。そこで見つけたオレンジジュースを買って、下田さんがいる5階を目指した。
下田さんの部屋は、エレベーターを降りてすぐの部屋だったということもあり、すぐ彼女の姿が見えた。俺は、いつもと変わらない姿で振る舞った。
俺「下田さんー」
下田さんが、俺の方を振り返った。一瞬の間はあったが、彼女もいつもと変わらない姿を装っていた。
下田「さっきは、ごめんね」
俺 「こっちこそ、ごめん」
下田「なんか、嫌なこと言ってしまって」
俺 「こっちこそ、知らないのにてきとうに言って」
下田「なんか、俺弱ってるみたいやな。ハハハ」
いつものように、おどけてみせた下田さんであった。
下田「今日は、学校?」
俺 「うん、今日から」
下田「そっかぁ」
俺 「25日って空いてないの?」
山川さんの顔が浮かんだ俺は、下田さんに投げかけてみた。
下田「25日?」
俺 「うん」
下田「25日は、検査とかもなかった気がする」
俺 「25日、山川さんの誕生日どっか行くんやろ?一緒に行こうや」
下田「うーん。でも、あんま調子よくないしさ」
下田さんは、曖昧な返事をした。
俺 「行かんかったら、山川さんとかに余計心配されると思うよ。2時間だけとかやったら、いけへん?」
下田「ちょっと、考えてみる」
俺 「うん。偉そうかもしれへんけど、1人で考えてたらさ、否定的に考えてしまうよ。もっと、俺とか瀬戸に頼ってよ。せっかく、こうやって喋るようになったんやから」
下田「‥‥。わかった」
俺 「って言っても俺、参加できるかわからへんけど笑笑」
下田「なんでなの?」
俺 「確かその日の集まりって、山川さんと新谷さんと蒼井さんいるんやろ?」
下田「うん」
3年4組の女子のメンバーは、大きく3つほどに別れていた。1つ目は、高田、寺崎、林などがいるクラスの中心的グループ。2つ目は、下田、山川、新谷、蒼井などがいる女子だけのグループ。3つ目は、佐々木、藤岡、山井など一人でいるグループ。3つの中でも、新谷さんや蒼井さんは、あまり男子と絡まない。
俺 「俺が参加できるのは、新谷さんと蒼井さんがいいって言ったらっていることなってるから」
下田「楓と決めたん?」
俺 「うん」
下田「じゃあ、厳しいかも」
俺 「やっぱり、そう思う?」
下田「たぶん。わからへんけど、マキとか男の人苦手そう」
俺 「そうやんな。なんか、俺とか嫌われてそうな気がする」
下田「それは、あるかも笑」
俺 「やめて、そういうこと言うの笑」
下田「新谷は、大丈夫やと思うから、マキだけかなー」
俺 「まぁ、下田さんが行ってくれればそれでいいんやけどな」
さらっと、下田さんが来るようにしむけた。
下田「なにそれー、人誘っといて」
俺 「まぁ、いいじゃない」
下田「もう、1時やや。ごめん、遅くなって」
俺 「いいよ。こっちこそ、いろいろ喋れてよかったよ」
下田「ありがとう。学校の件については、もうちょっと考えてみる」
俺 「うん、いい返答期待してる。じゃあ、いくわ。明日花によろしく言っといて」
下田「うん。バイバイー」
俺は、下田さんの顔を見ながら、部屋を出た。今日は、明日花のところには寄らなかった。近々、手術があるということもあり、声をかけないようにしていた。